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この街には殺し屋が多すぎる  作者: 43番
第二部
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ヤバイ連中と傍迷惑な奴等 その1

 トレーラーに衝突されて横転した10トントラックからは所々黒い煙が出ている。あの中に案茂を殴り付けたラプターという男や他に人がいたようだが、中から出てくるような様子はない。あの衝突で全滅してしまったのだろうか?


 案茂は混乱に乗じて急ぎ倉庫から脱出しようと出入口へ駆け出す。が、充満した粉塵に視界は遮られた上、うっかり吸い込んでしまった為思い切り噎せて動けなくなってしまった。



「ぐっ…ゴホッ…苦しい」



 案茂が悶えていると後方から激しい銃撃音が響く。この粉塵を物ともせずT・レックスとシーラは乱入してきたトレーラーに向けて発砲を続けているようだった。トレーラーは倉庫の壁に突っ込むと煙を上げて止まった。運転席のドアにはシーラたちによる弾痕が幾つも刻まれている。



「やったか?」


「分からない。此処からじゃ暗くて見えない」


「慎重にいけ、シーラ。油断するなよ」


「心得た、マイボス」



 T・レックスとシーラは銃口をトレーラーの運転席に向けたまま、ゆっくりとトレーラーへ近づいていく。すると運転席のドアが突然開き、中から三つの影が飛び出してきた。

 粉塵のせいで良くは見えないが、一つは細身で長身の黒装束に身を包んだ影、一つは対照的に子供ほどの背丈と思われる黒装束の影、そしてもう一つはその中間くらいの身長で赤い装束に身を包んでいる影だった。



「動くな!!」



 T・レックスが三つの影に対して銃口を向けて叫んだ。三つの影は互いに顔を見合わせると、それぞれの両腕から何かを取り出している。それが武器のような形状であると気づくとT・レックスとシーラは有無を言わさず影に向けて発砲を開始した。

 三つの影たちは銃撃に怯むことなく、手にした武器を巧みに振り回し、銃弾を弾き返してシーラたちに近づいていく。



「…!!?コイツら、何者だ!?」



 T・レックスが自動小銃のマガジンを交換しながら呟く。すると背の低い影がニヤリと笑っているのが見えた。口元だけだが、老人のような深いシワが刻まれているのが分かる。



「フッ…我々のことを知らんか若造。ようやく目当ての物が手に入るチャンスを得たのだ。邪魔はさせん!!」


「我ら旗目岩九人衆(はためいわくにんしゅう)。私はその内の一人朱のクナイの「リン」!」


「俺は同じく黒の鎖鎌の「ビョウ」!」


「そしてワシは闇の薬師の「トウ」!」



 三つの影はそれぞれポーズを決めながら口上を述べる。その姿はさながらどこぞの戦隊ヒーローのようである。三人の様子を見てT・レックスとシーラは思わず固まった。



「フッフッフッ…ワシらを見て動けぬとは…己との実力の差を感じて怖じ気づいているようだな」


「…違う、学芸会レベルのコントを見せられているようで呆れ返っているのだ」



 トウの言葉をT・レックスが即座に否定する。するとリンがしかめ面を見せてT・レックスにクナイを思い切り投げつけた。T・レックスは臆することなく、クナイを銃弾で弾き落とす。トウはその様子を感心するように眺めた。



「ほう…若造にしては中々やるのぉ」


「…はためいわくといったが、貴様らは仁沢賀瀬家の刺客か?」


()()()()()()だ。我らは仁沢賀瀬の連中とは関係ない。寧ろ連中の敵だ。昔から奴等の持つ『秘宝』に狙いを定めていた」


「なるほどな…『秘宝』を狙っているということは我々の敵でもあることで相違ないみたいだな」


「フッ、分かればいい」



 案茂は息を潜めて双方のやり取りを眺めている。隙を見て逃げ出そうともしたが、思うように体を動かせない。今動けば間違いなく自分にも累が及ぶのは明白だからだ。

 T・レックスは冷静に懐からタバコを取り出すと口に咥えて火を点けた。それを見たビョウが不愉快そうな表情でT・レックスを睨み付ける。



「貴様!そんな余裕を見せて我らを愚弄するか!?」


「愚弄?勘違いしてもらっては困る。我々のことを分かってないのは貴様らの方だ」


「何?」


「ラプター!!!」



 T・レックスの号令と共に大破した10トントラックの荷台の扉が勢いよく開かれた。

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