トゥ ■■ご■■■。
だれ?
声は出ず。
生きているかもわからず。
誰だろうか、何だろうか。
彼誰刻、それでも歩きたい。
歩かなければならない?
本能か理性かも知らぬ言葉が思考故存在している。
誰を。追う。
景色は灰。だが楽園。
過去に何があったのか。
分かりたくもない。
青白い月以外、
灰しか見えない、無彩色の道を進む。
色を失った、情報を微分された世。
感情なんか残らないように見え。
進む。
未だ終わりは見えない。
届きもしない。
_____________________墜ちた。
目が覚める。
此処は、何処。何処。だろうか。
総天然色。美しい、街。
人々は此処を行き来し、賑わう。賑わっている。明るい。
「ねえ。」
振り向く。見覚えのある顔。誰だった?
「早く行こ?」
腕を引かれる。連れられて。
灰色の息苦しさは無い。何処かへ消えた。
一つの巨木の前に着く。其処らのビルの比じゃない。大きい。
灯籠が枝から垂れ下がり、小鳥は囀る。
巨木の周りには、青緑に日光を反射した、木の根が浸かる池がある。
人が皆。皆が、笑っている。
葉の蒸散する雫が実り、雨の様に堕ちる。
笠の広い巨木の下は、人の憩いの場となって、色を発している。
心地の良い風が木々の中を吹き抜けて、彼女の髪が揺れる。
色彩美、無限にも見える色が、混ざりすぎて、或る意味では薄汚く、或る意味では美しく、
調和を、奏でていた__________
濁る。
灰だ。
大きな、一つの、灰の塊。
其処らの残骸とは比べ物にならない。
少し歩く。
頭の中が、少し纏まる。絡まりが解ける。そんな気がした。
少し歩く。上を眺める。
其の眺望は、垂れていた光が墜ちた様にも見える。
隙間隙間から、青白い光が漏れる。
此処も、信じられていた、場所だった?
疑問詞は潰えず。
其処が何処なのか、知る必要があった。
駆ける。月明かり照らす下、何かを求めて。
未だ、解は無く。只、もう思考に説は或る。
其れを否定したかった、様で。
でも。
幾ら走っても。
一致する。
思念の残像と、過ぎ去る景色。
…………何時しか、中央に。
墨一色の、木の麓。
海馬に膠着する記憶が混ざる。混乱を。
彼女は誰だった?
何が起きた?
此処。此処は。
(…………此処が、)
声が。
蘇った。
其処に居る、残滓。