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この街には殺し屋が多すぎる  作者: 43番
第三部
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過去

 トウによると仁沢賀瀬家の先祖と交わした密約は元々互いの不干渉と安全の確保であった。トウは宇宙船が直るまでの間、仁沢賀瀬家に庇護を求める代わりに『秘宝』を授けることで仁沢賀瀬家の安定を約束させた。こうして持ちつ持たれつの関係が何年も続き、この土地は仁沢賀瀬家が代々治めることで仮初めの平和が続いた。



「ところが今から200年ほど前にこの密約が反故される事態が起きた」


「200年前!?そんな前から居たんですか?」


「そうだの…そもそも密約を交わしたのは所謂戦国時代とかいわれていたから…たぶん500年くらいは此処にいるかもしれんの」


「随分と気が遠くなる話だな」


「ま、それは置いといて。続けてもいいかの」



 密約が反故されるキッカケはトウの宇宙船の修理が完了したことにある。トウは元の星へ帰るため仁沢賀瀬家と結んだ約束に基づき、『秘宝』の返還を求めた。

 ところが『秘宝』の力に魅力されていた仁沢賀瀬家は返還を拒否。更に掌を返すようにトウを追放し、『秘宝』を隠してしまったのだという。困ったことに『秘宝』の力が続く限りトウ自身もこの土地を離れることが出来ず、故郷に帰れなくなってしまった。そのため何としても仁沢賀瀬家から『秘宝』を取り返す必要が生じた。



「といえ、ワシ一人で仁沢賀瀬家を相手するには無理がある。何せこの土地の奴等は仁沢賀瀬家に洗脳されているから皆敵になってしまうでの」


「じゃ、どうしたんですか?」


「仲間を募ったんじゃよ。仁沢賀瀬家に不満を持つ者を集めての」


「…もしかしてだが、それが例の傍迷惑か?」


「左様。中々勘がいいの、お嬢さん」



 シーラの予想通りトウが頼ったのは元々仁沢賀瀬家に不満を持つ忍たちで、今の旗目岩九人衆はためいわくにんしゅうの元になった者たちだった。彼等は特異体質の持つ者や特殊能力を持つ者で構成されており、幸いなことに『秘宝』の干渉を受けなかった。この為洗脳されることなく仁沢賀瀬家に対抗できたのだ。

 といえ仁沢賀瀬家も黙って見ている訳では無い。トウが旗目岩九人衆に加わった辺りから両者の対立はより深刻なものになったのだという。



「結局対立は泥沼化。気づけばワシ以外の者は代替わりし、今は皆15代目になる」


「じゃあこれまでの出来事をずっと見てきたんですか?」


「まあの…幾ら元の星へ帰る為とはいえ、さすがに長きに渡る戦いの中でワシも疲れた。人が死んでいく様は見ていて気持ちのいいものではないからの。此処まで来たら誰かに『秘宝』を壊してこの土地から解放してもらうのが手っ取り早いと考えるようになった」


「確かに『秘宝』は壊れたが…これで良かったのか?」


「うむ、それでよい。正直今の旗目岩九人衆は只の烏合の衆に過ぎん。もう目的の忘れた私利私欲に走った連中に『秘宝』の力など過ぎたるものよ。今の仁沢賀瀬家とゼンの姿を見ていて改めてそう感じたよ」



 トウはフゥーと深呼吸すると、掌に納めている『秘宝』の破片を宙に浮かべた。すると破片が光り出し、案茂とシーラの周りから他の破片が浮かび上がってきた。そして破片たちはトウの持つ破片に集まると、再び元の黄金色に輝く宝玉の形に戻った。



「さて…そろそろこの不毛な戦いを終わらせる時が来たようだの」



 トウが宝玉を天高く掲げると、遥か山の向こうから白い流線形の乗り物らしきものが飛んでくるのが見えた。

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