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この街には殺し屋が多すぎる  作者: 43番
第二部
26/51

ピザ・トラブル その3

 案茂を乗せた「ピザ・トラブル」のワゴン車は東総合病院を出て、また別の場所へと移動を始めた。先程神店長が話した仲間の居るところなのだろう。しかし案茂にはもう一つ引っ掛かるところがあった。



「やはり…院長室にいたお爺さん…絶対に何処かで、いやつい最近会っているはずだ」



 独り言をポツリとこぼす。そんな案茂の呟きに気づくことなく、神店長らはワゴン車を目的地へと進めた。すると走ってからものの数分足らずで突然ワゴン車は停まった。甲斐が案茂に車を降りるよう促す。改めて車を降りた案茂が頭から被せられた袋を取ると、これまた意外な光景が現れた。



「ぴ、「ピザ・トラブル」…?」



 案茂のいうように確かに此処はいつもアルバイトに来ている「ピザ・トラブル」の店舗だった。店の中は真っ暗だが、神店長を先頭に店の奥へと入っていく。社と甲斐に両脇を抱えられるようにして案茂もついていく羽目になった。しばらくして店舗の事務室に着くと神店長が電気のスイッチを入れた。



「確保しました。が、由々しき事態が起きた模様です」



 事務室の電灯が点くと黒いローブに身を包んだ二つの影が現れた。二人は目深にフードを被っており、更にそれぞれ赤と青の仮面のようなものを着けているようだ。そこから表情は伺い知れない。



「ご苦労。だが、連中も既に動き出している」



 黒いローブの赤い仮面の一人がスマートフォンを取り出すと、とあるサイトを神店長や案茂らに見せた。そこに書かれていたのはとんでもないものだった。



「指名手配犯、案茂無人…け、懸賞金…10億ぅゥ!!?」



 案茂が思わず大声を出す。慌てて社と甲斐が案茂の口を塞いだ。

 確かにサイトにあったのは案茂の顔写真と懸賞金、更には生死問わずの文字だった。いつの間にか賞金首に掛けられているじゃないか。案茂は血の気が引いたのか目眩がする。



「…仁沢賀瀬の仕業ですか?」


「恐らくな。此処まで手の込むやり方や懸賞金のことを考えると奴等も本気になっているようだ」


「チッ、アジな真似を」


「それともう一つ、海外からの組織も絡んできたそうじゃないか」



 シーラたちのことか?案茂は黒いローブの赤い仮面の言葉に反応する。予想以上に複雑な展開になってきたようだ。さてどう収拾つけるつもりなのか。



「例のものについて吐かせます」


「いや、それには及ばん。恐らくはコイツも例のものについて何も知らないだろう」



 社と甲斐が慌てて案茂を見る。案茂は黒いローブの赤い仮面に合わせるように首を振った。神店長は舌打ちすると、黒いローブの二人に詰め寄った。



「ではどうするのです!?既にビョウとトウがやられているのですよ!?」


「慌てるな。既に()()()が準備している。もうじきに我らの宿願が叶うのだ」



 黒いローブの赤い仮面が青い仮面の方を見て頷く。青い仮面はゆっくりと神店長らの前に歩み寄った。



「『秘宝』は仁沢賀瀬家の大金庫にある。まずはそこへ行き、『秘宝』を奪い取る。儀式はそれからだ」


「…はっ」



 やや不服そうな表情で神店長は黒いローブの二人に跪いた。合わせるように甲斐と社も跪く。そして呆然としている案茂に青い仮面が振り返った。



「…時は来た。お前と会えるのを楽しみにしてたぞ、案茂無人」


「え…どうして俺のことを…?」



 案茂がキョトンとしていると外から喧しい車とバイクの音が鳴り響いてきた。そして聞いたことのある声が拡声器を通して店の中へ飛び込んでくる。



「無駄な抵抗はやめろ!!大人しく案茂無人を此方へ引き渡せ!!」



 仁沢賀瀬那夜朗(ひとさわがせなやろう)の声だった。


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