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城南事件帳

 パパ活、希望してます。新宿歌舞伎町北側の都立大久保病院玄関横あたりで会いませんか? イチゴ(ホテル別)でお願いします♡


「おい、なんだ、この『イチゴ』ってのは?」

「 一発ヤルのに一万五千円って 隠語ですよ」

「 羽生くん、 まさか?」

「やるわけないじゃないですか!  やめてくださいよ、 梅宮さん、 仕事ですよ」

「 仕事と称してヤった?」

「だ・か・ら! いま、ネットでいくらでも情報収集できるじゃないですか」

「 ネットでいくらでも情報収集できるのをいいことに・・」

「 どうしようもないな、もう・・」


  大久保病院前は異様な熱気に包まれていた。獲物を探す男たちが目を皿のようにして病院前に立つ女性を物色してるのだ。 女性たちは おしなべて若い。 十代後半から二十代始め、といったところ。 反対に男たちは総じて中年がメインである。 若いのもいるが、社会に入って七、八年経った感じの、一見落ち着いていてもいい年齢なのに一向に落ち着くところを見せない、といった ビミョーな雰囲気のやつら ばかり である。 病院の隣はスポーツジムを含む 複合施設 なのだが、合わせて 二十メートルほどの通りに一メートル間隔で女の子がスマホに夢中で下を向きつつ 客引きをしている。彼女らに、 その数の二倍、三倍、いや、 それ以上の男どもが群がっていると思いねえ。

 女の子のなかに、頭一つくらい出た、 ガタイのいいチェックの膝下スカート、 黒のソックス、 オレンジのスニーカーがいた。頭には黄色いニット帽をかぶっている。この黄色のニット帽は他のどの娘とも重なることなく、目立っていたことは事実だ。

  夜7時、この場所で男と待ち合わせをしていた。相手の 男の顔は知らない。 ただ、 自分はこの黄色を身につけて立ってます、とだけ Twitter で伝えておいたのだ。

「あっ、エリコちゃん?」

 スマホから目を離して声の主を見上げる、いや、見下ろすと、黒のジャンパーに下はアーミー風迷彩ズボンの四十手前らしきオラオラ系男が薄ら笑いを浮かべていた。

 気持ち悪いッ! タマキンが思わずブルッと来た。 



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