七章2
叔父さんたちを微妙な視線で送り届けた後、再び集合した一行は午後のスケジュールの打ち合わせをしていた。
「今日もお客さんが入るそうなの」
「そうなんですか」
「ええ」
百合花さんはなんとも難しい顔で頷いた。
「さっすがー大繁盛だね!」
「ふむ、それに連ねて、我々の仕事も増えるがね」
「それは文句を言っても仕方がないと思います」
「いろんなことを体験できて、いいじゃない」
「確かにそうなのだが……」
先ほどは流れで肯定していた金西は言葉を濁らせた。
「なによ、割り切れないわね」
「手は空いているんだから、働くはたらくっ!」
「ええと、薫。さっき買ってきてもらった食材の分量はメモ通りかしら?」
「いえ、市場の方からのサービスがすごかったので予定よりは多いはずです」
「そう……」
薫の返事に頷きはするものの、どこか悩んでいるようだ。
「……うん。やっぱりお願いしようかしら。もう一度お使いを頼んでもいいかしら?」
「ええ。かまいませんよ」
薫は頷きながらにこりと笑う。朝のやり取りを忘れているわけではないが、今は生徒会として動いているため敬語になってしまっている。しかし、彼女は気にした様子はなく進めていった。
「ふむ、もう一度薫君に行かせるのも悪いので……私が行こう」
「え、会長がですか?」
「どういう意味かね?」
ギロリと睨まれる。正直、線の細い会長に力仕事はどうだろうと思ったのだけれども。折角の好意なのだから甘えるべきだろうな。
「じゃあ、お願いします。会長」
「うむ」
彼は強く首を下に振ると、お金を渡すからと百合花さんとフロント裏へ消えていった。
二人を見送り、ふと視線を廻らせると、人数が減っていることに気がついた。
「そういえば、麗は?」
桜花に訊いてみる。すると彼女は首を横に振った。
「ここに集まる間にどこかへ行っちゃった」
ということは、厨房で桜花と再会した後から姿が見えないことになる。桜花と同じで、彼女も休み中は毎回旅館を手伝っているらしい。迷ったという心配はいらないとは思うが。
「まあ、あいつのことだから大丈夫だろう」
「そうね」
「じゃあ、僕の仕事はなし。桜花もなしでいいんだよね?」
「うん。私も給仕までは手伝わなくていいって、お姉さまが」
「じゃあ、一旦部屋に戻ろうか」
「うん。そうね」
二人はそろってフロントを後にしたのだった。




