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017 食料危機

ご愛読ありがとうございます。


拙い文章ですが、面白いと思って頂けましたら“ブックマーク”や“いいね”、“感想”等にて応援頂けると幸いです。


これらの応援は執筆に際しての大変励みなりますので宜しくお願いします。

皆さん、ゴミのポイ捨てって良くないですよね?。

自分に関係して生じた物は責任を持って持ち帰るか処分をしましょうね。

私は今、哀れにも叩き折られて吹き飛んだ木のお片付けを驚異的な身のこなしというか他人から見ると残像が見えるかもしれない速度で行っている。

ブースト状態での動きになれるための訓練も兼ねて辺りに散らばった枝やら大きめの木片などを拾ってまわる。

万が一、強大な力の一撃で叩き折られた木の残骸が人の目に触れれば最悪の場合には、冒険者とかの周辺調査などが行われる可能性が出てくるからである。

それにしても収納する為に一々収める対象にお触りする行為は、対象が多いと次第に面倒となってくる。

そもそもマジックバックは触れた物を収納すると定められていたから致し方がない。

だが、私は魔術で収納を行っているのだから対象に触れずとも収納ができるのではと試してみる。


「こりゃ便利だわ。離れていても収納できる。でも、収納にもルールというか制限があるみたいね。」


効果範囲は4m程、叩き折った木を含めて、他に地面に落ちている枝や葉も収納できる。

一方で叩き折った木の切り株は何故か収納が出来なかった。

しかし地魔術で掘り起こした後には問題なく収納が可能となった。

他にも草なども地面から自生ている状態では収納出来ず、地面から掘り出すか刈り取りした葉や茎であれ収めることが可能であった。

この感じだと何らかしらの所有権的なもので分けられている可能性が高い。

そういえばマジックバックも盗みには使えないってのが常識だから忘れていた。

これってひょっとすると神様が禁則事項として設けてるのかもしれない。

利便性が上がった収納魔術で痕跡の抹消を終えたので人目を避けて修行の地たる山へとブースト状態で疾走する。

認識加速の状態であればトラウマ再来の恐れなど無く、ブースト状態での移動も悪くない。

だが、体感の相対時間が引き伸ばされるので、世界の絶対時間との乖離が著しいので余り好ましくない事に気付く。

例えば認識加速で体感・相対的に1時間ブースト状態で活動したとする。

すると世界・絶対的な時間では5分も経過しておらず、体内時計のズレや時間感覚の喪失などの弊害が生じる。

加えてブースト状態で動くと短い時間でも物凄い速さで動くので、絶対時間当たり運動量が半端ない。

比例してエネルギーを消費する、つまりは物凄い速さで体力スタミナを消耗して、物凄くお腹が減るのである。

きっと野菜チックな名のZ戦〇の大半が大食いな理由は消費カロリーが膨大な為に違いない。

こうなると問題は食料在庫である。

今日はブースト状態でそこそこ動いた影響なのか、既に物凄い空腹に襲われてしまう。

そこで山の麓にも到着した事から急ぎ食事にする。

この世界では一部の肉体労働に従事する者を除き、大抵の人は朝と晩の一日二食で過ごしている。

フロレアールも歩き旅を始めた以降も食生活に変わりは無かった。

だが、今日は異なった。

まるで命の危機とばかりに、身体がカロリーを欲してやまず、収納から食材を取り出しては調理し、随時出来上がった物から口にすることを繰り返す。

その様はかの謳われし金色の聖剣を携えたる腹ペコ王が憑依したかの如くである。


「ヤバい、めっちゃ美味しくて止まらない。そして兵糧的に窮地なのに分かっているのに止められない。」


その後も爆食の宴は続き、終焉を迎えて収納している食材在庫を確認すると3日分相当の量が消え失せていた。


「はぁぁ、満足したぁってそうじゃない。このペースだと後二回分の食事すら賄えないわよ。こうなったら戦闘訓練を兼ねて大型の食べられる魔獣を狩るしか生き残る術がないわ。」


だが、焦りを感じるフロレアールの探知には、悲しいかな魔獣と思しき反応は近くになく、探知範囲の隅近くの山間の谷と見受けられる地点にただ一点だけ示されている。


「ブースト状態の全速力で向かえば30秒と要せずにた辿り着ける。先ずは落ち着いて食べれる魔獣なのか確認しましょう。到着して食べられないモンスターと戦う羽目になったら正気を保つ自信が無いわ。八つ当たり的な意味でね。」


探知に映る黄色の一点を拡大する。

昨日見かけたイノシシ型魔物と同種だが大きさは7割ほど、とは言っても四つん這いの状態の肩高でフロレアールの背丈よりも高さがありそうである。

食材の確保が目的のため遠距離からの魔術による殲滅は行えない。

フロレアールは白メイスを手に取り覚悟を決め全力で数回素振りを行う。

一振毎にドンっといった音と共に生じる衝撃感じる。


「私のステータスならやれる筈。吟遊詩人に謳われる英雄やおとぎ話の勇者よりも数値は上なんだから。」


そう自分に言い聞かせ、獲物の居る方角へと体の向きを変える。

視界に映る今にも消えそうな小さな黄色い点、片目の映像を拡大するも木々に遮られて視認には至らない。

可食部位を最大限確保するために狙うは頭部。

戦闘を長引かせても意味も無いので駆け付けた出会い頭に一撃で仕留める。

そのシミュレーションを脳内で数度繰り返す。


「よし、行くわよ。」


そう一言発するとフロレアールは獲物へ向け全力で駆け出したのであった。

フードファイターと化したフロレアールは一食で3~5Kgをいとも容易く召し上がります。

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