勇者お断り
ホントに突然だがここは俗に言う魔界・・・そこにある魔王の城の前である。
ここまできた理由はお約束で申し訳ないんだが・・・。
命令だけしてたいした餞別もくれない爺さん…もとい精一杯の援助をしてくださった王様の命によってここまできた。
そんでもって色んな戦い等々を経験して出会いや別れがあったわけだ。
今では仲間もいる。
こっちにいる…って言っても文だからわかんないよなぁ…。まぁともかく眼鏡をかけた牧師さん風の格好した物腰が丁寧そうな灰色のお下げ男。名前はレイ・カーティス。まぁ紹介どおり回復兼魔法係。ちなみにお約束どおりの腹黒。
「一気に紹介しましたね・・・。ところで誰が腹黒ですか?ルシオ君。」
そこでにこやかに炎を出しながら質問してるあなたですよレイさん。
そんでもう一人。弓を持ったやたら露出が多い格好のよく怪我しねぇよな的な赤いショートの姉ちゃんがアイリス・ライアット。最近のトレンドか?
「何の話をしてるの?」
いや、時代の変化なんだろうなぁって…。
あぁ。そして俺は主役…なのかな?名前はルシオ・ヴァレンタイン。まぁ格好はそこいらの昔ながらのRPGの勇者っぽいのだ。
「投げやりな紹介ですねルシオ君。」
だって誰も興味ないだろそんなの…。ていうかなんで俺が司会進行してるの?
「人手不足と作者の無能ですね。」
「仕方ないわよね…。」
なんちゅう世界や…。
「まぁ何でこんな重要そうな場面で呑気にだべってるのかの説明が必要じゃない?」
「任せましたよルシオ君。」
へーい…。えーっと…数時間前に戻るわ。
―数時間前―
「ここが…魔王のすむ城か・・・。」
鋭い目つきで城を見上げながらそう呟く。
「やはり壮大ですね・・・禍々しさすら感じますよ・・・。」
「この先に・・・あいつがいるのね・・・。」
レイやアイリスもそう言いながら同じように城を見上げる。魔界に魔王の城。そのシチュエーションに相応しい赤く暗い空の色。そしてそれに相応しい雷鳴とか蝙蝠とかその他もろもろ・・・。
え?なんか投げやりだ?まぁその理由は後で分かるさ。
「行くぞ!!」
「えぇ・・・!!」
「分かったわ!!」
気合も新たに城門を空けようと・・・したのが・・・。
「何だこれ?」
「張り紙・・・ですねぇ・・・。」
「勇者お断り?」
えぇそりゃもう。セールスお断りみたいなのがでかでかと…。さっきまでのやる気なんぞどっか行っちゃいますよねぇ!?そう思いません!?
「ま、まぁとりあえず入りましょう。」
「え…えぇ・・・そうね・・・。」
「よ、よーしいくぞー…。」
ぎこちない気合を入れたところでとりあえず中に入る。戸締りしてなくてよかったよ・・・。
そんで色々すっ飛ばして魔王のところまで行ったわけですよ。ところで何か口調変わってません俺?
「出てこんかーい!!この魔王がぁ!!」
乱暴に扉を蹴破る。
もうどっちが悪役か分からんよねこれじゃ。
「どこのやくざですか貴方は?」
「一緒にいるこっちが恥ずかしいからやめて頂戴・・・。」
それぞれの呆れた声が聞こえるがそんなの関係ねぇといった感じで一気にまくし立てる。
「何だあの勇者お断りって!!俺らはセールスかなんかか!!」
そこまで言うと目の前の椅子に座ってる男・・・こいつが魔王だ。
そいつは面倒そうに隣に立っている女を見て口を開いた。
ちなみにこの姉ちゃん。格好はスーツをびしっと着こなしてて秘書って感じの金髪美人だ。
「来ちゃったよ・・・。」
「あんな貼紙を貼られては逆効果かと…。」
「いい手だと思ったのになぁ…。」
「徹底的に施錠しておけばよかったのでは?」
「でもさぁ…今日は一般開放してるし…。」
道理で途中で戦闘も何もなかったわけだよ・・・こっちに何の関心も示さなかったし。ていうか一般解放ってあんた…。
「一回やられて変身とかしなきゃダメなんだよなぁ?」
「統計ではそうですが・・・。」
「あのネズミのきぐるみとか。」
「各方面に訴えられるかと…。」
「二人羽織で誤魔化すってのは「セクハラですね。」
間髪いれずバーンと物凄く重い音が響いた。
思わず目を閉じてしまった俺達が次に見た光景は顔から煙を上げる魔王とそいつの顔の形にへこんだフライパンをもった女だった。
「あのー…。」
思わず俺も声をかけたんだけどさぁ…。
「ただ今主がこのような状況ですのでまた今度…ではダメでしょうか?」
こう言われたら頷くしかないよなぁオイ…。
「…てなわけだ。」
「ていうかこの話続くの?」
「作者の能力次第ですね。ただでさえ文才無いですから。」
とりあえず一行は城をもう一度見上げた後、盛大にため息をつき宿を探すことにした。
「この旅終わるのか?」
「さぁ…どうでしょうね・・・。」
「考えるのも馬鹿馬鹿しいわ…。」
そんなこんなで続く?
続くよね・・・?
続いてよ・・・。