プロローグ
むかしむかし。
あるところに5つの国がありました。
その国それぞれに優秀な魔女がおり、彼女達は王と一緒に国を守っておりました。
人々は魔女のおかげで幸せに暮らしていました。
ある時突然、世界は黒い絵の具を垂らしたかの様に真っ暗となり、世界中を闇が染めていきました。
それぞれの国は話し合い、この暗く寂しい闇をどうすれば払えるかと考えました。
魔女達は口々に『もうすぐこの世界は魔物で覆い尽くされる。そうする前に戦う準備をしなさい。』と言いました。
王達は怯え、自分たちを守る方法を考え出しました。
一人は地下奥底に潜み、もう一人は森の奥に砦を立て、もう一人は気が触れて、もう一人は自ら命を立ちました。
魔女の言葉に5つの国は混乱し、絶望しました。
ですが最後に残った王は魔女の言う通りに国民を避難させ、兵を集め、戦う準備を整えました。
そのたった一人の王と5人の魔女達のおかげで、10年後に訪れた災いは、最小限の被害で済みました。
長きに渡る魔物との戦いで、勇敢な王は命を落とします。
命を落とした王は世界を救った英雄となり、国中は喜び、抱きしめ合い、王のおかげで救われた命を、生きている喜びを、分かち合いました。
その後魔物たちは撤退して行きましたが、暗く広がった闇はいくら月日を重ねようとも晴れませんでした。
魔女達は再び話し合いました。
魔女達も長きに渡った戦いで魔力も力ももう、わずかしか残っていませんでした。
そんな時地下に潜んでいた王が叫びました。
『これは魔女の呪いのせいだ!全ては魔女が仕組んだものだ!魔女が死ねば朝がやってくるはず。』
この言葉に砦を築いていた王も言いました。
『我々は騙されてはいけない。あの勇敢な王も魔女のせいで死んだのだ!』
この声に国民達にも不安が募り出します。
もしや魔女は我々を救ったのではなく、騙していたとしたら?
戦いが終わり、なお明けない夜に、魔女達の言葉は国民へと届かなくなりました。
魔女達は国を追われ、遠く険しい山の奥へと、方々へ追われてしまいました。
彼女達は最後の力を振り絞り、空にもう一つ月を作ります。
小さな丸い月は暗闇を照らし、どんどん闇を吸い込でいきました。
その月のおかげで長くに渡った闇夜は晴れて行き、朝がやってきたのです。
永遠に続く闇夜は終わりを告げました。
だが誰もそれが魔女達のおかげだとは知りませんでした。
誰も興味を示さなかったのです。
魔女達は静かに力尽き、それぞれの力の元となる場所で眠りにつきました。
自分達の力を新しい命を繋ぎ、新しい世界へ、希望と願いを込めて……。
お久しぶりです、雨宮です。
初めましての方はお初にお目にかかります。
再び出会えた方は、またお会いできて幸せに思います。
今回は異世界転生系ではありませんが、楽しんでいただける様に頑張ります!