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この街には殺し屋が多すぎる  作者: 43番
第二部
24/51

ピザ・トラブル その1

「うっ…」



 何者かに口を塞がれて外に連れ出された案茂は停まっていたワゴン車に無理矢理乗せられた。ワゴン車の後部座席に座らされるとようやく案茂は自分を拉致しようとした人物の顔を見ることができた。



「!!えっ…!??ど、どういうこと??」



 案茂の視界に飛び込んできたのは案茂自身にとって信じがたいものだった。そこにいたのは案茂のバイト仲間であり、先輩たちだった。彼らは仕事先の「ピザ・トラブル」の制服に身を包み、案茂を取り囲むように座っていた。



「か、甲斐さんに(やしろ)さん…それに(じん)店長まで…どうして此処にいるんですか?!」



 甲斐と呼ばれた男は坊主頭に眉なしの厳つい風貌で社と呼ばれた男は髭を伸ばした少し冴えない顔をしている。神店長は四角い眼鏡に角刈りと如何にも堅物そうな雰囲気を醸し出しており、口をへの字に曲げて案茂を睨み付けていた。



「答えは簡単だ、案茂。お前今日のバイトをサボっただろ?」


「お前のアパートに乗り込んでみたんだが、もぬけの殻だったからな。苦労して探し出してみたらこんな倉庫に辿り着いた訳だ」


「そういう訳だから案茂、すぐに店に戻るぞ」


「へ?…え、えーとイマイチよく分からないのですが、一体どういうことなんですか?」



 矢継ぎ早に不機嫌そうな三人から答えが飛んできたので案茂は思考が追い付かない。確かに仁沢賀瀬家の後継者問題に巻き込まれたせいでとんだ目に遭っているのだが、それでもわざわざ自分を探し出してシフトに入れようとするのはどういうことだろう。



「あの皆さん…答えのようで答えになってないのですが…」


「案茂…俺たちのことも分かってくれ…仁沢賀瀬家の者たちからお前を守る意味でもな」


「!!!?」



 申し訳なさそうに話す神店長の言葉に案茂は思わず絶句する。と同時に甲斐と社が案茂の両手を取り押さえた。突然のことに案茂は抵抗する間もなく、神店長によって袋を頭に被せられた。



(仁沢賀瀬家だと??そんなことバイト仲間の誰にも話してないはずなのにどうして彼らが知っているのだ!?)



 案茂は袋の中からフガフガと声を出す。が、どうも彼らには伝わってないようだった。すると甲斐の声がうっすら聞こえてきた。



「ところで(へい)さんはどうした?」


「…残念ながら先ほど討たれたようだ」


「チッ…店長、すぐに(あずま)医院へ向かいましょう。院長が戻っているはずです」


「そうだな。ひとまず情報収集が先だ」



 妙な会話をする三人に対して、案茂は何処か引っ掛かっていた。彼らは一体何をしようとしているのか。訳も分からず、案茂はただワゴン車の中で湧いてくる疑問を反芻していた。

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