三章7
八代家リビング。
「この人はどう? 遠距離魔法が得意って書いてある」
「魔力もあるし……候補に入れておくべきだろうね」
そう言って、薫はコピー用紙をファイルに入れる。テーブルにおいてある紙束からまた一枚手に取る。これも生徒の個人表だ。先ほどの委員募集をしていたときクラスと名前を記入してもらっていた。で、会長に渡して即座にデータを集めてきてもらった。しかし、多いな。
「気長にいこうか」
自分に言い聞かせ、作業を再開させる。
「ただいまー」
月菜が帰ってきたようだ。
リビングに入ってきた彼女は扉の前で目を丸くして棒立ちになっていた。
「お帰り。部活?」
「う、うん。今度出展する作品を制作していたら遅くなっちゃった。……でも、おかげでいいのができたよ」
ふと、表情を切り替えて微笑む月菜。
「それで、この紙束はなに?」
「これは委員会に立候補した人のデータだよ。今年から新しい委員会が創設されてね。その人員を誰がいいか選んでいるとこ」
「へえ~。できたばっかりでこんなに人が集まるんだね」
「いや、最初は逆だったんだけどね。……会長が非常識なことをしたからこんなことになっている」
嘆息気味に薫は言う。
「じゃあ、しばらく当番代わる?」
「ありがたいけど、大丈夫だよ。……桜花、中断して夕飯作ってくるけど任せていい?」
資料に目を通していた桜花はコクリと頷いた。
「じゃあ、少しの間よろしく」
そう言って、薫はキッチンに移動し調理を始める。桜花は薫を見つつ作業を続けていた。
結局、人選に二日かかった。
*
「きおつけ、礼!」
マイク越しに金西の張りのある号令が体育館内に広がった。
生徒は各々舞台に礼をする。
「まずは校長より話があるそうだ。皆、静かに聴くように」
などなど。
月一度の朝会は順調に進んでいった。
「以上で朝会を終わる。……生徒会、及び先ほど選出された規則委員は解散後舞台前へ集合したまえ。では解散」
号令と同時に体育館は静けさを失った。
生徒が出て行く中、生徒会と規則委員は軽く顔合わせと片付けをして解散となった。
片付けを終えた薫と桜花が教室に戻ろうとすると、委員に選ばれた女性陣が桜花を囲んで質問攻めを開始。
もちろん人見知りの桜花が答えられるわけもなく、薫を見つけるや背中に回りこみ、盾にして隠れてしまう。
完全に怖がってしまったらしく、薫の背中をぐいぐい押してくる。
はあ……と内心ため息をついた。仕方なく委員たちにも人見知りについて説明すると、ごめんねと謝ってきた。
次の日の朝、生徒会に一本の電話がかかってきたのだった。
三章終了です。




