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黒王国物語 第1回目  作者: 朝倉あつき
第2章 逃亡先での生活
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第2章 逃亡先での生活(1)

 リーフィ村の一画にある大きな協会。

 ユーグの妹であるリリィは病で苦しむ民達の看病をしていた。

「リリィ様、お客様が……」

 民を一人看た時だった。

 一人の神子が、リリィを呼ぶ。

「分かったわ。ちょっと待っててね」

 リリィは最後の一人の看病を早めに終わらせると、急いで客間へ向かった。






「羽月湊さん――ツツジの里の情報網が本当であれば、マクスウェル家が先日のグローヴァー家領主の暗殺に関与しているという噂なのですね」

「ああ」

 ツツジの里の警官――羽月湊はそう言い、証拠品を突き付けた。

 この事件に関与したイオン・カルロスによれば、ある者に金を貰い毒を盛ったという。

 依頼主はオリジン――というが、オリジンは別名マクスウェル家の隠語である。

 つまり、マクスウェル家が関与した事は濃厚である。

「分かりました。天使教に勤める私としても、この件は見過ごせないですね。私達の方からも、何か策を念じましょう」

「そうすると、助かる」

 しかし、ややこしい事になった。

 相手はマクスウェル家領主――ダニエルという事になる。

 ダニエルの家マクスウェル家は没落したとはいえ、シュヴァルツ王国の元帥閣下であるウィルと強い繋がりがあるという。

「モニカさんを呼んでくれる?」

 リリィは冷静な顔つきで、神子にモニカを呼ばせた。

 黒神子――モニカは司祭リリィの呼び出しだと分かるや、すぐさまリリィの元へ向かった。

「なんでしょう、リリィ様」

「貴方に、任務を命じるわ。モニカ・ベレーナ――マクスウェル家に奉公しに行ってくれませんか?」

 まさかの命令に、モニカは圧巻せざるを得ない。何故、いきなりマクスウェル家に奉公しなくてはならないのだろうか。

「ダニエル様を探って欲しいのです」

「ダニエル様、を……?」

 ダニエル――久方ぶりに聞く、モニカの思い人の名だ。

 神子になる前、孤児院で面倒を看てくれたのは、他でもないダニエルだ。

 何しろ、ダニエルの家が運営する孤児院にモニカはいたのだ。

「い、行かせて下さい!」

「モニカさん、貴方は任務のために行くのです。それを忘れずに……」

 こうして、モニカは素性を隠し、マクスウェル家へ奉公に出た。






 元シュヴァルツ王国の領地を、一人の女が歩いていた――名は七瀬。

 ダニエルとの話しが終わり、今日の寝床を探していた。このままでは野宿だ。自分は探られている身――、このままでは自分の身が危険だ。

「誰や、後を付けとるのは」

 勘をくぐると、背後に気配を感じた。七瀬は忍刀を構え、振り返って叫ぶ。

「夜道は気を付けた方が良いですよ、七瀬様……」

「あんたはカイ・ネヴィル……、さては、うちの行動を付けといたな?」

 迂闊だった。

 七瀬はきりっと、カイを睨み、内心では自分の行動の甘さを悔しがった。

「貴方がマクスウェル家と繋がっている事を、姫様に告げさせてもらいますので」

「うちはただ、ダニエル様を探ってるだけやで。あのお人、何するか分からへんからね」

「そうだと、ツツジの里は無事なのですけどね。貴方が何を企んでいるか、それを見極めさせて頂きますね」

 それだけカイは言うと、すぐさまその場を立ち去った。

「まずい事になったな。まあええ。あの玲様は、ノールオリゾン国側の人間、悪いお人や。エレン姫様を裏切った、悪いお人――」

 七瀬はそれだけ言うと、にやりと笑い、その場を去った。

 今夜の宿を探すか、否や。それよりも、今後について――策を練るしかない。

 七瀬は笑う。

 全ては自分が、ツツジの長になる為だけに、ダニエルを利用している。ツツジを裏切っている。それから得られる快感は、まさしく毒である。

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