対峙
「とりあえず、お前は寝ろよ」
俺は澤田に寝るように促す。
「ええんか?俺、寝たら全然起きんぞ?」
「その時はスマートガンでケツをぶち抜いてやるよ」
「つるっぴにそんな趣味が…!ww」
「んなわけねえだろw」
そして澤田は寝た。俺はロボプラの箱を開けてexsを作り始める。パーツを澤田から借りたナイフでランナーから切り取る。
こうやって作業をしていれば多少は眠気がまぎれる。
翌日、日が昇りだいぶたった。
澤田はまだ寝ている。
そろそろ起こさねば。…どうやって起こそう。ケツに一発?上にのしかかるとか…。
そうこう考えていると前の方から声が聞こえた。
「女の声…?」
その声を聴いて一番最初に連想したのは昨日の4人組。
生きてたのか?
俺はスマートガンを構える。
「ゴクッ…」
息をのんで引き金に指をかける。昨日よりは落ち着いている。慣れてきているのか?それでも、鼓動は早くなっている。
そして、木の隙間から4人組の女が現れた。昨日見た奴らと同じだ。
「クッ」
一番前の女が俺を確認すると背負っていた大剣を構える。後ろの3人は遅れて剣を構える。
数的には不利…。澤田は…まだ寝てる。こいつ!
まだ寝ている澤田に少しイラッと来たので腹を軽く蹴った。
「ごふっ!」
澤田は変な声を上げて目を覚ます。
「急にどうした?」
「早く構えろ!」
「ん?」
澤田はやっと前の4人に気付いた。しかし、銃を構えない。
「昨日の4人か…?」
「多分な。顔までは確認できんかった」
俺はスマートガンを構えて4人組を見据えながら澤田と小声で話す。
こちらが小声で話しているようにあちらも小声で何か話している。
「なら、攻撃する意味は…」
「敵じゃないという保証がないだろ」
「そうだけど…」
澤田は銃を構えるのをためらっている。普通はそうなんだろう。俺が異常なのかもしれない。でも、今はそんなの関係ない。
「それでも自衛隊志望か?」
「自衛隊は撃たれるまで撃てないという制約があってだな」
「専守防衛だっけ?」
「そうそう」
「それは相手が銃の時だろ」
「同じだ」
「だったら構えるだけ構えとけ」
「…わかった」
澤田は9ミリ拳銃を構える。俺もスマートガンを構えなおす。この距離ならスコープを覗いた方が当たらない。ゲームじゃないんだ。ビームが銃身から60度に曲がるなんてことは起こらない…はずだ。試したことないからわからん。
「さて…」
これからどうなるかはわからない。人を撃ったことなんて当然ない。
相手がもし突っ込んできて命中させられるという自信もない。
俺の中で不安が大きくなっていく。それに同調するかのように鼓動も早くなっていく。
ダメだ。このままじゃ俺が持たない。
そう思い何度か深く深呼吸をする。少し落ち着いたが、まだ鼓動が早い。頭の中はパニック寸前だ。
澤田を見てみると俺と同じなのか、汗がすごかった。
澤田はもともと汗がすごい。夏の体育終わりの体操服なんかは水が絞れるくらいだ。
今は運動はしていないがすごい汗が出ている。それはもう悲惨。
そのまましばらくは膠着状態が続いた。