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城南事件帳

「奥さん、貸し出すんだよ」

「・・」

「寝取らせるんだよ」

「・・」

「若い、イキのいい男にさ」

「それって・・　かなり、異常行為ですよね・・」

「いや、そんなことないよ。結構今ブームだと思うぞ」

「えっ？」

「ほら、何年か前に、テレビニュースの気象予報士同士の不倫があったろう。あれで一気に一般に広がったんだよ。『NTR』って言葉が。寝取り、もしくは、寝取られ、の略語なんだけどな」

「私も、それは、男ですから小耳に挟みましたけど・・」

「だろ。じゃあ、いいじゃないか。探せよ、スペア男をさ」

「いや、それは、概念として、というか、バカっ話としてはわかりますが、実際にやるとなるとちょっとどうかと」

「迷ってる暇なんてないだろ、梅宮の場合は。毎週一、二回遅刻してくるんだからさ。大変だろ、毎晩のように奥さんの特訓に耐えなきゃならないのは」

「まあ、そりゃあ」

「だったらやっちゃえよ、代替品を探せよ。俺も応援するから。なっ！　話はそれだけだ。分かったら、早く現場行け。とっとと臨場してこい。この恐妻家！」