1.いつだって心に
織田 暗井18歳、性別男、職業は無職、つまり、簡単に言えば親の脛を齧るニート...ではなく親の家事などの雑務をこなす最高にカッコいい一家の大黒柱、の..ような責任重大な自宅警備員である。
夕刻のころいつも通り俺は親が買ってくる餌もとい夕食を待っていた。
しかし、現実は甘くない。漸く帰宅した両親が俺に世界の終わりを告げる鐘という名の死刑宣告を話す。
「私達は1人息子のあんたがこのまま腐っていくことにあんたの将来が心配なのよ」
「そっか母上、父上、俺が路頭に迷わないように長生きしてください」
「あんたの部屋の机の下の丁度、大人がしゃがまなければ見えない死角に普通の写真入れがあるけど二重になっていてその底に裏返しであんたが好きな女の子の写真がまとめて入っていますね」
「母上、いやだなー、そんなことあるわけないじゃないか、あれはいつも机の上に置いてあるじゃないか」
「あら、ここにきて言い逃れをするなんて私の息子は素直じゃない、あなたがカモフラージュで同じ箱を2つ用意して、あたかも1つしかないようにみせかけるためにわざと私に死角にいつも置いてあるようにみせかけているのを私が気づかないとでも?」
「母上、普通に怖すぎます。息子のプライバシーは思春期なら理解して下さい。詮索するのはよくないですよね父上?」
「つまり、お前には仕事をみつけてこいと言っている
。成人するまでは面倒みてやる」
「父上、異議ありです!学歴がないのに仕事をみつけてこいとは学歴があってもかろうじで会社の内定を取っている今の日本では難しいので家の雑用ならなんでもしますので養って下さい」
「母さんは悲しいわ、無駄に可愛い顔の女の子の写真ばかりで」
「母上、もうその話はよしてください、泣きますよ俺」
「母さんのいうとおりだ」
「えっ?、聞き間違いかな父上」
「つまり、お前は嫁がいらないのかと言ってるんだ」
「あー、そういうことですか父上。しかし、父上、世の中は赤い糸で結ばれた人が世界のどこかにいて必ず巡り会うと母上が幼き俺に教えてくれました。だから
、嫁を探すのに時間を割く必要はない、なぜなら赤い糸で結ばれているから」
「そうじゃない、俺はサラリーマンで家のローンも残っていてとてもじゃないがお前を養っていく経済的な余裕がない」
「父上、簡単ですよ、宝くじを買って当てればいいんですよ」
「クライ、あのな、宝くじが当たる確率は飛行機が墜落するより低いんだぞ」
「なんだ思ったよりニュースでよく飛行機も墜落する報道されるし、宝くじが当たった人もよくテレビでみるからよゆうよゆう」
「もしかして、私の息子はバカだったの」
「いやだな、母上。余の辞書に不可能はないってナポリタンも言ってるし」
「(ゴホン)とりあえず、お前に足りないのは社会の厳しさと常識と勉学と知識と努力だな。特に努力が足りてない、努力してる人間が親の脛を齧ってヒモ生活するはずがないだろ」
「母上、助けてください」
「私は私のような女とクーくんがくっついてくれればいいの。可愛い女に騙されちゃダメよ。例えば、よく見るお気に入りの可愛い顔の女の子の写真が一枚だけ上の箱の上から2番目の不自然に写真ケースを自作してあってその裏側にいれてあるでしょ」
「母上、怖いです、これでも真剣に隠したつもりなのに...今度からは暗号付きの隠し部屋を作る勢いで隠します」
「父上、母上、とりあえずじっくり考えてから仕事を探すか考えます」
「「お前に選択肢はない」」
俺は両親に働けという無理難題をおしつけられてしまった。専門学校も行ってないどころか義務教育も碌に学んでない。こんなやつ、どこの会社が雇ってくれるというんだ。こんなことなら、また小学校からやりなおしてみたい。
「あ〜あ、働くのいやだなー、誰か養ってくれないかな」
「イマ、ロクデモナイクズハツゲンヲシタナ」
「えっ?テレビの音か?」
「イマ、ロクデモナイクズハツゲンヲシタナ」
「まったく、幻聴ならまにあってるっつうの」
「オイ、ソコノキサマゼツボウシテルカ」
「ごめんなさい、ごめんなさい、どこのどなたですか
?」
「ワレ、ウヌノネガイカナエタケマツル」
「はい?...」
「ナンジ、チギリタテタナ」
俺は緑の四角に頭から吸い込まれていった。