会敵
「初めからスキルを持っていることってあるのか?」
「初めから?…ですか?」
「例えば、生まれた時から持っているとか…」
「固有スキルの事?」
答えたのはアンではなくミルハだった。
「固有スキル?」
「固有スキルはその人しか持っていないスキルよ。その人以外に習得できないから同じスキルを持った人は絶対にいないわ。その分制約も多いのだけれど…。その固有スキルを持っている人は滅多にいないわ」
「へー」
俺がそんなあほみたいな返答をしていると
「あなた、もしかして持っているの?」
レナが聞いてきた。ここで正直に言うのは愚策かな?澤田もいるわけだし。
「いや、習得できるスキルがあるなら初めから持っているスキルとかもあるのかなーと思っただけだよ」
「そう」
すごいぞ。混乱耐性スキル。こんな土壇場でも冷静に受け答えができる。面接で絶対に欲しいスキルだな。
そしてまたしばらく歩く。
「この辺で休憩しましょう」
「そうね」
レナの提案に3人は賛成する。俺たちが今いるのは少し広場になっているところだ。この森では珍しく日光も入ってくる。
「あなたたちもそれでいいかしら」
レナが聞いてきたので俺は澤田を見る。
「きぐらしに任せるわ」
他力本願と思いつつ俺も賛成した。
地面に座って足を休ませる。
「しんど―」
「だなー。これはさすがにしんどいわー」
「お前はまだましだろ。俺は全く運動とかしてなかったんだから」
「それはかめロンが悪い」
「だって…」
なんて言っているとアンが干し肉を持ってきた。
「これ、良かったらどうぞ」
「ども」
俺は軽く礼を言って受け取る。
「カタバミは?」
「俺ももらうよ」
「珍しいな」
「こんな状況だからなー」
「さすがにそれは理解しているのか」
澤田は親に言われて、人からもらった物は食わない。澤田親曰く「毒が入っていたら大変」だそうだ。人を信用しないにもほどがある気がする。澤田はその教えをずっと守ってきたがさすがにこの状況では仕方がないと言ったところだ。
「かった!」
「するめみたいだな」
「あっそれ俺も思った」
「するめ…ですか?」
アンが首をかしげて言う。
「知らないの?」
「はい…」
「するめはないのかー。残念だなー」
「かめロンはするめ好きだもんな」
「あれがないと死ぬw」
「そこまでかww」
「えっと、あの」
困惑したようにアンが言った。
「あーごめん。…するめっていうのはイカを乾燥させた奴」
「ほかにも工程なかったっけ?」
「知らん。俺が知っているのはイカの乾燥させたってだけだ」
「イカを食べるのですか?」
「食べないの?」
「はい」
この世界ではイカは食べないらしい。「あんな気持ちの悪い物」と言っていた。それはイカに失礼である。
干し肉を食い終えて黄昏ているとミルハが来た。
「少しいいですか?」
「どうぞ」
「昨日の夜はどこにいましたか?」
「…カタバミ、なんか尋問されてないか?」
「知らん」
こいつ逃げやがった。
…さて。ここで正直に言うか、嘘をつくか。慎重に選ばなければならない。
どうする!
その時、突然広場に白銀の狼が現れた。
「シルバーウルフ!?」
「昨日の奴らでしょうか?」
「多分そう」
レナとアン、ティアは剣を抜いて臨戦態勢に入っている。ミルハは慌てて3人のもとに行く。
数は4.おそらく昨日と同じ奴らだ。




