表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/10

8.

 (※ジェフ視点)


 ついに、仕事をしていないことが、スーザンにバレてしまった。

 そのことがきっかけで働き始めることになったが、どうも、仕事というのは面倒なものだ。

 長時間拘束され、かなりの労力を必要とするが、その見返りはわずかな給料のみ。

 仕事を始めてから一か月近くが経過したが、正直、仕事を辞めたい気持ちが日に日に増していた。

 

 しかし、そんなことはできない。

 今の生活は、僕とスーザンの稼いだ金で、何とか成り立っているからだ。

 とはいえ、仕事が面倒なことには変わりはない。

 何か、もっと楽に稼ぐこと方法はないだろうか。

 まあ、心当たりが一つだけある。


 しかし、それは封印したものだ。

 過去の失敗から学び、二度と手を出さないと心に決めたことである。

 スーザンは、僕の隠し事が仕事をしていなかったことだと思っているが、実はそうではない。

 真の秘密は、別のものである。


 それは、僕が二度と手を出さないと決めた()()()()のせいで、抱えてしまった問題だ。


 その問題を抱えてしまったという過去の失敗から学び、あれには二度と手を出さないと決めていた。

 しかし、その決断も、最近では揺らぎつつある。

 仕事のせいで多忙な毎日。

 そのせいで、休日は何もする気が起きない。

 そんな日々を送るうちに、あれに手を出そうという気持ちが、日に日に増していくのを感じていた。

 そして、ある日、僕は決断した。


 どうせばれないだろうし、うまくいけば仕事をやめることもできるから、()()に再び手を出すか……。


     *


「どうだった、姉さん。スーザンは、ジェフの秘密に気付いていた?」


「いいえ、おそらく、まだ気づいていないわね。ここ最近、彼女はずっとジェフを尾行していたから、仕事をしていないことには気づいたみたい。でも、あの秘密まではまだ知らないでしょうね。それに、ジェフは仕事を初めて見たいだわ。まあ、いつまで続くのかは知らないけれど」


「どうせ、すぐにやめるよ。あの人は、完璧な人間を目指しているみたいだけれど、その実全然完璧じゃない、無能で怠けものだからね。すぐに仕事が嫌になって、また()()に手を出すと思うな」

 

「あ、やっぱりそう思う?」


「うん、それで、またあの問題を抱え込んで、最悪のタイミングでスーザンにも知られるんじゃないかな。それが、二人の愛の終わる時だね。愛どころか、人生まで終わっちゃうかもしれないけれど」


「そうねぇ。彼らの破滅まで、秒読みといったところかしら……」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ