表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地獄の神威  作者: ビタードール
0章
21/64

第20話『愛と狂気③』

 動画を見終えた瑞希は、訳が分からないままパニックになっていた。

 冷静になろうと、情報をメモに整理するが、落ち着くことが出来ない。


「じゃあ、僕があの場に居たのは?結愛が原因?結愛は僕の家族を殺し、僕を神域まで無理やり連れて来た?耳を切ったのも、手錠を掛けたのも結愛だった」


 警察はパニック状態の瑞希にメモを渡す。


『動画内で君は、耳を切られた後も結愛の言葉が聞こえていた。本当は聞こえるんじゃないのか?』


 瑞希はそのメモを見て、ヘッドホンを外して耳を澄ませる。

 しかし、音らしい物は何も聞こえてこない。


「いいえ、聞こえないです」

「そうか」


 警察が再びメモを取る。


『カメラで撮影したのは君か?それとも結愛か?分かるかい?二人にはカメラの位置が分かっていないように見えたけど』


 警察の質問に対し、瑞希が首を横に振る。


「分からない」


 瑞希の目は虚ろで、何も考えれないような表情で自分の手錠を見つめている。

 それと同時に、何か考えているように見えた。


 * * *


 結愛は瑞希と別の場所で取り調べを受けていた。

 手錠を掛けられたまま、中年の警察と居る。


「私が……瑞希の家族を殺し……瑞希を神域に連れて来た……耳がないのも手錠が掛かってるのも、記憶喪失なのも私が原因だった」

「そう言ってるだろ?カメラの動画見たろ?あれが全てを物語ってる」

「そんな」


 警察は偉そうにし、結愛を見下ろしている。

 そして、酷く落ち込む結愛を見てニヤッと笑う。


「けど……記憶喪失を利用して罪を軽くすることが出来るかも」

「でも……」

「そしたら、また瑞希君と通常の生活に戻れる。そうしたいだろ?」

「はい……そうしたいですけど……瑞希は私のことなんか……」


 結愛が涙目で、後ろめたそうにする。

 警察は席を立ち、そんな結愛の背後にゆっくりと足を運ぶ。


「大丈夫、彼は記憶喪失のせいかそんなこと気にしていらしい。さっき小耳に挟んだ」

「本当?ですか?」

「本当だとも」


 警察はそう言って結愛の肩に手を置き、服の中に手を入れた。

 ゾッとした結愛は、咄嗟に手を振り払った。


「きゃぁ!何してるんですか!?」

「罪を軽くしてやるって言ったんだ。黙ってろ」


 態度が一変した警察は、結愛の口に手を当て、そのまま床に押し倒した。

 結愛に馬乗りし、手錠をの付いた両手を頭の上に回す。


「悲鳴を上げるな。上げたら普通の生活には戻れないからな?瑞希君の為にも大人しくしてろ」

「んんん!!」


 結愛は口を抑えられ、声を上げることが出来なかった。

 神域に居た化け物とは別の恐怖がある。

 警察が結愛の服を脱がせ、ズボンを下ろした。


「喋るなよ」

「んんんんんー!」


 警察がことを始めようとしたその瞬間、何者かが警察の首を鎖で縛った。


「うううっ!!はなっ……」

「みっ、瑞希……」


 警察の首を鎖で縛っているのは瑞希だった。

 手錠の鎖を使い、警察の首を締め上げようと力を入れる。


「わるかっ……た」


 警察が涙目になり、瑞希に命乞いをするように懺悔の目を向ける。

 一瞬、離してあげようか戸惑った瑞希だったが、下着姿の結愛を見てその気が失せた。

 そのまま警察の首を絞め、首を捻り曲げた。


「はぁはぁ……もう大丈夫」


 警察を絞め殺し終えた瑞希は、震えた手で結愛の服を拾い、結愛に羽織らせた。

 結愛は震えたまま服を着て、瑞希にゆっくりと抱き着く。


「怖かった」

「逃げよう。神域内に逃げよう」


 瑞希の言葉を聞いた結愛は、震えたままメモを取り、泣いて苦しそうにした。


『私貴方の家族殺した、神域に連れて来た、耳を切った、手錠を掛けた』


 震えた手で書かれたメモを見て、瑞希は虚しい表情を浮かべる。


「知ってる。けど、僕は結愛が大事だ。記憶がないってのもあるけど、今の僕は全部許せる。結愛と一緒に居たい」


 瑞希の優しい言葉を聞いた結愛は、泣いたまま強く抱き着く。

 絡み合うように抱き締め合い、お互いを深く愛しているようだった。


「神域の化け物を皆殺して、僕ら二人の世界を作ろう。そこなら誰も追ってこない」

「それ、賛成」


 二人はしばらくの間抱き締め合っていた。

 お互いの震えがなくなるまで、深く長く体をくっ付けていた。


「そろそろ行こう。警察が追ってくる」

「うん」


 二人は警察署を出て、神域のある壁の方へ走って行く。

 しかし、パトカーと共に警察が二人を追い掛けて来るのは当然のことだった。


「あともう少し!」


 二人はブカブカの靴を履いたまま全力で走った。


「やばい!神域に入られる!」

「やむを得ない!発砲を許可する!神崎 結愛目掛けて発砲を許可する!」

「ですが!?少年に当たったらどうするんです?」

「構わん!神域に入ればどうせ死ぬんだ。それに奴も人を殺めた」


 神域までもう少しと言うところで、警察が銃を発砲した。

 二人は弾丸の雨の中、神域のまで手を伸ばす。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ