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第1話

 「ヒミコ!!!!これで!!終わりだ!!!」


 俺は宿敵の暗黒女王ヒミコの懐に入り2本の魔人剣を突き刺した。

 右手に持つ炎の大剣はヒミコの左の胸に突き刺さり、左手に持つ氷の突剣は右の胸に突き刺さった。


 「俺たちの勝ちだ」


 「あらら、この傷じゃあダメみたいじゃの」


 ヒミコは他人事のように自身の2本の剣が刺さった胸をみてつぶやいた。


 「じゃがのう、闇の世界に帰るのに1人じゃ淋しいから、坊やも一緒に来てもらおうかの」


 「離せ、この野郎」


 ヒミコは俺の両腕を掴みその力は強力ではずせそうになかった。

 2本の剣で突き刺さった胸の黒い切れ目から徐々にヒミコの体と俺の腕が吸い込まれていく。


「坊や、悪いけど先に行かせてもらうわね。また後であいましょうね」


 そう言ってヒミコは闇に吸い込まれた。俺も少しずつ闇に吸い込まれてるみたいだ。

 痛みは感じないのだが2本の魔人剣と両腕は闇に吸い込まれていた。


 「綺羅さん!」


 「隊長!」


 「綺羅!」


 「キラ!」


 「アニキ!」


 仲間のみんなが俺を助けようとこちらに駆け出してきたが


「やめなさい!キラはもう助けることはできないわ。今私たちが彼に近づいたら私たちもまきこまれるわよ」


 「ネイ!お前綺羅を見捨てるのかよ!一番なついていたお前が!」


 「私だって助けたいわよ!でも……」


 ネイが泣いていた。いつもクールビューティなダークハイエルフが俺のために泣いている。

 そりゃそうだろうな。

 ネイ・イチジョウ。この世界での家族の1人だ。


 てか俺も死ぬかもしれないのに冷静に仲間を見ている自分におどろいた。 

 「みんな、今までありがとうな。この世界にきて、いろんなことがあったけどみんなに出会えてよかったよ。俺はこのまま闇に吸い込まれるみたいだけど、ま~なんとかなると思うからあんま気にすんな」


 俺は精一杯の笑顔でみんなを見た、ちゃんと笑顔になってるかな。ホントはマジ泣きそうなんですがみんなに心配させるわけにはいかんし、なんたって俺はヒミコを倒した勇者の1人なんだから。

 泣いているネイ、セリア、アルト、悲痛な表情のシアンとヴァンヘルト。そして怒った表情のリョウ……なんで怒ってるんだあいつは?


 あれ、体が思うように動かんな~。もう限界かな。

俺はみんなに伝えたい言葉がある。『さよなら』じゃなく『ありがとう』でもなくただ一言


「またな!」


 俺は自分の最後の言葉がみんなに伝わったかどうかわからないまま俺は闇に包まれた。






 「綺羅……起きないとあたいの愛情たっぷりの口づけをするわよ!」


 「イフリート下品なことはやめなさい。 綺羅様起きてください」


 左右両手から声が聞こえてくる……ああ~シヴァ(氷の突剣)とイフリート(炎の大剣)か。

 目を開けると2人の美しい女性が俺に微笑んだ。

 どうやら2人は魔人剣から人の姿に変わったようだ。


 「もうちょっと寝てたら、あたいの口づけで目覚めさせてあげたのに」


 と褐色の肌に紅の髪とその瞳を持つ美しい美女、炎の魔人イフリートがそっと自分の顔を俺の顔に近づきキスをしようとするが白銀の髪透き通った白い肌の美少女、氷の魔人シヴァが俺からイフリートを引き離した。


 「なにするの!このクソガキ!!あたいと綺羅の邪魔するなと何度言ったらわかるの。氷の魔人は脳みそも凍ってるせいか私の言葉がわかんないのかしら」


 「綺羅様が嫌がることをしないでくださいと言ってるんですよ……ほんと炎の魔人は脳みそがマグマのように溶けてるからわからないのかしら?」


 イフリートとシヴァはにらみ合ったまま俺の右手はイフリート左手はシヴァが握っていた。


 2人も俺を魔人剣のマスターとして認めてくれてるのはありがたいが、こう頻繁に俺を取り合う形でけんかされると疲れるんだけど。

 イフリートはシヴァをおちょくるために俺に色仕掛けをかけるだけで本気でないことは俺も知っている。

 最初の頃は、俺に気があるんじゃないかと思っていたんだが、俺をからかうのが楽しいからと言った。

 なので俺はイフリートが色仕掛けで迫ってきても本気に対応しないことにしたのだ。

 シヴァは真面目な子なのでイフリートの不真面目な態度(俺に対する色仕掛けなど)がゆるせないそうだ。よく喧嘩する2人だが戦闘の時は2人は協力し俺をサポートしてくれる。

またお互いを助け合うこともある。

ま~喧嘩するほど仲がいいとはこう言うことだろう。


 ん……ところでここはどこだ?

 それに……


 「おい!ヒミコはどうなった?」


 周りを確認すると俺達は大きな風船に入れられた感じだった。


 「わかりません。私たちも綺羅さまと一緒に闇に包まれた瞬間、周りに結界をはるのが精一杯で」


 どうやら俺は2人の作ってくれた結界に守られてようだ。だが結界の外には何もなかった。

 ないと言うか闇、黒色?とにかくそんな感じで何もなかった。

 2人がいなかったら俺はどうなっていたんだろうか。

 考えただけで……イヤ考えないでおこう。 とりあえず助かったのだから。


 「2人ともいつもありがとうな」


 「ふふふ、そうよね~ 助けてあげたんだから熱い口づけを……むぎゅ」


 「綺羅様、気にしないでください。私たちは当たり前の事をしただけですから」


 と平然とした顔でシヴァはイフリートの顔を手で押さえつけて俺を守ってくれた。


 「ところでここはどこなんだ?」


 「すみません私にはちょっとわかりません」


 「ごめん、あたいもちょっとわかんないわ」


 シヴァは泣きそうな表情で答えたのに対しイフリートは豪快に笑い俺の背中をたたく……なぜ叩くんだ。痛いじゃないか。


 「イフリート、シヴァとりあえずここから脱出する方法を考えよう」


 「そうですね」


 「そうね」


 何か脱出する方法があるはずだ1人じゃ無理かもしれないが俺たち3人ならなんとかなるはずだ。

 そして時間だけが過ぎていった。



 3人であ~だこうだと話し合ったが一向に脱出する方法がない。

 時間だけが過ぎていく……てかどれくらいたったんだ?

 時間の感覚がまったくわからん。

 特にお腹がすいたり、喉が渇いたりといった感じが全くしない。


 たぶんまだ1~2時間ぐらいしかたってないのかな。

 といっても喉の渇きは魔術や魔人の2人の力を借りればなんとかなると思うが、腹が空いてはなんともならんからな~。

 餓死する前にこの暗闇の世界から脱出しないとな。


 「あら……あちらの方からなにか光ってませんでした?」


 イフリートが指差す方を見ると小さな点のようなものがある。


 「おお!出口か!」


 「どうでしょう?でも現状どうすることもできないのでとりあえずあちらに向かう事をお勧めしますが、何が起こるかわかりませんので私たちは剣にもどったほうがいいと思うのですが」


 そうだな、この状況ならなにがおこるかわからんし、油断しない方がいいだろう。


 「よし、イフリートは魔人剣にもどってくれ。シヴァはそのままで俺のサポートを頼む」


 イフリート、シヴァ2人も人型ヴァージョンの時は魔術が使える。それも最上級魔術だ。

 と言ってもイフリートは炎の攻撃系の魔術でシヴァは氷系魔術しか使えない。ま~炎の魔人と氷の魔人ですからね。

だけど氷系の魔術はサポート、回復などの魔術もあるので今の状況だと2人も魔人剣になって戦うより1人はサポートにまわってもらい慎重になるほうがいいだろう。回復、サポートの魔術を持たないイフリートが魔人剣になってもらいシヴァが魔術でサポートと結界をはってもらうのが最善だろう。


 「わかったわ、我を求める主人の為、我は最強の剣となろう」


 人型から魔人剣に変わった。

 俺は炎の大剣を両手で持ち構えた。


 「シヴァとりあえず結界を張りながら、『絶対魔術防御』を頼む。そのあとはシヴァの判断でサポートを頼む」


 「分かりました」


 俺たちは警戒しつつ小さな光に向かった。


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