頼み事
「私はあなた達に協力してほしいことがあるの」
「協力?」
「ええ。最近広暗の森で魔物が活発になっているわ」
「ふーん」
「そういえばあの4人組がそんなこと言っていたような」
「そんなこと言ってたっけ?」
「言ってたぞ。なんでこんなところにシルバーウルフがって」
「あー。言っていたな」
「そう。本来、シルバーウルフはもっと森の奥に生息しているはずの魔物。でも、最近では森の浅い部分に出没しているわ」
なんか大変なことになってるのな―。
澤田もおんなじこと考えてそうだな。顔がそんな顔だわ。
「その原因究明のために私たちに…」
「断る!」
俺は彼女の言葉を遮って判断を出す。
「どうして!?」
「どうしてって…そんなの面倒だからに決まってるじゃないか」
「面倒…?そんなの理由にならないわ!この街の危機なのよ?」
「だからどうした?俺達…いや、少なくとも俺には関係のない話だ」
「俺も今回はさすがに無理だと思う」
「澤田もか?」
「ああ。あの時は4匹だったけど奥に進めばもっと多くなるだろ?それに調査ってことは奥へ進むことは必然だしな」
「というわけだ。残念だがな」
俺がそう言うとアイナはファフニールの方を見た。
「ん?我はこ奴らについて行くだけだ。こ奴らが行かないというのであれば行かないし、行くというのであれば行く。それだけの事」
それを聞くとアイナは深くため息をついた。
「わかったわ。でも、もしそれでこの街が襲われて多くの人が亡くなったらあなた達はきっと後悔するでしょうね?」
「…皮肉のつもりか?」
「ええ」
それを聞いて俺は少し笑った。
「それはないな。澤田は知らんが、俺に関しては絶対にないな。元よりその程度の覚悟で切り離すかよ。それに他人がどうなったってどうだっていい」
「なら、どうして私を助けたの?」
「澤田が助けたいっていうからな。それに…ただの気まぐれか?」
「なぜそこで疑問形なんだ…」
「いやー。おかしなことに自分でもよくわかってないんだよなー。不思議だよねーww」
「あなたはどうなの?」
アイナは澤田を見ながら言った。
「んー。俺は多分後悔はすると思う、かな」
「なら!」
「でも、だからと言って自分を犠牲にすることはないと思う」
「それでいいのか?」
「自衛隊だって危険なところに行くけれど、それはある程度安全が確保されているから。でも、今回は安全よりも危険が確保されてそうだからな」
「地味にうまいこと言ったな」
「という事は決まりだな」
ファフニールが締めくくってこの話は終わり。
「じゃあ、行くわ」
そう言って俺達は食堂を出た。
出る際に一言だけ。
「うまかったよ。ありがとう」




