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この街には殺し屋が多すぎる  作者: 43番
第二部
20/51

一難去って

 

 T・レックスは案茂の後ろにいるシーラに手で何やら合図を送った。シーラは無言で頷くと案茂の手首に掛けられた手錠を外す。案茂は手首を擦りつつ、シーラとT・レックスに視線を向けた。



「さて、本題はここからだ。アンモナイト君」



 T・レックスは吸っていたタバコを投げて靴底で踏み消すと案茂を眼光鋭く睨み付けた。T・レックスの只ならぬ様子に案茂は思わず怯む。


 

「例のものは何処だ?」


「…知りません」


「隠すと為にならんぞ」


「いや本当に知らないんですって!」



 T・レックスの質問に対し案茂は必死に返す。もはや質問というよりも尋問である。このままでは埒が明かないと思ったのかT・レックスはトラックの方を向くとシーラに出したように手で合図を送った。するとトラックの荷台の扉が突然開き、中からサングラスを掛けた屈強な黒人男性がゆっくりと降りてきた。



「ラプター、出番だ」


「イエス、マイボス」



 ラプターと呼ばれた黒人男性は案茂の方を向くといきなり腹に拳を入れた。不意打ちに対処しきれず案茂は呻き声を上げて地面に沈む。みぞおちを押さえながら案茂はブルブルと震えた。痛みと恐怖で体は完全に固まってしまった。動くことはおろか声を出すことさえもできない。



「ご苦労、ラプター」


「センキュー、マイボス」



 T・レックスが再び手で合図を送るとラプターはゆっくりとトラックの荷台へと戻った。その間シーラはじっと案茂の様子を見ているが、あまり心配そうな素振りをしていないようである。あくまでも彼等の目的はあの『秘宝』を手に入れること。その為ならばどんな手だって使うのだろう。



「さて我々を甘く見ては困る。目的の為ならば手段を選ばない。これで分かっただろう?」



 T・レックスはそういうと懐からタバコを取り出すと口に咥えて火を点けた。案茂はよろよろしながらも何とか立ち上がる。T・レックスは案茂が立ち上がるタイミングに合わせて再び煙を吹き掛けた。



「ゴホッ!やめてください!」


「例のもののことは知っているんだろ?仁沢賀瀬の連中が君を狙っているのも、それに関係しているからだ」


「そもそも『秘宝』の存在を知ったのはついさっきのことです!シーラ、あんたも一緒に居たんだからフォローしてくれ!!」



 案茂はシーラに助けを求めるように懇願した。が、シーラは明後日の方向を見て聞こえない振りをしている。案茂はシーラを睨み付けた。



「シーラ!」


「無駄だよ、アンモナイト君。シーラは私の忠実な部下だ。任務の為ならばどんな手だって使う。仁沢賀瀬のことを調べた上で君を利用したまでだ」


「そんな…」


「さて私はこう見えて気が短い。質問を繰り返すのもあと少しとさせていただこう」



 そういうとT・レックスはシーラに向けてまたしても手で合図を送った。シーラは懐から拳銃を取り出すと安全装置を外して案茂へと向けた。



「し、シーラ…?」


「脅しではないぞ、アンモナイト君」


「許せアンモナイト。これが私の任務だ」



 シーラが拳銃の引き金に指を掛けた。どう答えればこの難局を乗り切れるのか。案茂は頭の中をフル回転させて言葉を捻り出そうとした。



「ぼ、僕は…」



 案茂が口を開こうとしたとき、突然激しい轟音と共に倉庫の中へ巨大なトレーラーが突っ込んできた。案茂は勿論のこと、シーラとT・レックスも慌てて振り返る。トレーラーはT・レックスの乗っていた10トントラックに衝突し、トラックは横転した。この隙に案茂は急いでシーラ達から離れる。



「チッ、奴等め追跡してたのか!!シーラ、上手に撒いたんじゃないのか!?」


「そんなバカな!?ヒトサワガセの奴等め!」



 シーラはトレーラーの運転席に向けて拳銃を発砲した。T・レックスも懐から小型の自動小銃を取り出すとシーラに続いて発砲する。倉庫内は粉塵が充満し、一気に暗くなった。


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