危機
「案外、楽勝だな」
「そうだな」
敵を切り倒しながら先行していく森田と船野。
2人の役割はとにかく敵を倒していくこと。ラインの形成は騎士たちの仕事。
騎士たちが魔物どもを止めているうちに、森田たちは1匹でも多くの魔物を切る。
2人のスキルである「勇者」と「タンク」は近接戦闘特化、さらに火力特化でもあった。(どんだけ安い?)
その特性を生かし、どんどん前へと進む。
「先輩ってどんなスキル持ってるんだろな」
「どうした?急に」
「いや、ちょっと気になって」
「まあ、確かに気になるな」
「あの時は聞きそびれたし。どんなスキルだと思う?」
「えー、そんなんわかるわけないじゃん」
「そうだけどさー。もしかしたら、ロリを引き付ける能力とかwww?」
「www。それはさすがにないやろww」
「澤田先輩はどうやろ」
「澤田先輩はさっき松岡先輩と一緒に救護班にいた」
「じゃあ、そういう系のスキルってことか」
「そうなんじゃね」
無駄話をしつつも敵をなぎ倒しまくる2人。
その時、周りにいた魔物たちが一斉に2人から離れ始めた。
「ん?なんだ?」
「さあー」
そして、2人に大きな影が落ちる。
「ちょっ!」
「うわー…」
空から骨のドラゴンが現れた。ドラゴンはまっすぐに2人を見つめる。そして、
「グオオオオオオオ!!!」
「うるさ!」
「耳がー!」
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「これはまた、すごいのを出してきたなー」
森田と船野の頭上に巨大な紫色の魔法陣が展開され、その魔法陣からスケルトンドラゴンが現れた。
「不死系の魔法師がいるのか…。2人で相手できるか?」
危険にならない限りは手出しはしない。
ツルノには危なかったら助けてやってくれとしか言われていない。自分たちで何とかできるならよし、ということだろう。勇者たるものこのぐらいの境地は難なく乗り切らなければ話にならない。
「ま、死んだらそこで終わりってことだろうけど」
スケルトンドラゴンと対峙した2人は左右に分かれて攻撃を加えている。
「剣は全く効いていないな」
2人の剣はことごとく弾かれている。
剣では無理と判断した2人はスキルを使った攻撃を繰り出した。
「有効…ではあるらしいがダメージが少ない。不死系だからなー。聖属性じゃないとダメージは少ない。まあ、ゴリ押しで何とかなるにはなるが。それに、2人とももう体力が尽きかけているな。さて、そろそろ……ん?」
救援に向かおうとしたところでファフニールは敵軍の奥で魔法陣が展開されるのを見た。
「あれは……転移か?」
どこかからか転移してきたか知らないが、中から1人の悪魔が現れる。
「あ奴は強いな。我が相手をしてもいいが、そうなるとあの2人を見捨てることになる。なら、この辺が頃合いだろう」
そういうとファフニールは右手を頭上に掲げる。
そして、準備していた「信号弾」を放つ。
瞬間、空で大爆発を引き起こした。
それを合図に騎士たちはラインを形成しながらゆっくり下がっていく。
この合図は鶴野への救援諡号でもあり、騎士たちへの撤退信号でもあった。
しかし、一斉に撤退しては総崩れとなる。故にラインを維持しながらゆっくりと下がる必要があった。
「我も行くか」
ファフニールは本来の姿に戻り、2人のもとに降りる。




