【漫才】言い方
ボケ「最近外国語を勉強しているんですけど、外国語を理解するのって難しいんですよね」
ツッコミ「まあ、外国語を習得するのは難しいですよね」
ボケ「でね、勉強していて思ったんですけど、日本語を外国の方に教えるのも難しいな、って思ったわけですよ」
ツッコミ「まあ、そうかもしれませんね。私達はね、自然に使っていますけどね」
ボケ「単純に一文字だけを使っても……つまり例えば【あ】だけでも解釈の違いが出たりするじゃないですか」
ツッコミ「そうですか? 二文字ならね、例えば【はし】が【橋】【箸】【端】となったりしますけどね」
ボケ「そうですね、ちなみに橋は端と端をつなぐので【橋】というわけです。端と端をつなぐという意味から【箸】も来ているわけですね。でもね、二文字使わなくても、色々な表現があるんわけです。でね、これが同じ日本に住んでいても必ずしも通じるとは限らないと思うわけです」
ツッコミ「そうですかねぇ?」
ボケ「そうですよ、試してみますか?」
ツッコミ「ではお願いします」
ボケ「じゃあ、【あ】から……あっ!」
ツッコミ「これはわかります、何かを発見した時、気がついた時の【あ】でしょ?」
ボケ「いいえ、これは『家に帰ってきたら食べようと楽しみにしていたプリンが食べられていたところを目撃してしまった悲しみの【あ】』です」
ツッコミ「いや、それ何かを発見した【あ】でよくない?」
ボケ「いえいえ、状況が全然違うし。発見しただけで失われたプリンへの悲しみが含まれていないと。私、プリンが大好きなので、特にカラメルとの境界線あたりがね」
ツッコミ「プリンの話しはいいよ、別の【あ】をお願いできます?」
ボケ「はいでは、……あ!?」
ツッコミ「ああ、これはわかりますね! 驚きの【あ】ですね!」
ボケ「いいえ、これは『一人でプリンを食べていて食べ終わる頃に、そう言えばこのプリンあいつのだった! と思い出した時の【あ】』です」
ツッコミ「いや、だから、それは驚きの【あ】ですよね?」
ボケ「いえ状況が全然違うし、驚きの中にある焦燥感を感じませんでした? 驚きだけとは全然違いますよね? 一音だけでもこんなに難しいわけですから、これが二音になったら、もう手がつけられないわけです」
ツッコミ「二音になると?」
ボケ「そうです。例えば同じ音を二回続ける言葉、表現がありますよね? 【あ】だったら【ああ】とか」
ツッコミ「今の同意の【ああ】ですよね」
ボケ「いえ、違います。これは苦しい言い訳を仕方なく受け入れている時の【ああ】です。このように日本語のニュアンスを伝えるのはとても難しいんです」
ツッコミ「いや、あのね、そんなにあんまりないような状況設定をされたら難しいと思いますよ? もっと一般的で一言で説明できるようなものを表現してもらえれば正解できると思うんですけどね」
ボケ「なるほど、もしかしたら一理あるかもしれません」
ツッコミ「一理しかないだろうよ、この場合は」
ボケ「では、今度は【い】でやってみたいと思います。まずは、【いい!】」
ツッコミ「うん、これは良いという意味の【良い!】だな!」
ボケ「……まあ、正解です。次は【いい!】」
ツッコミ「これは、もういらない、という意味の拒絶の【いい!】」
ボケ「正解です。では、【いい!?】ではどうですか?」
ツッコミ「うーん、驚いた時の【いい!?】かな?」
ボケ「正解です」
ツッコミ「ほら、伝わるじゃないですか。みんなが共通して理解しているものってありますからね。一般的なものは伝わるものですよ」
ボケ「じゃあ【イイ!】はどうですか?」
ツッコミ「今までの【いい】に比べて覇気があって、勢いがあり、語尾が上がる感じ……これは……最初の【良い!】よりもさらに強い【良い】で、称賛のいい?」
ボケ「違います」
ツッコミ「もしかして強い拒絶?」
ボケ「違います」
ツッコミ「じゃあなんの【いい】?」
ボケ「この【イイ!】は悪の組織の掛け声の【イイ】です」
ツッコミ「いや、一言で伝わるけど一般的じゃないわ。もういいよ」




