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安置所から。  作者: Mt
4/4

トゥ ■■ご■■■。

だれ?

声は出ず。

生きているかもわからず。


誰だろうか、何だろうか。

彼誰刻、それでも歩きたい。

歩かなければならない?


本能か理性かも知らぬ言葉が思考故存在している。



誰を。追う。

景色は灰。だが楽園。

過去に何があったのか。


分かりたくもない。


青白い月以外、

灰しか見えない、無彩色の道を進む。


色を失った、情報を微分された世。

感情なんか残らないように見え。


進む。


未だ終わりは見えない。

届きもしない。


_____________________墜ちた。







目が覚める。

此処は、何処。何処。だろうか。

総天然色。美しい、街。

人々は此処を行き来し、賑わう。賑わっている。明るい。


「ねえ。」

振り向く。見覚えのある顔。誰だった?

「早く行こ?」

腕を引かれる。連れられて。

灰色の息苦しさは無い。何処かへ消えた。

一つの巨木の前に着く。其処らのビルの比じゃない。大きい。

灯籠が枝から垂れ下がり、小鳥は囀る。

巨木の周りには、青緑に日光を反射した、木の根が浸かる池がある。

   人が皆。皆が、笑っている。

葉の蒸散する雫が実り、雨の様に堕ちる。

笠の広い巨木の下は、人の憩いの場となって、色を発している。

心地の良い風が木々の中を吹き抜けて、彼女の髪が揺れる。

色彩美、無限にも見える色が、混ざりすぎて、或る意味では薄汚く、或る意味では美しく、

調和を、奏でていた__________

濁る。




灰だ。

大きな、一つの、灰の塊。

其処らの残骸とは比べ物にならない。



少し歩く。

頭の中が、少し纏まる。絡まりが解ける。そんな気がした。


少し歩く。上を眺める。

其の眺望は、垂れていた光が墜ちた様にも見える。

隙間隙間から、青白い光が漏れる。

此処も、信じられていた、場所だった?

疑問詞は潰えず。




其処が何処なのか、知る必要があった。


駆ける。月明かり照らす下、何かを求めて。

未だ、解は無く。只、もう思考に説は或る。




其れを否定したかった、様で。



でも。


幾ら走っても。



一致する。

思念の残像と、過ぎ去る景色。

…………何時しか、中央に。

墨一色の、木の麓。



海馬に膠着する記憶が混ざる。混乱を。

彼女は誰だった?

何が起きた?

此処。此処は。





(…………此処が、)



声が。


蘇った。


其処に居る、残滓。

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