重荷
食事を終えて部屋に戻ろうとした時、アイナに呼び止められた。
「はい、これ。頼まれてた物」
「早いな」
アイナから受け取ったのは木材と彫刻刀。
それを持って部屋に戻る。
「よし、じゃあやるか」
木屑で床が汚れないように布を下に敷いて作業を開始する。
「何を作るのだ?」
ファフニールが興味津々で聞いてきた。
「そうだなー。今回は試しみたいなものだから適当にするつもりだから特にテーマは無いな。でも、ないと始まらないし…うーん」
「なんか武器でも作ればいいんじゃね?」
「そうだな。適当に理フルでも作ってみるわ」
まずは大まかな形に木材を切る。それから整形していき、細かい部分を作っていく。溝や銃口、マガジンまで細かいところまで作っていく。
物は5時間ほどでできた。
「あ―――疲れた――――」
そう言いながらベッドにダイブする。
「お?終わったのか?」
風呂から帰ってきた澤田が木彫りのライフルを見る。
「細かいなー。結構いいんじゃね?」
「そうだなー。まあ、初めてにしては上出来だとは思う。でも、やすってないから表面は凸凹してるから完全ではないな」
「やすりとかあったらいいけどな」
「普通のやすりじゃだめだ。紙やすりじゃないと」
「へー。なんか違いとかあったりするん?」
「やりやすいかだな。俺は紙の方がやりやすいから」
「ふーん。じゃあ、まだこれは武器として使わないんだ」
「そうだな。もっとうまくできたやつを使わないと。出来栄えによって性能が変わるかはわからんけど」
「ゲームだとその辺は重要だったよな」
「だから、試したいんだけど今は無理だしなー」
「もっとうまくならないと無理だもんな。それよりか風呂はいって来たら?」
「そうだな」
「あー気持ち―」
大浴場に一人っきり。俺の声は邪魔されることなく大浴場に響き渡った。
「さて、いつ出発しますか。出発の日を決めないと準備もできねえからなー。いつがいいか…。3日後か5日後か……5にするか」
出発に必要なものは…って何がいるのかさっぱりだわ。旅とかしたことねえし。アイナに聞いてみますか。
それに最初の目的地もどこにするかねー。適当に歩いて行き当たりばったりっていうのもいいがそれは絶望しかなさそうだし。一番近い街でも目指しますか。これもアイナに聞くしかないなー。
「ほとんどがアイナ頼りとは…。しゃーないと言えばしゃーないが、どうもなー」
情けない。そう言った感情は今ままで抱いたことなんて無かったけど、今はそれを大きく感じる。
「俺がリーダーねぇ~。できんのかねー」
今まで班長だとか、委員会の委員長とかやったことはあるけれど、それはほとんど先生とかの指示に従ってただけだ。決められた道があってそれを進んできただけ。でも、今回は違う。俺が決めなきゃならない。
「責任…か…」
俺にできるのかという不安とリーダーとしての責任。それらが重荷として俺にのしかかる。
不安を消すことはできない。ならどうするか。
「精一杯やってみるしかないか……」
独り言が大浴場に静かに響いた。




