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番外編⑴

 

 ルーシェが両親を失い、テトと出会う少し前の話。

 自分には魔女の才能がないと諦めて一人で懸命に生きようとするルーシェだが、自分の力だけで生きていくのは簡単なことでない。


「お腹空いた。部屋も散らかっているし、着る物もない。どうしよう」


 何から手をつけて良いのか分からないルーシェは悩んだ。

 ルーシェの母、サーシェはいつもどのように家事をしていたか頭で思い出す。

 とりあえず目の前の散らかったゴミを片付けることに。

 と、言っても袋に適当に掘り込んでまとめるくらいだ。


「これで良いか。後はご飯だよな」


 冷蔵庫を開けるも大したものは入っていない。

 横に目を向けるとダンボールに入った沢山の野菜が入っていた。


「これ、お父さんとお母さんが育てていた野菜。食べても良いよね?」


 疑問に思いつつ、ルーシェは野菜を手に取る。

 とりあえず生で食べられそうなトマトやキュウリを齧って飢えを凌いだ。

 だが、それもいつまでも続かない。


「よし。こうなったら料理するか」


 生で食べられそうにない野菜は調理することを決意する。

 だが、ルーシェは生まれて料理なんてしたことはない。

 無知で料理をしようとしている。


「まぁ、とりあえず焼いたり煮たりすればそれっぽくなるでしょう」


 そして自己流で料理をした結果、出来上がったものは食べ物とは言えない見た目をしていた。皿に盛ってテーブルに並べてみると更に威圧感を感じた。


「ま、まぁ見た目は少しアレだけど、味が良ければ問題ない。頂きまーーす」


 スプーンですくって口に運んだ直後である。

 食べ物とは思えないと思わず吐き出してしまう。


「うげ。何これ。お父さんとお母さんが作った野菜はどれも美味しいはずなのに何で?」


 野菜は美味しい。それは間違いない。

 だが、調理の仕方が問題であるとルーシェは気付かない。

 いくらまずくても食べ物であることには変わりない。

 残すことは勿体ないとルーシェは気合いで胃に流し込む。


「ウゲェェェェェ」


 気持ち悪さを堪えてルーシェは地獄の食事を終える。

 食材は問題ないが、料理を覚えようと誓うルーシェだった。


 生きることって実は大変なのではないかと感じたルーシェは何に対しても苦労続きだった。誰も教えてくれる訳ではないので最後に頼れるのは自分だけである。

 泣いても助けを求めても自分でやるしかない。

 時間を掛けてようやく料理を覚えて野菜作りを覚え始めた。


「キツイ。野菜を一つ作るだけでもこんなに大変なんて知らなかった」


 畑を耕して苗を植えて雑草を定期的に抜いて害虫駆除もしなくてはならない。

 その苦労を知ったルーシェは両親の偉大さを身に染みる。


「はぁ、魔法さえ使えたらちょっちょいのちょいって出来るんだけど、何て言っても私は魔法の才能ないしなぁ」


 魔法が使えたとしても出来ることと出来ないことがあるのをルーシェはまだ知らない。

 そんなある日のことである。

 ルーシェの元にとある手紙が届く。


「手紙? 誰からだろう」


 封を開けて中身を確認する。


「マーシェ・スカーレット? もしかしてマーシェおばさん?」


 マーシェ・スカーレットはルーシェの母、サーシェの姉だ。

 マーシェも魔女であり、今は森の中でひっそり暮らしている。

 手紙は光り輝きマーシェは立体として浮かび上がった。


「え? マーシェおばさん?」


「これは立体映像。ルーシェ、久しぶりね。元気にしていた?」


「うん。私は元気。マーシェおばさんは?」


「私は足腰が悪くてね。本当はルーシェに会いに行きたいけど、なかなかね」


「そうですか。お身体には気をつけてね」


「ありがとう。ところでルーシェ。あなた、一人で生活大変じゃない? 良かったらこっちで暮らさない?」


「マーシェおばさんのところで?」


「うん。ご飯作るのも大変でしょ? こっちで一緒に暮らしたら少しは楽になると思うけど」


 マーシェの誘いにルーシェは悩んだ。

 ルーシェにとってみれば保護者と過ごす方が安心だ。良い話であることは間違いない。

 だが、気掛かりが残っていた。


「マーシェおばさん。せっかくのお誘いだけど、私はこの思い出のある家から離れたくない。ここはお父さんとお母さんの大事な家だから」


「そう。ルーシェの気持ちはよくわかりました。でも、何かあったらすぐ言いなさい。必ず力になるからね」


「ありがとう。マーシェおばさん」


「体調が良くなったらまたそっちに行くわ。それとルーシェにプレゼントをあげる」


「プレゼント?」


 ボカンッ!


 すると、手紙から厚めの本が飛び出した。


「うわ! 何か出た。これは?」


「生活に困ったらそれを読みなさい。必要な知識は全部、そこに書かれているから。今、困っていることはない?」


「料理がもう少し上手になりたいかな。あと、美味しい野菜を作って村に売りたい」


「なら、その本に書かれているから読んでみると良いわ。きっと役に立つから」


「ありがとう。マーシェおばさん」


 ルーシェは生活の知識を更に深めることになる。


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