出会い
逃げ切った俺たちは崖近くにある洞窟の前にいた。
「俺達走りすぎじゃね?」
息を整えながら澤田に言う。
「だなー。俺は結構平気だぞ」
「なんでだよ!」
「鍛え方が違いますから~ww」
「その言い方腹立つわーw」
地面に座り込んで体力の回復を図る。
「てか、俺は徹夜でこれなんだけど…」
「それは…きついな」
「澤田、おぶって」
「無理」
澤田に即答される。いつもこうだ。まあ、普通は嫌がるだろな。
「ケチ」
そうつぶやいて手を後ろについて空を眺める。雲行きが怪しくなってきた。
「雨…降るな」
「どうするん?」
「…1、後ろの洞窟に入る。2、森の中に入る。さあ、選びたまえ」
「ん~。じゃあ、1」
「なんで?」
「さっき2を選んで災難だったから」
「極端だな」
「原因はつるっぴだ」
俺たち以外に誰もいないので呼び方を戻す。
「じゃ、行きますか」
俺達は雨宿りのために洞窟に入る。
もちろん用心して武器を持って。だが、俺たちに魔物の気配を感じ取るなんて芸当はできない。
不意打ちされたら終わりだな。
「やべえ…めっちゃ眠い」
「この状況で寝たら死ぬぞ」
「澤田ーおぶってー」
「無理」
またしても即答された。
洞窟の中は真っ暗だ。前なんて全く見えない。
「暗いなー」
「なんも見えない」
「心眼でw」
「無茶言うなよw」
魔物が現れるかもしれないというのに俺たちは話をしながら洞窟内を進む。
「だんだん慣れてきたな」
暗闇に目が慣れてきた。ある程度なら周りの状況が見える。
「ここまでくる必要あるのか?」
当然出てくるであろう疑問。
そんなの決まっている。
「面白そう以上の理由がいるか?」
「それって…」
「そう、ノゲ○ラ。ゼロは良かったぞー」
「ゼロは見てないなー」
「見ろ。絶対」
「どうやってやねんw」
「気合でww!」
俺達はよくこんな会話を元の世界でもしていた。こんな状況でもこうして馬鹿話ができるのは澤田と一緒にいるからだろう。こいつといるとなぜか不安とかが感じられなくなる。それは良いことなのか悪いことなのかはわからない。でも、今は楽しい。それ十分だ。
「そういえば、その台詞はFFの台詞らしいぞ」
「へー。そうだったんだ。俺はノゲ○ラで知ったからな」
「俺もFFをやったことないから詳しくは知らん。どこかで見た気がするだけだし」
「ググった?」
「いつかは忘れたけど」
そう話しながらどんどん奥へと歩いて行く。
そして突き当りに着いた時だった。
「ひろ!」
そこは広場になっていて壁には紫色に光る不思議な鉱石がいくつもあった。その光がこの広い空間を明るくしていた。
「ほー。でかいなー」
澤田も感心している。その時、さらに奥の方から声がした。
「珍しく客人が来たと思ったら、珍しいものを持っているとは」
低く、どこか威圧を感じるような声。
「……」
「……」
俺達は言葉を失った。声がしたからではない。その声の主を見たからだ。
「GUAAAAAAA!!!]
声の主は大きく吠えた。そのせいで洞窟内は大きく振動する。俺たちは耳をふさいで咆哮に耐える。
その声の主は…とてつもなくでかく、漆黒の鱗に覆われ、血のような濃い赤色の瞳をしたドラゴンだった。




