遊戯開始
主人公(語り部)のキャラ設定を悩み中。何かいい案あればお願いします。
そこは禍々しい雰囲気を漂わせた一室。
赤と黒が入り乱れたような、見ているだけで気分が悪くなる不思議な紋様が部屋の四方を覆っている。しかもそれらの紋様は、まるで生きているかのように部屋の中を流動していた。
そんな狂人でもないとまともに精神を保っていられないような部屋に、男が一人座っている。
男は狂人なのか? 否、男は悪魔であった。
神の命に従い、地獄に落ちた畜生共に罰を下し、永遠の苦しみを味合わせることを生業とする者。
今も流動する紋様を通して、畜生共が拷問を受けている様を無表情に眺めている。
はたして彼がどれ程の時間この業務に励んでいるのかは分からない。ただ、じっと紋様を見つめたまま、悪魔は唐突に、
「退屈だ」
と呟いた。
* * *
「お呼びでしょうか」
部屋の片隅から、不意に一人の幽鬼が現れる。見た目は小学校高学年くらいの人間の男。しかし全身が青白く、その体からは体温を全く感じることができない。加えてその瞳は、この世の全てを憎むかの如く険しく細められている。
だが当然、男にとってそんな幽鬼の姿は見慣れたもの。一瞥するとすぐ用件を告げた。
「退屈だ。久しぶりにあの遊戯を行いたい。準備を頼めるか」
幽鬼は眉一つ動かさず、されど疑問を投げかける。
「宜しいのですか。万が一にも神に気付かれれば、罰は免れませんよ」
微かに眉を上げ、男は小さく息を吐く。
「これはいつも言っていることだが、ばれることなどない。余計な心配は不要だから、さっさと彼らを集めてくれ」
男は右の手のひらを上に向ける。すると音もなく数十枚の紙束が出現した。
書かれているのは、これから行う遊戯に参加することになる者たちの顔写真や経歴。
それらを受け取った幽鬼は、さっそく参加者をチェックし始める。しかし紙をめくるごとに表情から険しさが増していき、すべてチェックし終える頃にはどこか呆れた表情を浮かべていた。
「本当に、彼らを使って遊戯を行うと。今回も彼らのクリア報酬は地獄からの解放・現世への蘇生とするのでしょう? この中の誰か一人でも蘇れば、世の中にどれだけの災厄がばらまかれるか――」
「構わない。億に一つも奴らが遊戯を完全攻略することなどないからだ。お前も知っているだろう。ほとんどの畜生が三戦目で脱落する。ごく稀に四戦目まで行く者もいるが、皆あの化け物を倒せずに散っていく。仮にあれを倒せる者がいたとしても、最後を飾る五戦目は私自身が出るのだ。まさかこの私が畜生に負けるはずがないだろう?」
「……そうですね」
一瞬何か言いたそうに眉を顰めるも、結局は軽く頷くだけで引き下がる。
そんな幽鬼の態度に不満げな表情を浮かべながらも、男は気を取り直して命令した。
「さて、退屈な監視作業は一度中断だ。悪魔の遊戯を、始めようじゃないか」