開戦準備
王都より少し離れた森。
「デル様、爆弾が解除されたようです」
「ほう……。なかなか早いな」
森の奥深くに建てられた古い城。その玉座に座る悪魔は頬杖を突きながら部下の報告を聞く。
「それで、どんな奴が解除したのだ?」
「それは現在調査中ですが…あれを解除できる人間となりますと」
「異世界人か……」
「おそらくは」
「だが、あいつかもしれん」
「……鋼鉄の悪魔…ですか?」
「そうだ。炎を吐いて空を飛び、光の魔法で敵を貫く。…全くバカバカしい」
「その全身は金属でできているとか」
「そんなことも言っていたな。しかし、金属の生き物などこの世界にはいないだろう。それなら、スキルということだが…」
「そのようなスキルはあるとは思えませんな」
柱の陰から現れた白いひげを生やした怪しい老人はそう言った。
「マルキアか…。そっちの準備はできているのか?」
「もちろんです。今すぐにでも魔の軍勢を召喚できますぞ」
「そうか。なら、明日、明朝に作戦を決行する。この戦いは我らが主様に捧ぐものである!」
「しかし、鋼鉄の悪魔は……」
「何を怯えている?我らは悪魔だ。人間如きに遅れを取るわけがないだろう。もし、出てきた場合は私が相手をしてやる。10秒持てがいいがな」
そう言いながらデルは邪悪な笑みを見せた。
そのデルを見ながら配下の悪魔は不安の色を募らせていた。何か嫌な予感がすると…。
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明朝、王都。
清々しい朝の中に甲高い鐘の音が鳴り響いた。
「来たか」
「そうみたいだな。つるっぴへの連絡は?」
「騎士たちが勝手にやるだろう。我は危なくなったら合図しろ、としか言われていない」
「それで間に合うのか?」
「知らんが、あ奴は何とかなると言っていた」
「そう。なら、こっちも何とかしないとな」
「ああ」
ファフニールと澤田はすぐさま準備をして、宿を出た。
宿を出たファフニールは上空で開戦の時を待った。澤田は騎士に交じって救護をするらしい。
「さて、もう目の前だな」
視界の奥からどんどん魔物たちが押し寄せている。
「マールとほぼ同じ数か…ん?……あれは、悪魔か?」
魔物の中には背中にコウモリの羽根と角を生やした者がいた。
「結構大規模だな。さて、人間側はどう動くか……」
人間側も迅速な動きを見せていた。
王都にいる全騎士を動員し、ラインを形成する。そして、それを魔法でバックアップするという戦術。
「防衛となればこれぐらいだろう。今回は襲撃が分かっていたし、マールの時のように戦線が崩壊するということはない…と思いたいな」
ファフニールはそう言いながら、もしものために「信号弾」と名付けた新しい魔法の準備をする。
危ないと判断したらすぐに撃てるように。
「全く、後輩思いだよ、お主は…」
開戦は間もなく始まる。




