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黒王国物語 第1回目  作者: 朝倉あつき
第3章 動き出す者達
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第3章 動き出す者達(1)

 フクロウの鳴き声がここ一帯に夜が来た事を告げる。

「なァ、アレック。これから俺達は何処へ行くんだ? ウィル元帥の所か?」

「あったり前じゃない。ニコラ君、勘が鈍いね。そんなんで俺達この時代生きてけないよ」

 セレナ達一行は、シュヴァルツ王国とリーフィ村の国境付近にいた。

 そこで、ニコラは鈍い発言をアレックに伝えたのだ。

「まァ、元帥が俺のノールオリゾンの技術の腕を買われたんだがなァ」

 ニコラはそう言い、セレナを見据えた。

 自由から解き放たれたセレナはずっと、ずっと、夜空を見上げていた。

 何もない自由の空。ニコラは、彼女には、普通のメカとして生きて欲しかったと思っていた。

 だが、普通のメカじゃないからこそ、セレナの今があるのだ。

「セレナちゃんを見ているとさ、なんだか懐かしくなる。セレナ姫が、俺に良くして下さった事を」

 セレナ姫、その言葉を聞いたニコラは微かにアレックから視線を外す。

 セレナ姫は、エレン姫の姉である。

 もう、既に病気で亡くなった王位継承権一位の姫だった。

「俺が小さい頃、悪いゴロツキに絡まれて、俺、怪我する寸前だったけど、セレナ姫に俺は守られたんだ」

 アレックが小さい頃の話だ。

 アレックは、セレナ姫によって窮地を救われた。その時から、アレックは今度こそセレナ姫を守ると誓った。

 だが、運命は残酷にも、セレナを殺した。

 重い肺結核を患い、死んだのだ。

「アレック、そんな事があったのかァ。お前でも純情に恋でもすんだなァ」

「ちょっと、恋だなんて。ニコラ君、勝手に恋愛だなんて決めつけないでよ。俺には到底結ばれない相手だったんだからさ……」

 そう言い、アレックは目を閉じた。鮮明にセレナ姫の顔を覚えているアレックは、今でもまだ、セレナ姫に恋をしているのだろうか。

「今度こそ、守るよ。セレナ姫を。彼女は、セレナ姫じゃないかもだけども――」

「そういう話だったんだな」

「あ、エルマちゃん、聞いてたの。盗み聞きは良くないよ」

「まあ、だいたい、予想はしてたんだな。」

 エルマはそう言い、ついでに立ち聞きしたのを詫びた。

 しかし、そのエルマの顔はどう見ても暗い。

「じゃ、俺は寝るね」

 アレックは、そう言いテントの中へ入っていった。

「エルマ、随分暗い顔じゃねェか。どうしたんだ?」

「未来が見えるのも、良いことだらけじゃないんだな」

「エルマ、何考えてたんだァ……」

「その……、確かに、あの予言は当たるんだな。これは自信を持って言えるんだな」

 予言――シュヴァルツ王国が復興する。エレン姫の下で、復興するという事。

「だけど、ニコラ殿、アナタ達には悪いんだな……見えてしまったんだな。アナタ達の未来は……」

「……あァ、そういう事かよ」

「アレック殿には内緒にしてて、欲しいんだな。アナタ達二人、そしてセレナ姫は――」

 見えてしまった幼馴染みの行方に、エルマは涙を零したのだった。

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