スキル4
出発してしばらくたった時。
「なあ、かめロンってあんな喋れたっけ?」
深い森を歩きながら澤田が聞いてきた。
「あれはめっちゃ無理してたんだよ。心臓やばかったぞ」
俺は人見知りだ。初対面の人と話すと鼓動が面白いくらいに早くなる。レナと話している時はめっちゃ無理して話していた。実は背中がすごくやばかったんだ。
「ああー。なるほど」
「あんなことはもうごめんだ」
「でも、いつも以上に落ち着いて見えたぞ。目、あんまり泳いでいなかったし」
「?」
澤田曰く俺は緊張すると目が泳ぐらしい。でも、それがなかったと言っている。どういう事だろうか?
俺はおもむろにステータスのカード(ステータスカード)を出す。
「あっ…」
「どうした?」
そう言ってきた澤田にカードを見せる。
「混乱耐性Lv1?」
「詳細は―――」
『混乱耐性Lv1:混乱に対する耐性。混乱状態でも多少は頭が回るようになる』
「便利そうだな」
「というかスキルってそうやって増えるんだ…」
「俺も驚いたよ」
スキルの解放条件はまったくわからないが、新しいスキルをゲットできたのは幸運だろう。それに『混乱耐性』は俺にとってすごく便利だ。このスキルのレベルを上げていけば人見知りすることなく人と話すようにできるかもしれない。
「どうかしたのですか?」
俺達の前にいたアンが振り返った。
「いや、スキルでちょっとな」
「スキル…ですか?」
「ああ」
「スキルって何か習得したのかしら?」
一番先頭にいたレナも入ってきた。
「まあな。(ほうこれが混乱耐性…ちゃんと話せる)」
「それは良かったねー」
後ろにいたティアまで入ってきてる。
「どんなものを習得したのですか?」
最後尾のミルハまで入って結局全員参加になってしまった。
俺が少し渋っていると
「別に言ってもいいんじゃないか?」
澤田に言われたことだし、ここで怪しまれるのもなんだ。
「混乱耐性というスキルでな」
「混乱耐性ですか。珍しいですね」
「そうなのか?」
「ええ。そんな滅多に手に入るスキルではないですよ」
アン曰く混乱耐性はレアスキルらしい。
「へー。人見知りの俺にはうってつけだしなー。幸運だったよ」
「人見知り?」
ティアが首をかしげ場がら言う。
ほう。この世界には人見知りという言葉はないのか?それともティアが知らないだけか?
「カタバミ、説明よろw」
「俺に振るなよ!!w」
澤田に振って俺はステータスカードを見る。
どうやってスキルレベルを上げたり、習得できるのだろうか?
それが分かれば強くなれるはずなんだけど…。
「なあ、いいか?」
俺は澤田が説明し終えたあたりでレナにスキルについて聞く。
「どうやったらスキルレベルを上げられるんだ?それとスキルの習得はどうするんだ?」
「そんなことも知らないの?」
レナは飽きれたような顔で俺にそう言った。
「仕方ねえだろ。こちとらつい先日来たんだから」
「…そう」
嘘は言っていない。ただ、曖昧な言い方をしただけだ。こう言えばたいていの奴は納得する。
「スキルレベルはスキルを使っていけば上がるよ」
「スキルの習得にはそれぞれ条件があります。その条件をクリアすることで習得することができます」
ティアとアンが教えてくれた。
つまり、混乱耐性は俺がパニックになりながら話したお陰ってことか?でも、初めからあったそのスキルはどういうことなのだろうか?