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この街には殺し屋が多すぎる  作者: 43番
第三部
44/51

人騒がせなお父さんと傍迷惑なお母さん

 役者が揃ったのを見た那夜朗が握り締めた『秘宝』を掲げると全員に聞こえるように大声を張り上げた。



「ちょうどいい。今こそ宣言しよう。我こそは仁沢賀瀬家の当主なり!名は…」


「なおや!??」



 那夜朗の宣言を遮ったのはゼンの驚愕の叫びだった。全員の視線が那夜朗からゼンへと向く。話の腰を折られた那夜朗が一瞬にして固まる。ゼンの視線の先にはT・レックスがおり、面倒臭そうな表情をしていた。



「お、おい…人の話はこれからだ。何を勝手に…」


「直哉!!貴方…まさか生きていたというの!?」



 那夜朗のツッコミを完全に無視にしてゼンがT・レックスへ詰め寄った。これには案茂もシーラも、そしてザイまでもがポカンとしている。ゼンは鋭くT・レックスを睨みつけると、その頬をビンタした。T・レックスの掛けている丸メガネが落ちる。興奮するゼンに対してT・レックスは余裕のある態度を崩さずにいる。



「何のことだ?さっきの女といい、私のことを直哉とか訳の分からないことを…」


「とぼけるな!私の目をごまかそうとしても無駄よ!この死にぞこないが!!」



 ゼンが再びビンタをしよう手を振り上げるが、T・レックスは瞬時にゼンの手首を掴んだ。そして仕方なさそうに溜め息をつく。この様子を見た案茂とシーラが我に返った。



「ちょ、ちょっと待ってくれボス?アンタは何者だ?」


「T・レックス…アンタ…日本人なのか?それに直哉って、一体アンタは…」



 案茂とシーラが固まっていると横から妖刀の斬撃がゼンとT・レックスに向かって飛んできた。二人は間一髪避けると斬撃を繰り出してきた那夜朗の方を見る。妖刀を構える那夜朗は明らかに苛ついていた。



「貴様ら、俺を無視するな!我こそが仁沢賀瀬家の当主…なっ!!?」


「我々の問題に外野はすっ込んでいなさい!」



 那夜朗の宣言が終わらない内にゼンが瞬間移動で那夜朗の前に現れると掌底突きで那夜朗を吹き飛ばした。吹っ飛んだ衝撃で那夜朗の手から妖刀と『秘宝』が落ちる。リンが慌てて那夜朗の元に駆け寄るが、他の者の関心はT・レックスとゼンの関係にあった。

 全員の視線が集まる中、T・レックスは不気味に笑うとゼンの顔を見た。



「やれやれ…仕方ない。どうやら認めるざるを得ないようだな。その女のいう通りだ。私の本当の名前は仁沢賀瀬直哉ひとさわがせなおや。仁沢賀瀬家の者だ」


「「なっ…!!」」



 衝撃的な告白に案茂とシーラが絶句した。だがゼンは最初から分かっていたようで警戒心をむき出しにしている。



「ちょ、ちょっと待ってくれボス!アンタは…ターキッシュ・サウザンド・レックスじゃなかったのか?」


「そうだ。戸籍上はな。正確には買った戸籍上と言った方がいいかな」


「…馬鹿な…じゃ、じゃあ…ボス。アンタの言う大統領命令とかいうのは…」


「ああー…悪かった。あれは嘘だ。最初から直属機関に情報を流して利用する形で仁沢賀瀬家に伝わる『秘宝』を奪取するつもりで動いていた。さすがに私一人で相手にするには数が多すぎたのでね」


「何だと!!」



 T・レックスこと直哉の発言にシーラが怒りの表情を見せる。だがT・レックスは悪びれることなく、ゼンを指差した。



「恨むならこの女を恨め。この女が私を裏切らなければこんな面倒臭いことにはならなかったのだ」



 直哉に名指しされたゼンが再び直哉へ詰め寄った。怒りを露わにするシーラに対して案茂はまだ呆然としている。



「言ってくれるわね、その言葉そっくり貴方にお返ししましょうか?」


「全てはそこにいるアンモナイトに委ねるつもりだったのだろう?随分回りくどい計画を建てたものだ。だが残念だな。私が生きていた以上、この計画は破綻している」


「お黙りなさい!大人しく死んでおけば良いものを今更抜け抜けと出てくるなんて厚かましい。今度こそトドメを刺してあげるから安心して死になさい」


「それは此方のセリフだ!貴様によって奪われた過去も何もかもこの手で取り戻す!アンモナイト共々始末してくれる!」



 直哉とゼンの間に激しい火花が散る。両者の凄まじい殺気に周りの人間が躊躇する中、案茂が部外者の如く割って入ってきた。



「あの、ちょっといいですかね?」


「何だ!」


「何ですか!」


「さっきから色々と揉めてるみたいですけど、俺と何の関係があるんですか?というか詳しく説明してくれませんかね?」


「「……」」



 案茂の空気を読まない発言に両者の動きが止まる。シーラが案茂を止めようとするが、それより先にゼンが口を開いた。



「はあー…分かったわ無人。信じられないかもしれないけど、この人は貴方のお父さんよ」


「へ??!」


「その女の言う通りだ。アイム・ユア・ファーザーってやつだ」


「………」


「しかし、まさか実の息子だったとはな…あの時この手で始末しとくべきだったか」


「フン、そうはさせないわ。無人は我々の希望だもの」


「我々?貴様の希望だろ?」


「口が減らないのは相変わらずね」


「ちょ、ちょっと待ってくれ!ボスがアンモナイトの親父だと!?」



 今度はシーラが割って入る。直哉は面倒臭そうに頷いた。さすがのシーラもこれには言葉を失った。案茂もまた余りにも衝撃的な展開が続いていることに頭の思考が追い付かずに混乱している。

 直哉とゼンは再び睨み合いになり、周りの陣営が両者の動向を注視している。とその時、案茂の足に何かが当たった。案茂が下を見るとそれは那夜朗が先程手放した『秘宝』だった。全員が直哉とゼンに視線が向く中、案茂は『秘宝』を掴んで服の中に隠すとゆっくりと後退を始めた。



「おい、アンモナイト。どこへ行く?」


「シーラ…これ」



 案茂は他の人間にバレないようにシーラに『秘宝』を見せた。『秘宝』を間近で見たシーラの目の色が変わる。



「逃げよう」



 シーラがコクリと頷く。案茂はシーラの手を引っ張ると気づかれないようにその場から離れようとした。

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