城南事件帳
「よし、いよいよ 、 オイラが一肌脱いでやる時が来たようだ」 古本屋の主は刑事二人の話を聞き終わると、急にいきがった。
「おやじさん、それはどういう意味ですか?」羽生が 鳩が豆鉄砲をくらったような顔を浮かべると、
「梅さんに聞いてみなよ。どういう意味もこういう意味もあるもんかい。まあ見てろよ、お二人さん。おれっちの底力を」
数日後・・
「おう、おやじさん。また、みつくろってくれるか?」五反田のドンが 古本屋にやってきた。
「あ、金社長、いらっしゃい。こんな小さな古本屋へ足を運びいただいて。 分かりました、お望みは?」
「ああ、とにかくねえ、若くてイケメンで、できれば、細マッチョ?っていうの、それがいいっていうもんでね、ウチのコレが」社長がウインクしながら右手の小指を立てて、「 ちょっとその線で頼むよ。いいの、あてがってやってよ」
「 もちろんですよ。 上得意の金社長の願いなら、五反田 有楽街の片隅で 明治の頃から古本屋を 代々 営んでまいりました この五反田 書店めにお任せください。きっと 社長の奥方をご満足いただける逸材を必ず調達 いたします。 ちなみに、長さは、いかほどがよろしいですか?」
「ああ、竿か・・ 聞いてなかったなあ。 まあ、 細マッチョがいいっていうぐらいだから、 アメリカ・ ドイツ・ ロシアのようなグロテスクなまでのフランクフルト より、 むしろ 和風のさっぱり、あの、つくねの 串焼きくらいでちょうどいいんじゃないかな。そのあたり、おやじさんの裁量に任せるよ」
「はい。承知いたしました」
一方、刑事課では・・
「彼女、出来た?」羽生が前に彼女が欲しいとほざいていたのを梅宮がまぜっかえしてみると、
「 梅宮さん、 考えても見てくださいよ。 彼女 なんかできるわけないでしょ。短時間で。しかも、 ここのところ、殺人事件でろくに休みもとれないんですから、ガールハントなんてする余裕のないことくらい、おわかりなんじゃありませんか?」
「失敬失敬。そうだったよね」
「だれか、カワイイ女の子、いないですかねえ」
「 羽生くんの範囲はどの程度?」
「 年齢ですか、 それとも、 顔面偏差値ですか?」
「いやだねぇ、どうも。顔面偏差値 だなんて。 人の顔に 偏差値もないもんでしょうよ。まあ、いいや。 ところで、 どうだろう。よかったら、紹介しようか、 女性を」
「本当ですか? カワイイですか? 色白で?」
「うん、うんそう。小柄で愛嬌があって、 歌舞音曲も得意で」
「歌舞音曲? よくわかんないなあ」
「 いろんなところに 気配り目配りが利くってとらえてもらって構わないよ」
「つまりは、よく気の利く女性だと」
「そうね」
「もってこいじゃないですか。ぜ、ぜひとも、紹介してくださいっ」
「 わかった、わかった。 そこまで言うなら、不肖、梅宮文太、腕まくりしてお連れいたします」
「どちらで」
「おそらくはホテルになると思うよ」
「ホテル? ああ、ホテルのレストランとか、ああ、あの吹き抜けのラウンジみたいな喫茶店みたいな、ちょっとお値段の張るところですね」
「いや、直接、部屋に直行してもらうと思うよ」
「えっ?! いきなりですか?」




