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無魔力剣士と召喚士  作者: 夜空 切
第一幕
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閑話1

 |西星≪にしほし≫市中央区。

 某地域を東西南北四つの市に分割されたうち、西星市は一番の魔術都市となっている。なにより目を引くのはそこらじゅうで奇形の怪物――魔獣が人間と同じように路上を闊歩し、空を飛んでいるのだ。空に浮かぶ太陽をじっと見つめるとその光は不自然な揺らぎを見せている。これは魔術結界が張られている証拠である。

 この街は南星市と違って、魔獣召喚規制が無い所謂魔術都市と呼ばれている。そのため、街中では魔獣がうろついているのはあたりまえ。もちろん召喚主がいるので、歩行者や建物などに危害を加えることはほとんどない。だが治安はお世辞にもいいとは言えず、魔術による犯罪も後を絶たない。そのため住民のほとんどは魔術を生業とするか、その関係者である。

 一般人では到底立ち向かうことができないため、余程のことがない限り、市自体が魔術に携わる人間以外の移住を受け入れていない特殊な市であった。

 そんな道を田島洋一(たじまよういち)はデバイスに映されている地図を頼りに歩いていた。彼は南星学院高等部一年、来年度から二年になる。

 田島は学院の中でつい最近、長瀬に続き第二位へと繰り上がった魔術師だ。

 そんな彼が向かう先は、西部中央にある魔獣研究所。通称M・L(マジックラボ)

 これは全国に配置されており、魔術道具の販売や魔獣の医療機関といった、魔術にかかわるすべてを内包している研究機関兼販売会社である。ここ十数年で一気に市場を把握し、世界でも人気を獲得。本部は十六階建てで、ビジネス、魔術系の雑誌を捲れば必ずと言っていいほど取り上げられている大企業だ。

 ここを運営しているのは、桜花の父である神奈崎総一郎氏。

 田島自身、M・Lとの繋がりは無いと思っていた。しかし、昨夜に突然サラリーマンの営業をしていると教えられてきた父が、本当の職はM・Lの研究員だと告白してきたのだ。そして、社長が息子の洋一に会いたいということ伝えられた。

 なぜ社長が息子に会いたがっているのかが分からず父親自身困惑しているらしい。父曰く、俺は研究には向かない性格のようで、そっちの方面は続かないとさんざん言われてきている。それは田島自身も承知しており、頭を使うより身体を動かしているほうがいい性質だ。

 要件は来訪時に伝えられるらしく、親父はメッセンジャーでしかないとのこと。断っても特に問題はないようでそこは安心だとか。行くかどうか迷った末、結局向かうことにしたのだ。純粋にM・Lの社長がどんな用で自分を呼ぶのか興味が沸いたからだった。


 M・Lまでは中央駅から歩いて五分ほどで到着できた。

 自動ドアをくぐり、ロビーのカウンターを目指す。

 ふと、その場で見上げると天井の高さに驚いた。ロビーだけで二階分の高さはあるだろうか。室内には魔獣の形をした銅像が数多く設置されている。

 ロビーの豪華さに圧倒されつつも、何とかカウンターにたどり着く。


「社長をお願いします」


 とカウンターの女性に声をかける。緊張のあまり若干声が震えていた。


「アポをお持ちですか?」


 その問いに対して返答はせず、制服のポケットから一枚のカードを差し出す。昨夜、父親にアポ代わりにと渡されたものだ。


「お預かりします」


 女性はカードを受け取ると、端末に差し込み、慣れた手つきでキーボードを叩いていく。

 数秒ほどでカードが返された。


「そこのエレベーターで十五階に上がって下さい。ドア前に社長秘書が居りますので、あとは彼女の指示に従って下さい」


 彼女の言葉に頷く。そしてエレベーターに乗り込んだ。

 LEDランプの数字が十五階を示し、ドアが開く。エレベーターを出てすぐ目の前に女性が立っていた。

 全身白のスーツを着て、髪は肩で切りそろえている。釣り目で化粧のせいか鋭い目つきに見えた。


「田島様ですね。神奈崎社長専属秘書の鶴岡と申します。さあ、こちらへ。社長がお待ちです」


 田島は豪華な扉を押し開けた。


次は三章に入ります。

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