決着
システムはACFデバイスを駆使して、敵を追い詰めていく。
どうも、敵は物理障壁のみを展開しているらしく、ビーム攻撃はよく効いた。
それでも、敵はうまく避けながら反撃の機会を窺っていたが、顔には苦渋の色が見えた。
「ほおー、すげえな」
俺の体はシステムによって勝手に動かされているため、俺自身は見てるだけ。
「っなめるな!」
敵はそう言って赤色の魔法陣を展開、そこから炎が勢いよく向かってきた。
システムは避けることなく、Eフィールドでその攻撃を受け止めた。
炎が消えるとサーベルで敵に切り掛かる。
「チッ」
敵はそれを剣で受け止めるが、背後からのACFデバイスの攻撃を避けきれず、被弾してしまう。
それでも、急所は避けたようだ。
「今のを避けんのか…。やべえな…」
俺だったら絶対無理だなー。
他人事のように今の戦闘を見ながら思った。
実際他人事なんですけどね。
「こうなったら…奥の手だ…」
敵は荒い息づかいを整えながら自分の前に立体魔法陣を展開する。
その魔法陣は赤、黒、黄の三色が入っていた。
「……やばくね…?」
「これで終わりだ!ベノムガイヤ!」
敵から放たれたその魔法は黒い雷を纏った漆黒の炎だった。
さすがにこれはEフィールドでは防げそうにもない。
避けの一択のはず…なんだけど…。
「なぜ避けない!」
システムは避けようとはせず、Eフィールドを展開する。
フルパワーで。
「無理すんなよ…」
今の俺にできることは何一つないので、ただそう思った。
そして、俺の体は敵の魔法に飲まれた。
黒い雷が体中を走り、黒い炎が俺を焼き尽くさんと燃え盛る。
が、不思議と痛みはなかった。
機械だからだろうか…?
「これからどうする気だ…?」
そう思っていると、システムは俺の意思とは関係なしにNOA(敵地強襲装備)に換装する。
そこまで、好き勝手にできるのか…お前は…。
それはもう、exsの範囲外のはずなんだけどなー。
システムは換装すると、すぐさま高出力大型レーザー砲を敵に向けた。
そして、レーザーを照射する。
レーザーは炎を突き破り一直線に敵に向かっていき、貫いた。
「ばか…な…」
敵はそのまま、地上に落下していく。
それを確認すると、システムは沈黙し俺が体の主導権を握ることができた。
「何だったんだ…これ…」
そう呟きながらNOAに換装をして、地上に降りた。
「随分、激しい戦闘だったな」
そう言いながら人型のファフニールが近づいてきた。
「まあな。俺はほとんど何もしてないけど」
俺がそう言うとファフニールは首を傾げた。
「それより、戦況は?」
「もう粗方片付いた。後はこの街の者達だけで大丈夫だろう」
「そうか…なら澤田を呼んできてくれ」
「ん?出発するのか?」
「ああ」
「どうした?なんか変だぞ?」
「……気にするな。それより、ここを早く離れよう」
「…わかった」
そう言うとファフニールは街の方に走っていった。
「本当に何なのだろうか…この力は…」
さっきの戦闘で俺の力は何かとんでもない力なのではないか?という疑問と不安が頭から離れない。
それでも、この力は俺であり、俺がこの世界で生きて行く上で必要な力。
いずれは真っ向から向き合わなければならない時が来る。
そんな気がした。




