1対2+1匹2
戦闘に参加してどれくらいたっただろうか?
体感では1時間くらいなんだが、きっと10分もたっていないんだろうな。疲れるのは嫌いなんだよなー。
両手にサーベルを持って男と対峙する。
「こういうのはこれで最後にしたいよ」
誰にも聞こえないほど小さな声でそう呟いて俺は駆けた。
すると、男の視界に黒い靄がまとわりつく。ファフだ。
さっきからこんな小さな援護しかしていないがまだ体に慣れていないのだろうか?
そう考えながら俺は男との距離を詰めた。
男は強引に靄を引きはがす。それに合わせて俺はサーベルを振った。
男は後ろに飛んで回避する。
「今のでダメかよ…」
自分で「行く」と言っといてなんだが無理な気しかしない。
かっこつけすぎたかな?
俺は右手をライフルに持ち替えて男に撃つ。男は右に走りながら躱す。時々スライディングをしたりしながら。
そして、弾切れになってリロードをしようとした時を見計らって一気に距離を詰めてきた。
「くっ!」
俺はライフルで男の剣を受け止める。
「おいおい。お前、こんなことで俺をやれると思ってるのか?」
「どうだろうな。無理な気しかしないが…。でも、やってみる価値ありますぜ!」
俺の言葉に合わせて澤田が援護してくる。タイミングもばっちり。
こういうネタに関してはさすがだ。ネタに関しては。
「さて…どうやるか」
敵の防御が無くなったと言え実力差は歴然。普通にやっては勝ち目はゼロだろう。
ま、普通にやる気なんてさらさらないがな!
「澤田!」
そう言って男を澤田と挟むように駆けだす。それに合わせて澤田も銃撃をする。男がそれを躱しているところを俺も銃撃を加える。
「必殺!クロスファイヤ!!」
男は必死で俺たちの銃撃を躱す。マジですごいなこいつ。幾つか剣で叩ききってないか?キ○トかよ…。
男は俺達のリロードまで耐えるとすぐに澤田の方へ行った。
俺と澤田なら澤田の方が男との距離は近かった。
「させるかー!!」
俺は出していたものをすべて消してスマートガンを出す。
「死ねえ!!」
俺の銃弾は男の右胸を貫いた。澤田にはぎりぎり当たっていない。
男は撃たれた箇所を抑えながら地面に膝をつく。
「ははは!ここまでとはな!」
男は嬉しそうにそう言った。
こういう戦闘狂の気持ちはわからない。元の世界にいたときは人を殺してみたいと何度か思ったことはあるがこの男ほどくるってはいなかった。実際にやっていないからそう考えると俺は臆病だったのかもしれない。
俺は男に近づき頭に銃口を合わせる。
「じゃあな」
そう言うと男は「ああ」と満足気にそう言った。その言葉を聞いて引き金を引いた。男はばたりと地面に倒れ込む。
終わってみると短いものだ。あの必死の攻防も今思えばすべてが一瞬の出来事。
「終わったな」
「ああ」
澤田の言葉に静かに同意すると、捕まっていた女の方へと向かった。
「澤田、ナイフ」
澤田からナイフを受け取り女の縄を切る。
自由になった女は俺達と距離を取って落ちていた剣を構えた。
「あなたたちは何者?」
もう勘弁してほしい。これ以上疲れさせないでくれ。
俺の心の叫びはだれにも届くことはなかった。いや、きっと澤田には届いているだろう。
こいつ、めっちゃ引いてるし。




