2-16 夢を見ました。幸せな反面、私に今後の試練が待ち受けているようです。
ルーシェはそのまま三時間ほど目を覚ますことなく夢の中にいた。
下部には雲で覆われた一面の景色が広がっており、ルーシェは半裸の状態でその場にいた。
周囲には他に誰もいない。どんなに先に進んでも自分以外には誰もいない。
「……ここはどこ?」
ルーシェの不安が募る中、前方に誰かの気配を感じだ。
「ルーシェ」
何者かがルーシェの名を呼ぶ。
「あなたは誰なの?」
「私よ。ルーシェ」
その姿を見たルーシェは目の色を変えて走り出す。
「お母さん!」
ルーシェはその人物に飛びついた。
サーシェ・スカーレット。
ルーシェの実の母親だ。八年前に不幸な事件に巻き込まれて亡くなったが、その姿は亡くなった当時と同じ姿をしていた。
「ルーシェ。大きくなったわね」
「どうしてお母さんがここに?」
「ルーシェに大事な話があってきたの」
「大事な話?」
「募る話はいっぱいあると思うけど、今はゆっくり話す時間はない。手短に話すから聞いてくれる?」
「うん」
「まず、私を殺した人物はボルゾイ・モートで間違いない」
「うん。知っている。魔女狩りをしているんだよね」
「その通り。そしていずれあなたも接触することになる」
「それは覚悟しているよ」
「しばらく見ない間にたくましくなったわね」
「勿論。だって私、七賢人だもの」
「七賢人。そう、あなたが」
「驚いたでしょ」
「驚いた。けど、それはいつかなるって思っていた。だって私の子供だもの」
「お母さんは凄い魔女だったんだよね。私、知らなかった」
「今、知ってくれたらそれでいい。それより忠告があるの」
「忠告?」
「ここから本題。よく聞いて。ルーシェ。十三日後の日食に気をつけなさい。その時、魔女狩りが来る」
「まさか、ボルゾイ・モートが攻めてくるって言うの?」
「いいえ。正確に言えば奴の部下が攻めてくる」
「なんだ。だったら私がそんな奴、チャチャッとやっつけるよ」
「部下と言って侮ってはいけないわ。奴らは強い。下手をしたらあなたは負けることになる」
「そんな。私、負けちゃうの?」
「そこで勝つ為に大事なことを教えてあげる」
「大事なこと?」
「エリカ・ソフィーナを利用しなさい」
「どう言うこと?」
「別に無理して友達になる必要はない。ただ、うまく扱えればその戦いは勝利に導く。それを言いにきたの」
サーシェはスッと空へ浮いた。
「お母さん。待って。行かないで」
「ルーシェ。あなたならきっと出来る。お母さんはそう信じているから」
「お母さん!」
ルーシェが手を伸ばしたその時、サーシェは空へ消えた。
追いかけようとジャンプをした直後、ルーシェの視界は真っ白に広がった。




