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2-12 七賢人同士を鉢合わせたのは全て仕組まれていたことみたいです。

 

 職員室にある個室にてルーシェとマギーは向かい合わせで座っていた。


「その様子ですともう一人の七賢人と接触したようですね」


「マギーさん。最初から知っていたんですよね。私以外にこの学園に七賢人がいるって」


「勿論です。私が受け入れたんですから」


「どういうつもりですか? ちゃんと説明して下さいよ」


 ルーシェはマギーを攻め立てた。


「落ち着いて下さい。彼女もあなたと同じく潜入捜査としてこの学園に迎え入れています。条件は同じですよ」


「でもエリカは私に敵意を向けてきました。それに潜入捜査をしている割に校内で魔法を使うし力を隠す気なんて感じられません」


「私がそのように仕向けました」


「どういう意味ですか?」


「エリカ・ソフィーナにある任務を与えたんです。この学園に入ったもう一人の七賢人を探し出してみなさいと。そうすれば特別ボーナスを支給すると」


「私、そんなこと聞いていませんよ」


「言っていませんもの」


「じゃ、初めから戦闘させるつもりだったんですか?」


「それは彼女の独断です。私は指示していません。あくまでも七賢人を探すことが条件。魔女狩りが内部に潜んでいることを想定した練習のつもりだったんですが、そうですか。戦闘に発展してしまいましたか。それで、どちらが勝ったんですか?」


「一応、私ですけど」


「そうですか。流石ですね。先輩七賢人を圧倒するとは私が見込んだだけはありますよ。ルーシェさん」


「話を逸らさないで下さい。どうしてエリカのことを教えてくれなかったんですか?」


「即座に実戦で対応する為です。いついかなる場合でも準則に対応できる力があなたには必要です。今回はいくつか想定外が起こりましたが、結果的に私の想像した通りになりました」


「結果的に私はエリカを追い込んでしまいました。だから今日、エリカの家に行って様子を見るつもりです」


「そうですか。ちゃんといたわってあげて下さいね。彼女はプライドの塊のようなものですから」


「エリカって何者なんですか?」


 エリカ・ソフィーナ王族の娘であり、異世界の中でも異質な存在と言える。

 そして家系が凄いと同時にエリカは魔力の才能があった。

 幼い頃から魔女に憧れ、親の反対を押し切って貴族としての立ち回りと同時に魔女になった。それも飛び級を重ねて実力は文句なしで七賢人として認められて一年前に正式に七賢人として役職が付いた。

 これまで最年少の七賢人であるが、その記録はルーシェによって破られる。

 そんな経緯をマギーの口から語られた。


「ルーシェさん。あなたも凄いですが、エリカさんもルーシェさんに匹敵する実力を持っている」


「それは充分わかりましたけど、一つ疑問が残ります」


「疑問?」


「どうして同じ学園に七賢人を入れるんですか? 二人もいたら贅沢といいますか、一人で充分ではないかと」


「勿論、同じ学園に二人も七賢人を潜入させるのは贅沢というより必要ない。一人で充分です。ですが、それは経験のある七賢人であればの話。あなたもエリカさんも魔女としても七賢人としても経験が浅い。それなら同じ学園で学べることは学んだ方が互いに成長が早いと判断したからですよ」


「確かにそれはそうかもしれませんけど」


「何か、不安がありますか?」


「私、多分エリカと仲良く出来ないかも」


「それは相性というものがありますから無理に仲良くなる必要はありません。しかし、ビジネスの世界では時に嫌いな相手でも協力することは必要ですからね」


 ニコリとマギーは笑顔を振りまいた。

 そう言われてしまえばルーシェは嫌な顔が出来ない。

 何はともあれ、マギーがエリカに攻撃を指示した訳ではないので安心した。

 問題はエリカそのものだ。

 正直、これ以上エリカと関わりたくないルーシェであるが、今後のことを考えれば無視できる存在でもない。

 今からエリカの家に行くことが憂鬱になるルーシェである。




 放課後、学校終わりにルーシェは妙なことに巻き込まれる形でエリカの家に向かうことになる。


「テト。あなたはどうする?」


「僕は遠慮するよ。家に先、帰って適当にご飯食べるから」


 テトは面倒くさいと一人で帰ってしまうが、ルーシェは気に留めなかった。

 今から面倒ごとに自ら足を突っ込もうとしているのだ。テトの判断は正しい他ない。

 オリバーに連れられる形でエリカの家の前に辿り着いたルーシェは思わず声を漏らす。


「ここが家? いや、城じゃん」


 エリカの家は都心部の中心にそびえる豪邸に住んでいた。

 まさに貴族の娘としてふさわしい家である。


「私も中に入ったことありません。そもそも会えるかどうかも怪しいですが」


「どういうこと?」


「嬢王の家はセキュリティが厳しいです。例え知り合いでも追い返されるんです」


「追い返される?」


「はい。ここは部外者の立ち入りが一切禁止されている秘境の場所です。安易に入ることは出来ません」


「ふーん。まぁ、とにかく入ってみましょうか」


 ルーシェが門に手を伸ばしたその時だ。


「ご用件をお話し下さい」と門の柱の上部に付いてあるランタンが喋った。


 これも何かの魔法なのだろうか。


「エリカいる? 引きこもりになったって聞いて心配して来たんだけど」


「エリカお嬢様は現在、対面できる状態ではありません。お引き取り下さい」


「無理。絶対に会うまで帰らない」


「ちょっとスカーレットさん」


 オリバーがルーシェを止めに入ったその時だ。

 ランタンは突然、火を吹いた。

 ルーシェは軽く防御魔法を使う。


「コラ! 危ないじゃない。いきなり何をするのよ」


「今のは軽い脅しです。これ以上、引き下がらないのであれば侵入者として対処します」


「別に侵入者でいいよ。友達に会いに来ただけだし。馬鹿馬鹿しい」


 ルーシェはランタンの警告を聞かず、門を開けようとする。


「侵入者と判断しました。強制退去させます」


 すると、ランタンから炎の塊が飛んで来た。


「スカーレットさん。危ない!」


 オリバーが焦ったその時、ルーシェは攻撃の軌道を変えて空へ跳ね返した。

 炎の塊は花火のように宙へ散った。完全に無力化してしまう。


「私、これでも七賢人だよ。この程度の攻撃、当たらないよ」


「警告! 侵入者を排除します。警告! 侵入者を排除します」


 ランタンは壊れたように同じ攻撃を繰り返す。


「しつこい!」


 ルーシェはランタンより更に火力の高い魔法で粉砕した。

 ガラスの破片が飛び散り、魔力を失ったランタンはただのガラクタへと戻る。


「しまった。壊しちゃった。まぁ、後で謝ればいいよね。オリバー。中へ入るわよ」


「え。えぇ」


 オリバーは困惑しながらルーシェと共に門を開けて敷地内へ入る。

 ルーシェほど頼もしい存在はいない。

 オリバーの目から見てルーシェの背中はエリカと重なった。

 それでもオリバーの尊敬する人はエリカ一択だが。


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