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034 準絶滅種

ご愛読ありがとうございます。


拙い文章ですが、面白いと思って頂けましたら“ブックマーク”や“いいね”、“感想”等にて応援頂けると幸いです。


これらの応援は執筆に際しての大変励みなりますので宜しくお願いします。

落ち着きを取り戻したギルドの受付前では、カテジナと受付嬢が抱き合ったままの状態で、カテジナが洗浄魔術を行使して二人まとめて鼻血を洗い流している。

うん、二人とも洗浄で衣服が濡れて身体に貼り付いてスタイルが浮きでて色っぽい。

それに綺麗な二人が上気して視線を絡みつかせて抱き合ってるから尚更タチが悪い。

濡れた髪も相まって妖美な雰囲気までもが醸し出され、他の受付嬢を始めとしたギルド女性職員が頬を染めて目を釘付けにしている。

二人から水分が意思あるスライムの様に離れ洗浄も終わたのを見届けてから私は二人に近付く。


「はい、洗浄も終わったみたいだから髪を整えましょう。二人ともいつまでも抱き合ってないで背を向けて並んでちょうだい。」


そう言って私は順に二人の髪を合成魔術の温風を使いながら梳かして整える。


これで証拠隠滅は完了である。


未だに百合百合しい雰囲気は感じられるが、このままでは話が進まないので私は空気を読まずに話を切り出す。


「何はともあれ二人は分かり合えた様ね。ところでイビルボア討伐確認とか含めて色々と確認したい事があるのだけどいいかしら?」


しかしポンコツさんは未だに欲望から覚められないようで、恋する乙女な顔でカテジナを見つめて「金百合様♡」と呟いている。


「ごめんなさい、カルチナは暫く役に立ちそうにないから私が代わりに対応しますね。」


ポンコツさんの様子を察した別の受付嬢さんが声を掛けてくる。

彼女の容姿は、面倒見が良さそうな優しい印象を受ける綺麗なお姉さんでありポンコツさんと同い歳くらいに見受けられる。


「私はキャローナと申します。そこでポンコツになってるのがカルチナです。この度は同僚がご迷惑を掛けてしまい申し訳ございません。済みませんがもう少しだけお待ちください。」


キャローナはそう言って一礼するとポンコツさんことカルチナに振り返る。


「カルチナ、鼻血でそこそこ血を流したみたいだから酒場の隅の席で休んでいなさい。カテジナ様、申し訳ありませんが今暫くカルチナを診ていて頂けませんか?。」


カルチナは嬉しそうにキャローナを見た後に不安そうな顔でカテジナ見つめる。


「分かりました、私は構いませんよ。フロレアール様、宜しいでしょうか?。」


私が頷いて応えるとカテジナはカルチナの手を引いて酒場の隅の席に移動する。


「フロレアール様ありがとうございます。提案した私が言うのも変ですが宜しかったのですか?。その...、二人っきりにしてしまって...。」

「質問の意図がよく分からないけど私は構わないわよ。カテジナの抱く願いを詳しくは知らないし、彼女自身の行動に起因する結果に干渉する気は無いもの。加えて言えば責任も負う気は無いですよ。」

「カテジナ様は随分と心酔されていたようですから以外です。フロレアール様が構わないと仰るのなら私も変に気負わなくて済むので助かります。それでは窓口で改めて要件を伺いますね。」


キャローナが席に着いたのを確認してその窓口に向かう。

私はショックのあまり思考が停止した原因を思い出した事から疑問に思った事を確認する。


「盗賊や野党の討伐は基本的に騎士団が担っていると伺ったけど、その他の例えば冒険者が遭遇した場合は手を出すことは許されていないの?。」


冒険者には盗賊や野党の討伐依頼が無いとしても旅をしていれば不意の遭遇は起こり得るものである。


「いいえ、その際には己の命と財を守るための正当防衛が認められております。但し、盗賊や野党といえども基本的に殺害が許されるのは衛兵による討伐に限られますので、ご注意下さい。場合によっては罪に問われる事もあります。ただし、生死不問で手配されている極一部の者のみ例外となります。」

「殺害が禁止されているのは分かったけど、怪我の程度はどの範囲まで認認められているの?。」

「命に別状が無ければ骨折、止血等の処置が施されていれば四肢の一部か切断されていても不問となります。但し、四肢全ての切断など度を過ぎたのもは個人の欲望を満たす行為とみなされ処罰の対象と成り得ます。」

「殺害や過度の傷害が罪に問われる可能性があると曖昧さがあるのはどうしてかしら?」

「衛兵の判断となるのですが、恐らくは人数差や襲撃の状況によるかと考えられます。」


なるほど、取り敢えずは個人的に盗賊や野党狩りをするのは不可能では無いらしい。


「この近辺には盗賊や野党は居ないと聞いたけど、どの辺から注意が必要なの?。」

「どうですかね。 盗賊や野党に身を落とす人間は極稀と聞きますし、それ程多くないと思いますよ?。ここよりもう少し大きい町や中枢の街には盗人くらいは居ると思いますが。それらが何らかしらの理由で身を落として徒党を組んだのが盗賊や野党の集団となります。」

「ひょっとして絶滅危惧種なの!?。」

「危惧されるかは別として準絶滅種なのは確かですね。マジックバック普及率が低かった英雄譚で謳われる大昔ならいざ知らず、今のマジックバックが普及してる時代ですと価値が高い品ほどマジックバックに収納されて他人は取り出せませんからね。今時の盗賊や野党なんかはハイリスクローリターン、下手するとノーリターンなんですよ。」

「なん...だと...?。英雄譚みたいに盗賊や野党を討伐して御宝を手にするのは無理なの?」

「そんなの無理に決まってるじゃないてますかぁ、ぷーくすくす。ひょっとして憧れてましたか?、残念でしたー。おっと。んっんっ、失礼しました、可能性はゼロと言いませんが盗賊もマジックバック使えますからね。これ見よがしに高級品や金銀財宝並べてるのなんて成金の商人か趣味の悪い貴族くらいだと思いますよ。」


ハラグロさんの本音が漏れたことにイラッとしつつも私はある事を閃いていた。


「そうですか、色々と教えて頂きありがとうございます。」


フロレアールが悪い顔をしなが小馬鹿にされた事に文句も言わずに礼を返した事で、ハラグロさんは報復を恐れて「いえ、こちらこそ大変申し訳ありませんでした。」と謝罪するもフロレアールは上の空であった。


フロレアールは考える。

マジックバックに収納されて取り出せないのであれば奪えば良いのだと。

傾国の美貌で従属させて提供させるのは楽だが面白みが無いことから、強制的に収納からアイテムを取り出す魔道具を作れば良いだけとの結論に至る。

その愉悦を最大限に愉しむために必要となるもの、それは己が容姿を隠す事が必となる。

こうしてフロレアールは犯行時に用いるフード付き外套の制作を決意するのであった。

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