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あー、最悪だ。
やっと、気持ちだけ長い戦いが終わったと思ったら助けた女に剣を向けられるって…。
「もう一度聞くわ。あなたたちは何者?」
いや、二度も同じこと言わなくてもいいから。
そんな事を思っていると隣にいた澤田が元気な声で
「迷子です!!」
「…お前は馬鹿か?」
「えっ、だって本当じゃん」
「うん。嘘は言ってないね。でも、その言葉と声質は場違い極まりないと思うんだが」
「ふっ、気にしたら負けよ」
「かっこつけて言う事じゃないだろ」
「お主等は何をふざけているんだ?」
ファフニールまで入ってきた。なんかこの短時間でなじんでないか?
「ナチュラルに入ってくるのな」
「別にいいだろ?」
「いや、良いんだけどさ。なんていうかこう…。もういいや」
ツッコミを入れることはもう諦めるよ。切がなさそうだ。
「と、そんなことより」
俺は女の方を向く。女は真剣な眼差しでこちらを見ている。
そういう目は苦手なんだよ。
「俺たちが何者か、だったよな?」
「ええ。答えてくれるかしら?」
この前みたいに偽名で行くか?
こういうタイプってそういうの効かなさそうな感じがあるんだが…。
「話したらどうだ?」
「いやでも…」
「このままでいても埒が明かんだろう。それにこの森から出られるかもしれん」
「確かに…」
ファフニールの言う通りだ。でもなー。
「澤田は―――」
「つるっぴに任せる!」
「何も言ってねえだろ!」
「言った。俺の名前は言った」
「内容言ってねえだろうが!」
「だいたい予想つくしな。それにこういう駆け引きみたいなところは俺よりつるっぴの方が得意だろ?」
「得意ではないんだが…」
「俺よりはって言った」
「お前!…はあ。わかったよ…」
俺は一歩前に出た。
「俺はかめロン。こっちはミヤマカタバミ」
女は俺達の偽名を聞いて警戒を強めた。
「…そう。あなたたちが…」
女は少し下を向くと、顔を上げ剣を俺たちに向けて
「私に同行しなさい!」
「…あのー。頭大丈夫ですか?」
「ご心配なく。あなた達は今、指名手配されているのよ」
「えっ、なんで?」
「先日、あるパーティーがあなた達のような2人組に襲われた、という話がギルドに届いたの。本当は邪龍の調査のはずだったけど…とんだ収穫もあった物ね」
邪龍と言われて俺と澤田はファフニールの方を見る。
「ん?なんだ?」
「いや、何でも…」
そして再び女の方を見た。
まさか、指名手配されているとはなー。それは予想外だったわ。
しかし、これからどうするか…。
逃げても当てがあるわけがないし。逃げた先にも指名手配の情報が届いてるかもしれない。
まさか、あのスナイプがこんな形で裏目に出るとはなー。思いもしなかったよ。
「そろそろ、私の仲間も来るわ。おとなしく―――」
女が言葉の続きを言おうとしたところで女の後ろの草むらがガサガサと動き始めた。
おいおい。もう勘弁してくれよ。




