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2-19 病み上がりですが、今日も頑張ります。


 魔力を完全に使い果たしたルーシェはその後、三日間も寝込んだ。

 テトが気持ち程度の看病をしてくれたが、それでもルーシェは嬉しかった。

 魔力がないルーシェは七賢人でも魔女でもない。ただの人だ。

 三日もまともに動けなかったルーシェはその日の朝早くに目が覚めた。


「ルーシェ。身体はもういいの?」


 窓の外を見上げるルーシェの後ろ姿にテトは声をかけた。


「うん。もう平気みたい。ちょっと外で体操してくるよ」


 そのままルーシェは家の外を出てストレッチを始める。


「なんだか身体か軽くなったみたい。どれ」


 ルーシェは木に向かって手をかざす。


 風刃列覇(シャイド)


 木は真っ二つに切れた。


「よし。魔力は戻っている。今日は久しぶりに学校へ行けそうだな」


 朝食をしっかり食べたルーシェは制服に袖を通す。


「ルーシェ。学校行くの?」


「うん。これ以上休むと周りに怪しまれるからね」


「そうか。じゃ、行こうか」


 完全回復を果たしたルーシェは三日ぶりの学校へ向かう。


 病み上がりのような状態だが、それを感じさせないほどにルーシェの気分は晴れていた。


 朝、学校にて。


「ルーシェ!」


 サシャは後ろ姿のルーシェを見つけて真っ先に抱きついた。


「うわ! サ、サシャ?」


「ルーシェ。熱って聞いたけど、もう大丈夫なの?」


「うん。もう平気。ごめんね。心配かけて」


 学校には熱と報告してあるが、事実を知っているのはマギーのみだ。

 魔力が無くなって動けなくなったなんて学校には言える訳がない。

 自然災害により救助活動は七賢人として大きく貢献されており、評価が爆上がりしたと言う。


「そうだ。ルーシェが休んでいる間のノートを貸してあげる。これで授業の遅れは取り戻せるよね」


「あ、ありがとう。助かるよ」


 正直、学校の授業について行けなくても何も問題ないのだが、サシャの行為は嬉しく感じた。

 ルーシェとサシャが校門から校内へ向かう道中のこと。

 エリカとオリバーの姿がそこにあった。

 エリカもまた、ルーシェと同様に数日ぶりの登校だった。

 その表情は健康的に満ち溢れており、疲れを一切感じさせないものだった。

 ルーシェとエリカは互いの存在に気付く。


「…………!」


「…………っ!」


 目でお互いの状態を確認して何事もないことを察する。

 二組は何か喋る訳でもなく真横をすれ違う。

 言葉なんていらない。

 啀み合っていた二人だが、大勢の人の救助活動をしたことで何か分かち合えたようなそんな感覚があった。

 今は争うべきではない。お互いがそう納得し合って通り過ぎた。

 二人のその表情は笑顔が溢れているように口元が笑っていた。


「ん? ルーシェ。どうかしましたか?」


 サシャは僅かな異変を察して聞いた。


「いや。なんでもない」


「何か嬉しいことでもあったんです?」


「んーどうだろう。でも、良いことはあったかも」


「良いこと? 私に言えることですか?」


「詳しくは言えないけど、なんていうか」


 ルーシェはその先の言葉が言えなかった。というか濁した。


 気になったサシャだが、ルーシェは口を滑らさない。

 おそらくルーシェは盟友という名のライバルが増えたとでも言いたかったのだろう。

 ルーシェとエリカが再びどちらの七賢人が上か勝負する日は来るのだろうか。

 いや、必ずその時は来るだろう。だが、それがいつ来るのか誰にも分からない。


「よし! 今日も頑張りますか」


 ルーシェは伸びをして教室へ向かう。

 完全回復したルーシェは自信にあり触れていた。

 

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