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2-20 七賢人の中でもランク付けがあるようです。だが、私にはまだ関係ない話のようです。


 その日の授業後、ルーシェとエリカは校内放送で職員室に呼び出されることになる。

 エリカと同時に呼び出されたことでルーシェは少し嫌な予感がしていた。

 職員室の扉の前でエリカとルーシェは顔を合わせる。

 予想された対面だが、どことなく負けたくないという思いが互いからヒシヒシと出ていた。


「どきなさいよ」と、エリカが一括。


「私も入ろうと思っているんだけど。あなたがどきなさいよ」と、それに負けずルーシェも引き下がらない。


「はぁ? 誰に向かって口を聞いているのよ」


「それはこっちのセリフよ」


 扉の前でバチバチと啀み合う二人。

 そんな時、扉が開き、マギーが現れる。


「おや。騒がしいと思ったらお二人で来たんですか。仲が宜しいことで」


「「誰がこいつと仲良しだ」」


 二人同時に声がハモり否定する。


「お入り下さい。大事な話があります」


「!?」


 ルーシェとエリカは疑問を浮かべながら部屋に入った。

 商談室のソファにルーシェとエリカは横並びに座り、その向かいの席にマギーは腰を下ろした。


「さて。呼び出したのは他でもありません。まずは先日の救助活動に関して大いに感謝します。ルーシェさん、エリカさん。あなた方のおかげで大勢の命が救われました。私も担当として誇らしく思います」


「いえ。大したことではありませんよ。マギー先生」


「いいえ。これは七賢人として評価に値します。その成果もあり、国から謝礼が送られて来ました。それぞれお渡ししておきます」


 ルーシェとエリカは金貨五百枚入った袋を手渡される。


「こ、こんなに?」


「まぁ、小遣い程度ですわね」


 二人の反応は正反対だ。


「今回の活躍は特別ボーナスとして受け取って下さい」


 人々の役に立って報酬が貰えることにルーシェは感動した。

 七賢人として初めて活躍を実感した予感である。


「さて。次にランク付けの話をしましょうか」


「ランク付け?」


「ルーシェさんはまだ知らなかったですね。七賢人とは七人の優秀な魔女から構成されているってご存知ですよね?」


「はい。それは知っています」


「そのうちの二人がルーシェさんとエリカさんです。そしてその七人の中には順位が付けられています」


「順位?」


「まぁ、能力や魔力など総合的に高い者から上位のランクに分類されるものと認識して頂ければ良いですよ」


「じゃ、私って何位なんですか?」


「ルーシェさんは新米の七賢人ということもあり、七位です」


「つまり、ルーシェは最下位ってことよ」


 鼻をつくようにエリカは横から言う。

 少しルーシェはムッとする。


「ちなみにエリカさんは現在六位」


「何だ。六位か。私と大差ないじゃない」


「ムカ! あんたより上ですけど!」


「何を!」


 二人は席を立ち上がりゼロ距離で睨み合う。


「二人とも落ち着いて下さい。話は終わっていません。今回、ランク付けの変更があったのでお伝えしますよ」


「ランク付けの変更?」


「はい。今回の自然災害による貢献で二人にはランクの昇級がありました。まずはエリカさん。六位から五位に昇級です」


「何だ。一つ上がっただけか」


 エリカは納得していない様子だが、想像した通りといった感じに悟る。


「マギーさん。私は?」


「ルーシェさんは七位。変動はありません」


「どうしてですか?」


「七賢人としての活躍が少なく経験が浅いことが挙げられます。勿論、今回の救助活動は経験としてプラスされますが、まだ順位を上げるほどではありませんので今回は見送りました」


「そんな」


「ですが、今後の活躍次第でいくらでも挙げられます」


「そういえば順位って何か意味はあるんですか?」


「意味は特にありません。あるとすれば周囲からの見方が変わる程度です。勿論、七賢人である以上は凄いことですが」


「そうですか」


「残念だったわね。私とあなたでは私の方が上ってことよ」


 優越感に浸るエリカの顔は腹黒く感じる。


「ルーシェさん。今後の活躍に期待していますよ」


「は、はい。あの、マギー先生」


「何でしょう」


「えっと」


 ルーシェは夢の中で母親が助言したことを相談しようか悩んだ。

 しかし、確証が持てない話を信じてくれるか怪しいと躊躇う。


「いえ、何でもありません」


「そうですか。では授業に戻って下さい」


「はい。失礼しました」


 職員室を出て自分の教室に戻ろうとしたその時、エリカはルーシェの背中に問いかける。


「ねぇ、さっきマギー先生になんて言おうとしたの?」


「……別にエリカには関係ないことよ」


「何よ。スッキリしないわね」


「ねぇ、エリカ。私とあなたってどう言う関係?」


「突然何よ。どう言う関係って言われても私とあなたは対等ではない。やるかやられるかの関係でしょ。何? 友達とか仲間とか言ってほしかった?」


「いや、それでいいよ。そっちの方がスッキリした関係じゃない?」


「ふん。バッカみたい。いつか必ずあんたとはいずれ決着を付ける。その時まで精々日常生活を楽しむことね。あなたでは絶対に私に勝てないんだから」


 エリカは毒を吐いて自分の教室に戻っていく。


「お母さんはエリカを利用しろって言っていたけど、どう言う意味だろう。それに十日後の日食に敵が攻めてくるって本当なのかな」


 疑問を残しつつ、ルーシェは授業に戻る。



 その日の夜、ルーシェは夢のことや今日の出来事についてテトに話した。


「十三日後に敵が攻めてくる?」


「うん。私が寝込んでいた三日間を引いたら十日後なんだけど」


「サーシェが君の前に現れたってことは何かのメッセージだと思うよ。例えそれが夢だとしても」


「じゃ、やっぱり敵が攻めてくるってことだよね」


「良かったじゃないか。サーシェが君の危機を知らせてくれたんだ。事前に対応しろって意味が込められているんじゃないかな」


「事前に対応も何も敵の正体やいつどのタイミングで来るのか分からなければ意味ないじゃない」


「日食の時でしょ?」


「だからその日食のタイミングなんて分からないじゃない」


「まぁ、それもそうだね。でも警戒は一段と強めることができる」


「それだけ?」


「後は魔法の自主トレと万全な状態にする」


「それじゃ何もしていないのと同じじゃない」


「そんなことはないよ。意識しているのとしていないのでは対応が大きく変わる」


 テトはそう言って寝床へ歩いていく。


「まぁ、今から考えても仕方がないか。分かっているのは十日後の日食の時。それだけ意識していれば充分か」


 ルーシェの小さな悩みは解消されて眠りに付いた。


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