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キャンバスの幻像 2:新たなタブレット、新たな誘惑

作者: Tom Eny

新たなタブレット、新たな誘惑


健太は、ひび割れたタブレットを手に、来る日も来る日もデッサンに打ち込んでいた。あの奇妙な出来事以来、彼は絵を描くことの意味を深く考えるようになっていた。ミナミを傷つけない、本当に美しい絵を描きたい。その一途な思いが、彼の筆を動かす原動力となっていた。美術室には絵の具の匂いが微かに漂い、デッサン用の石膏像が健太のひたむきな姿を静かに見守っていた。


そんなある日の放課後、美術室で片付けをしていると、隣の部屋の同級生、田中が声をかけてきた。 「健太、おまえ、まだそのボロいタブレット使ってんのか? 画面ひび割れてんじゃん、使いにくいだろ?」 田中の視線は、健太が机に置いていたひび割れたタブレットに注がれていた。健太は苦笑いしながら、「まあな。これでも愛着あってさ」と答えた。 「ったく、物持ちがいいんだか悪いんだか。ちょうどさ、俺、新しいタブレット買ったんだよ。前使ってたやつ、まだきれいだし、おまえにやるよ。それと引き換えに、おまえのそのひび割れたタブレット、俺にくれないか? なんか部品とか、使えるもんあるかもしんねーし、どうせ捨てるんだろ?」 田中の提案に、健太は一瞬、耳を疑った。田中の使っていたタブレットは、健太のとは比べ物にならないほど新しい機種だった。なぜ急にそんなことを言い出すのか、訝しげな気持ちがよぎったが、素直に申し出を断る理由もない。 「え、本当か? ありがたいけど、悪いよ」 「いいってことよ。どうせ俺はもう使わねぇし。おまえ、絵描くんだろ? きれいな画面の方が集中できるだろ。俺もジャンク品いじるのが好きでさ、そのひび割れたやつ、ちょっと興味あんだよ。」 田中の言葉には、どこか含みがあるようにも感じられたが、健太は深く追求しなかった。純粋な善意だと信じたかった。彼は、ありがたくその申し出を受けることにした。そして、田中の差し出す、画面の割れていないタブレットを受け取り、代わりに自分のひび割れたタブレットを彼に手渡した。新しいタブレットを手にした健太は、心の中で密かに「今度こそ、ミナミを傷つけずに、最高の絵を描こう」と誓った。彼は、新しいタブレットで完璧なリンゴやミナミのデッサンを描いたが、以前のように実体として物が現れることはなく、ただ美しい絵だけがそこにあった。それでも、もうミナミを傷つける心配がないことに、健太は深い安堵を覚えた。


田中の企み


健太からひび割れたタブレットを受け取った田中は、密かにほくそ笑んでいた。彼は、健太の部屋から聞こえてくる奇妙な声や、時折現れるリンゴの存在に気づいていた。そして、その原因が健太が使っていたタブレットにあることを知っていたのだ。


田中は早速、手に入れたひび割れたタブレットでいくつかの実験を行った。簡単なものを描いてみると、それが現実に出現する。描いたリンゴには、画面のひび割れと同じように、奇妙な傷が走っていた。 「へえ、面白いじゃん。これ、結構使えるかもな」 田中は薄く笑った。彼は、健太が以前体験した「傷ついたミナミのデッサン」のことも知っていた。しかし、田中はさらに深く、このタブレットの力を利用しようと目論んでいた。健太に画面の割れていないタブレットを譲ったのは、彼自身の目的の「ひび割れたタブレット」を手に入れるための口実だったのだ。彼は、完璧な存在を生み出すためには、完璧なキャンバスが必要だと考えていた。しかし、その「完璧さ」がもたらす恐ろしい代償については、全く気にも留めていなかった。田中は幼い頃から常に「あいつは器用貧乏だ」と陰で囁かれ、何をやっても中途半端だと感じていた。特に、健太のように一つのことに打ち込む才能を持つ者を見ると、言いようのない焦燥感に駆られた。「俺は、あいつらとは違う。もっと楽に、完璧な人生を手に入れてやるんだ」。そんな歪んだ願望が、彼をタブレットへと向かわせた。


破滅への自画像


ある日の深夜、田中は寮の自室で、健太から譲り受けたひび割れたタブレットを手にしていた。彼の顔は、薄暗い部屋の中でどこか高揚し、狂気じみて見えた。 「健太のやつは、リンゴとか女の絵とか、つまんねぇものばっか出しやがって。俺なら、もっとすごいものを生み出せるはずだ。俺は完璧な人間になりたいんだ。誰もが認める、才能に溢れた、理想の俺を!」 田中は、ニヤリと笑いながら、タブレットの画面に自分の自画像を描き始めた。彼の目的は、完璧な自分自身を創造することだった。誰にも邪魔されない、理想の自分。彼は、現実の自分にはない、完璧な肉体と知性を兼ね備えた自画像を、時間をかけて丁寧に描いていった。彼の意図は明確だった。自分に代わって、面倒な学校やバイトをこなし、厄介な現実を生きてくれる「もう一人の自分」を創造すること。描けば描くほど、彼の絵は精緻になり、画面の中の「もう一人の自分」は、まるで今にも動き出しそうなほど生々しくなっていった。田中は、その絵に魂を込めるかのように、集中して筆を走らせる。


夜が更け、絵が完成した。その瞬間、タブレットの画面が眩い光を放ち、部屋中に光が満ちた。光が収まると、田中の目の前には、完璧な自画像から抜け出てきたかのような、もう一人の田中が立っていた。 「くくく……やったぞ! 完璧だ!」 田中は歓喜に震えた。現れた「もう一人の田中」は、田中の顔と寸分違わないはずだった。しかし、その顔には、タブレットの画面に走るひび割れと同じ形をした、無数の細い線が不気味に刻まれていた。それは、まるで血管が浮き出たようにも見え、その周囲の肌は、わずかにくすんで生気がない。にもかかわらず、「もう一人の田中」は、緩慢ながらも自らの足で立ち上がり、ぎこちない動きで首を巡らせた。 「お、動くじゃん! 完璧じゃねぇけど、これなら使える!」 田中は、現れた自分の不完全さに一瞬眉をひそめたものの、すぐにその可能性に気づいた。これを使えば、面倒な学校の授業も、きついバイトも、すべて「もう一人の田中」に押し付けられる。自分は楽ができるのだ。田中は薄汚い笑みを浮かべ、早速「もう一人の田中」に指示を出した。田中は、自画像を描き終えたタブレットの画面を消してみたが、「もう一人の田中」が消えることはなかった。


忍び寄る「代償」


翌日から、田中の生活は一変した。「もう一人の田中」は、ぎこちないながらも彼の指示に従い、学校へ行き、バイトをこなし始めた。田中は時間を手に入れ、自室で好きなだけゲームに没頭したり、漫画を読んだりして過ごした。


しかし、その幸福は長くは続かなかった。 数日後、田中はひどい頭痛で目を覚ました。体中が重く、関節の節々が軋むような感覚に襲われる。鏡を見ると、自分の顔に見慣れない細い線が走っていることに気づいた。それは、まるで皮膚の奥にひびが入ったかのような、不気味な模様だった。昨夜の興奮のせいか、あるいは寝相が悪かったのか、と田中は軽く考えて、シャワーを浴びた。 しかし、その日一日、田中の体調は思わしくなかった。頭痛は治まらず、全身の痛みは増すばかり。そして、鏡を見るたびに、顔の線はわずかに濃く、長くなっているように見えた。その夜、再び鏡の前に立った田中は、戦慄した。彼の顔に刻まれた線は、まるでタブレットの画面に走るひび割れと全く同じ位置、同じ形になっていたのだ。そして、その線の周囲の肌は、わずかにくすんで、生気のない色をしていた。 その間も、「もう一人の田中」は、その体に刻まれたひび割れを深めながらも、機械のように動き続けた。まるで、本体である田中の痛みを肩代わりしているかのようだ。田中は、自分の体調が悪化するたびに、「もう一人の田中」を学校やバイトに送り出し、楽をすることを選んだ。


だが、代償は容赦なかった。 さらに数週間が経つ頃には、田中の体は限界に達していた。全身は激しい痛みと倦怠感に覆われ、肌のひび割れは皮膚の奥深くへと根を張ったかのように、見るも無残な状態になっていた。もはや自力で起き上がることすら難しい。彼の部屋には、食べ散らかされたゴミと、腐敗した甘い匂いが充満していた。一方、「もう一人の田中」は、全身のひび割れをいっそう深めながらも、機械のように動き続けていた。彼の動きは以前よりも滑らかになり、時折、本物の田中には見られなかったような、わずかに冷たい、あるいは計算高い表情を見せるようになっていた。 ある日、授業中。「もう一人の田中」が手を挙げて発言した。その内容は完璧に的を得ていたが、彼の言葉遣いは普段の田中のぶっきらぼうさとはかけ離れ、教科書を読み上げるように淀みなく、不自然なほど丁寧だった。 周りの生徒たちは、「田中、どうしたんだ?」「なんか優等生ぶってんじゃね?」とひそひそ話す程度で、特に深くは気に留めなかった。また別の日の昼食時、彼は決まった時間に、決まった数だけ箸を動かし、決まった量の食事を口に運んだ。まるで、定められたプログラムを実行するかのように、感情の起伏が一切見られなかった。それでも、誰もが「あいつ、最近まじめだな」「ダイエットでもしてるのか」と、深くは踏み込まなかった。彼らは「田中」の変化を何となく感じていても、それが日常の枠を逸脱した異変だとは考えもしなかった。目の前の「完璧な田中」が、裏で誰かの痛みを肩代わりしているなど、想像すら及ばないのだ。


田中が辿る道


ある日の午後、健太は偶然、田中の部屋の前を通りかかった。いつも閉じられているはずのドアが、わずかに開いている。中から、異様な臭いが漂ってきた。嫌な予感がして、健太は恐る恐るドアを押し開けた。 部屋の中は、まるで廃墟だった。散乱したゴミの山、異臭、そしてその中心に、床に横たわる田中の姿があった。彼の顔は、見るも無残なひび割れに覆われ、まるで古い陶器が砕け散る寸前のような、恐ろしい形相だった。かろうじて息をしているが、もはや人間としての生気は感じられない。彼の意識は、すでに深い闇へと沈みかけているかのようだった。 その傍らには、真っ黒に染まったタブレットが落ちていた。画面には、深い傷跡のように無数のひびが走っている。しかし、そのひび割れの奥には、紛れもない田中の自画像が、不気味なほど鮮明に残されていた。健太はそれを見て、はっと息をのんだ。あのひび割れたタブレットは、健太自身が体験した奇妙な現象の元凶だった。そして、田中が自分の自画像を描いた結果、この悲劇が起こったのだと、健太は直感的に理解した。 健太は、かすかな希望を抱いた。もしこの自画像を消せれば、田中を救えるかもしれない。彼は震える手でタブレットを拾い上げ、画面に表示された自画像を消去しようと試みた。しかし、どれだけ指を滑らせても、絵はびくともしない。健太は気づいた。まるで、描いた本人でなければ、この絵を消すことはできないのではないか、と。健太は何度も、何度も、必死に消去を試みたが、画面の自画像は冷たく彼を嘲笑うかのように、そこに居座り続けた。


健太が絶望に打ちひしがれる中、寮の廊下から、ぎこちない足音が近づいてくる。音の主は「もう一人の田中」だった。彼の全身は、あまりにも深く、複雑なひび割れに覆われ、人間としての形を保っているのが不思議なくらいだった。目は虚ろで、生気がない。しかし、その足取りはしっかりと部屋へと向かい、横たわる本体の田中の脇を通り過ぎ、まるで自分の居場所であるかのように、机の前の椅子に座った。 「もう一人の田中」は、やがて来るべき夜のバイトの準備を始めるかのように、教科書やノートを開き始めた。その間も、本体の田中は、床でかすかに息をしているだけだった。 数日後、田中の部屋から異臭がさらに強まったが、寮の住人たちはみな、「誰かの部屋がゴミ屋敷になっているのだろう」と漠然と想像するだけで、それがまさか田中の部屋だとは考えもしなかった。あるいは、それぞれが自分の日常に忙殺され、他者の異変に踏み込むことを無意識に避けていたのかもしれない。田中の存在は、まるで最初から希薄だったかのように、次第に周囲の記憶から薄れていった。学校の出席も、バイトのシフトも、「田中」として完璧にこなされている。しかし、その顔に薄く、しかし確実にひび割れのような線が走る「田中」が、本物の田中と入れ替わった存在であることには、誰も気づくことはなかった。健太は、彼に滲み出る異質さに気づいているのは自分だけなのではないかと、漠然とした疎外感と恐怖を覚えた。人は、思ったよりも他者の変化に無頓着なのだと。


奇跡のデッサン


健太は、数日経っても田中の悲惨な状況が変わらないことに絶望していた。しかし、彼にはまだ、もう一つできることがあるように思えた。 ある日、美術部の部室で、顧問の先生が次のデッサンモデルについて口を開いた。「さて、次回のデッサンだけど、モデルは…田中君に頼んでみた。」健太はハッとした。先生の視線の先には、美術室の隅に立つ「もう一人の田中」がいた。彼の顔には、以前よりもさらに深く、複雑なひび割れが走っている。しかし、顧問も他の部員たちも、その異様さに気づいている様子はない。彼らはただ「田中がモデルなんだ、珍しいね」と、ごく普通の反応を示すだけだった。


健太は、新しいタブレットを取り出し、**「もう一人の田中」をデッサンし始めた。彼の目的は、単に絵を描くことではない。目の前で機械的に動き、顔にひび割れを刻む「もう一人の田中」の中に、かつての友、本来の田中の姿を見出し、それを描き出すことで、何かを変えられないかという、かすかな希望を抱いていた。 デッサンが進むにつれて、「もう一人の田中」の虚ろだった瞳に、微かな光が宿り始めた。彼の機械的な動きに、まるで迷いが生まれたかのように、時折ぎこちなさが混じる。彼は自らの頬に触れ、ひび割れた皮膚の感触を確かめる。それは、生まれて初めて感じた「痛み」であり、同時に「生」**の証でもあった。そして、彼は虚ろな目で健太のデッサンを見つめ、途切れ途切れに言葉を紡いだ。「なぜ、俺はここにいる? なぜ、こんな傷が…?健太、もっと、かっこよく描いてくれ。この傷を……消してくれ。」彼の言葉はまだ機械的だが、そこに人間的な苦悩と、自己の不完全さへの絶望が滲み出ていた。もう一人の田中が「傷のないかっこいい自分」を求めるその願いは、健太の心に強く響いた。健太の脳裏には、かつてひび割れたタブレットでミナミを傷つけてしまった後悔と、ベッドに横たわる友の姿が重なった。「もう、誰も傷つけない。俺の絵は、誰かを傷つけるためのものじゃない」。彼は、技術的な完璧さではなく、心の目で見た「本来の田中」の姿を思い描いた。ひび割れ一つない、まっすぐな瞳、未来を見据える力強い顎の線。一筆ごとに、彼の「友を救いたい」という純粋な願いが、キャンバスに染み渡っていくようだった。


デッサンが終わった。健太の描いた絵には、もう一人の田中の**ひび割れはどこにも描かれていなかった。**そこにあったのは、完璧なまでに再現された、傷一つない、本来の田中の顔。彼の瞳の奥には、健太が込めた「本来の田中」への願いが宿っているかのようだった。美術部の顧問や部員たちは、その絵を見て「相変わらず健太の絵は精密だね。でも、なんだか田中とは違う、理想の顔を描いたみたいだな」と口々に褒めた。デッサンのその場では、何も特別なことは起こらなかった。もう一人の田中も、デッサンが終わると、普段と変わらない様子で美術室を後にした。


田中の復活と、奇妙な日常の継続


その夜、健太は不安な気持ちのまま、再び田中の部屋を訪れた。ドアを開けると、部屋の中は相変わらず異臭が漂い、本体の田中は横たわったままだ。しかし、机に目をやると、様子が違っていた。


「もう一人の田中」が、机の椅子に座ったまま、**全身からゆっくりと光の粒子を放ち、少しずつ透明になり始めていたのだ。**彼は苦しむ様子もなく、顔のひび割れも光の中に溶け込んでいく。その表情には、奇妙なほどの安堵が浮かんでいた。それは、長年囚われていた檻から解放されたかのような、深い安堵の色だった。彼が消え去る直前、健太に向かって、無言で感謝を伝えるかのように、わずかに頭を下げたように見えた。 光が完全に消え去った後、机の椅子には何も残されていなかった。その直後、健太は床からかすかな呻き声を聞いた。横たわる本体の田中の目が、ゆっくりと開いたのだ。彼の顔には、もうひび割れはない。意識はまだ朦朧としているが、その瞳には確かに人間としての光が戻っていた。体には生命の息吹が宿り、以前の生気のない姿とは明らかに違っていた。


健太は、友を救えたことへの深い安堵と、自身の「描く力」が持つ深遠な意味に包まれていた。彼はそっと、床に落ちていたひび割れたタブレットを拾い上げた。画面には以前まで不気味に存在していた田中の自画像が、**跡形もなく消え去っている。**ただ無数のひび割れだけが、その画面に残り、かつてそこにあったものが消えたことを示していた。このタブレットが、もう誰かを傷つけることはないだろう。健太は、もう二度とこのタブレットを使うことはないだろう。だが、そのひび割れは、彼が学んだことの証として、彼の心の奥底に刻まれ続けるのだった。


だが、この奇跡はあまりにも個人的なもので、部屋の外の寮生や美術部員は、誰もこの劇的な出来事に気づくことはなかった。数日後、回復し始めた田中が寮内で再び姿を見せても、周囲は特に何事もなかったかのように、ごく当たり前の日常の挨拶を交わすだけだった。彼の体にひび割れがないことや、以前とは違うわずかな変化にも、誰も深く関心を払うことはない。彼らにとっては、田中の存在は元々それほど意識されるものではなかったのだ。


健太は、自分の力が持つ深遠な意味、そして周囲の人々がいかに日常の異変に無頓着であるかを痛感した。彼は、この奇妙な体験を誰にも語ることなく、友を救えたことへの密かな喜びと、自身の力が持つ深遠な意味を胸に、静かに絵を描き続けるだろう。彼にとって絵を描くことは、もはや単なる趣味ではない。それは、誰かを救い、真の美しさを見出すための、彼の魂そのものとなっていた。 そして、健太は知っていた。この世には決して触れてはならないものが、確かに存在すること。そして、一度生み出された奇跡は、その形を変えることはあっても、決して消え去ることはない。そして、彼の内に宿る、何か大きな力が、まだ終わっていないことも。

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