表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この街には殺し屋が多すぎる  作者: 43番
第一部
13/51

ヒトサワガセな一族 その1

 仁沢賀瀬家の当主に代々伝わる『秘宝』。それは他人を洗脳する力を持つと呼ばれる黄金色に輝く宝玉らしい。仁沢賀瀬家の権力の象徴にしてお家騒動の原因でもある『秘宝』。今は現当主である尚児の元にある、と思われる。しかし当主の座を赤の他人である案茂に譲るということは、その物騒な代物も案茂に譲るということになるのだ。



「いりませんよ!そんなヤバイもの!」


「何故だ!?仁沢賀瀬家の権力を我が物にできるのだぞ!何が不満だ!」


「全てです!」



 案茂と尚児の押し問答がまた始まった。『秘宝』が絡んでくる以上、さすがに尚児の頼みは常軌を逸している。頑な尚児を見て案茂は語気を強めた。



「大体ですね!尚児さんに家族はいないんですか?家族にまず聞くのが筋でしょう!?」


「息子と妻はいたが、当の昔に捨てた!奴等は仁沢賀瀬家のことを全く信用していなかったからな」


「捨てた?捨てられたの間違いだろう?」



 シーラが横から話に割り込んだ。シーラの発言に尚児が顔を真っ赤にする。



「な、な、何だと?」


「どうやら図星のようだな。お前みたいな情けない子どもじみた屑野郎に愛想尽かして妻子は逃げたんだろ?」


「き、き、貴様…」


「捨てたとか強がりいってるが、他のヒトサワガセの奴等からも嫌われてるんだろ?只の孤独なオッサンだな」


「お、おいシーラ…これ以上煽るな…」



 案茂は青ざめながらシーラを止める。が、尚児は激昂して立ち上がるとシーラに殴りかかってきた。慌てて周りの黒服たちが尚児を取り押さえる。



「落ち着いてください!さすがに手を出すのは…」


「黙れ!これ以上コケにされて大人しくしてられるか!!」


「し、シーラ…謝った方が…」


「?何をだ?事実をいったまでだが」



 喚く尚児に対してシーラはキョトンとしている。案茂と黒服たちが何とか二人を押さえようとしていると、突然部屋に別の黒服が息を切らせて飛び込んできた。



「貴様、来客中だぞ!失礼だろ」


「す、すみません…急を要する事態でして…」



 飛び込んできた黒服は他の黒服たちから叱責されるも一目散に尚児の元へと駆け寄る。黒服に耳打ちされた尚児は一瞬にして我に返り、顔面蒼白となった。何かに怯えるように全身をワナワナと震わせている。



「ど、どうしたんですか?」



 尚児の様子の激変に案茂とシーラも動きを止める。尚児の顔から脂汗のようなものが伝う。この動揺っプリを見る限り、どうやら余程のことらしい。



「まさか…奴が…来た、だと!?」


「奴?」


「奴って誰だ?」


「久しぶりだな、親父」



 突然割り込んできた声に尚児がハッとして応接間のドアの方を凝視する。ドアの前には金髪のオールバックに厳ついサングラスを掛けた細身の若い男が立っていた。その脇には尚児を囲む黒服と同じ容姿の男たちが数人控えている。



「貴様…どうして此処へ?」


「「誰?」」



 尚児にとっては大変な事態らしいが、案茂とシーラはどうにも話に付いていけない。尚児を親父と呼ぶからには血縁者らしいが…。



「貴様!那夜朗(なやろう)!何故この屋敷に戻ってきた!?」


「決まってるだろ?仁沢賀瀬家の当主の座を継ぐ為だ」


「へ?」



 二人のやり取りに案茂は間抜けな声を上げた。対して尚児と那夜朗と呼ばれた男との間にバチバチした空気が漂う。案茂も一応当事者に該当するはずだが、この空気の中では完全に蚊帳の外である。



「バカな!貴様は当の昔に勘当したはずだ!」


「違うだろ?母さんがあんたを捨てたんだよ。こんな情けないクソヤロウが父親じゃ子どもたちの将来が可哀想だってな」


「やっぱり私の予想通りだったな」


「シーラ!」



 何ともいえぬ空気の中でもマイペースなシーラに案茂は突っ込んだ。尚児はぐぬぬという表情を浮かべる。



「大体何故貴様が出てくる!?誰の差し金だ!」


「あたしだよ」


「また誰か来た?」



 那夜朗の後ろから壮年の女性の声が響く。那夜朗が少し横に下がると紫色のウィッグに豪華な毛皮のコートに身を包んだ厚化粧の小柄なおばさんが前に出てきた。



「久しぶりね、尚児兄さん」


「…な、尚葉(なおば)…」


「だから誰?」



 緊迫する空気の中、案茂とシーラだけが事態に付いていけてなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ