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031 ザンネンとアザトイ

ご愛読ありがとうございます。


拙い文章ですが、面白いと思って頂けましたら“ブックマーク”や“いいね”、“感想”等にて応援頂けると幸いです。


これらの応援は執筆に際しての大変励みなりますので宜しくお願いします。

宿屋の食事処で朝食を摂ってる最中、給仕の女子たちが赤い顔をして私たちを覗き見ていた。

私が微笑み返すと彼女らは寄り添って「キャー」と黄色い悲鳴をあげる。

夜中に急遽、部屋の準備されられて、それがイビルボア討伐関係者が宿泊すると聞かされれば興味も抱くのは想像に難くない。

そうなれば様子が気になり部屋の中の気配を盗み伺った結果、昨晩の行為を色々と聴かれたといったところであろうか。

女子たちよ、宿屋との職場環境だから耳年増に成るのは致し方が無いけど、小さい頃からお愉しみ過ぎると淫乱スキル獲得しちゃうかもだから程々にするんだよ。

今後は宿屋でギシアンする時は念の為、魔術で防音なり遮音をすることに決める。

これはカテジナがライジン達パーティーから無事に脱退を終えたら試してみることにしよう。

一人だと試せないことも色々とあるので、そういった意味でも旅の仲間ができるのは悪くないかもしれないと思ったのであった。

朝食を摂り終え、宿を発つ前に宿泊と朝食の代金を確認したが、町が宴席に関連するものとして処理を済ませてくれていた。

宿屋を発った後は、冒険者ギルドへ向かうのだが、生憎私は街の地理を把握していない。

なので、カテジナに道案内を当然頼む事になる。

するとカテジナは、まるで恋人の様に腕を組んできた上、手まで握ってきたのであった。


「普通に前を歩くか、隣を歩いてもらって要所で声掛けしてくれれば、それで構わないのだけど。」


そう伝えるとカテジナは私よりも少し背が高いのに私の肩に頭を乗せ傾けて、あざとく上目遣いで囁く。


「フロレアール様、ダメですか?」


どうやらザンネンさんはアザトイさんに転職を果たした様である。


「ダメって訳じゃないけど、ほら色々と誤解されそうだし。せめて普通に手を引く程度にしてくれると助かるかな。」

「...、はい、分かりました...。フロレアール様がそう仰るのなら従います。」


カテジナは少し不満そうに頬を膨らませながら腕を組み寄り添うのを辞めてフロレアールの手を引き始める。

恋人繋ぎの気恥しから開放された私は、町の人通りが思いの外少なく感じられる事に気付く。

会話の切っ掛けを兼ねてカテジナに尋ねる。


「人通りが少ない気がするのは私の気の所為かしら?」

「今朝のチェーネの町は、仰る通り人通りが少ないですね。恐らく、夜遅くまで続いた祝宴の影響だと思われます。」


カテジナはフロレアールの問に的確にに答えた後に、改めてフロレアールを見つめ直し微笑みながらキッパリと言い放つ。


「フロレアール様、私は赤の他人からどう思われても気にしません。私の全てはフロレアール様に捧げましたから。」


あぁ、アザトイさんがグイグイ攻めてくる。

イケナイ、イケナイわ、アザトイさんが強キャラ過ぎて、このままだと私がチョロインになっちゃう。

お酒の勢いの一晩の過ちで終わらず、そっちの方に本気で目覚めてしまいそうな予感がする。

こうしてアザトイさんからの猛攻を受け、己にジェンダーレス化の波が押し寄せていることを感じ汗するフロレアール。

二人は人通りが少ないチェーネの町を手を繋ぎながら冒険者ギルドに向かうのであった。


冒険者ギルドの前まで到着すると、カテジナは何も言わずにそっと手を離す。


「フロレアール様、それではギルドに到着しましたので受付に向かいましょう。」


そう言い放って彼女はギルドの中へと入って行く。

フロレアールは、ふと少し寂しい気持ちを感じるのであった。


カテジナに続いてギルドに入り辺りを見回す。

そこにはカテジナ以外は綺麗な受付嬢のお姉さんしかおらず、ライジンたち討伐隊メンバーは誰一人として居なかった。

するとカテジナが無言で受付嬢に詰め寄る。

その頭には見えない筈の怒りマークがハッキリと見える。


「ライジンたちの姿が見当たらないのですがご存知ありませんか?」


カテジナは見開いた瞳で受付嬢さんを睨みつけ、抑揚が無い声で問い質す。


「ヒッ、と、討伐隊の方々は、その、あ、明け方まで、宴席を満喫されて、先程、宿舎に入るのを、か、確認しています。特に言付け、も御座いま、せん。」


可哀想に涙目となり怯えきった受付嬢がガタガタと震えながら必死に応対している。

どうやらライジンたち討伐隊御一行は今さっき就寝したばかりのようである。


「フロレアール様、ゴミ共を始末してきますので、今暫く御辛抱下さいませ。」


カテジナは私に一礼した後に受付嬢さんへと振り返る。


「おい、ライジンたちの部屋割りをサッサと教えろ、御使い様に不敬を働く輩はぶっ殺してやる。」


おかえりザンネンさん、相変わらずな様子で安心したよ。

可愛い受付嬢さんが「お願いします。彼女を止めてください。」と泣き叫び助けを求める。


「ステイ、ザンネンさん落ち着きなさい。私は構わないから、ライジンたちは寝かせておいてあげましょう。流石に昼過ぎくらいには起きてくるでしょう。その間に私の冒険者登録とイビルボアの討伐確認を済ませる事にしましょう。」


受付嬢さんを救うべくザンネンさんを宥める。


「承知しました。昼迄に起きてこないゴミ共には、御希望通り、そのまま継続する永遠の眠りをくれてやります。」


ちぃぃ、餌が足りなかった様だ。


「カテジナさん、イビルボアの討伐確認が終えても時間は余るだろうから、チェーネの町を案内してくれるかしら?“二人”で市場とか蚤の市も見て廻りたいのだけど。」


二人での一言にカテジナが蕩け顔になる。


「ふ、二人でデート!?も、もちろん喜んで御一緒致します。ご、御褒美を頂けるなんて、とても嬉しいです。」


こうしてライジンたちの命を救うためにカテジナと町ブラデートをする羽目になるのであった。

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