Side:Cлава②
◇リヴィ
その日は特に寒い雪の日だった。
雪が舞い、辺り一面を純白に染め上げる。
やがて雪が止むとひとつの産声が寒空に響いた。
雪とは正反対の"漆黒"を纏ってその子は産まれた。
リヴィと名付けられた彼女は、いつも1人だった。
とても強い闇の魔力を恐れて誰も近づかない。
「お父さん、お母さん!あのね、」
「近寄るな!!」
「ごめ、なさい……」
それが肉親であっても。
気味が悪いとリヴィを罵り、遠ざけた。
「あなたなんて私の子じゃないわ!」
「ほら、あの子よ」
「忌み子!」
「「「お前は忌み子だ」」」
誰もが彼女を嫌い、果てに"忌み子"と呼んだ。
罵られ、遠ざけられ、彼女は内側から崩れていった。
『私の居場所は…もうどこにもない……』
笑顔は消え、つらい、苦しいと流した涙も枯れた。
リヴィから"感情"というものが抜け落ちたのだ。
誰からも肯定されずに生きてきた彼女は、次第に自らの意思で動くこと、決定することも出来なくなった。
命令されなければ動けないようになってしまった。
誰も彼女に近づこうとしないのだから、命令などされるわけがなく。
ただただ虚空を見つめて1日を終える毎日を過ごした。
そんなある日、彼女は売り飛ばされた。
奴隷のように売買され、行き着いた先はとある貴族の家。
「私はレオナ。お前は?」
「リヴィです」
「リヴィ、お前は私の命令に従えばいい」
「はい」
リヴィのレオナに対する印象は狂っている、それだけだった。
今まで彼女の周りには彼女を否定し、蔑む者しかいなかった。
しかしレオナは彼女を否定せず、あくまで命令するのみ。
『レオナは狂ってる。どうして私を否定しない?』
"否定されることが普通"となっている彼女からすれば、"自分を否定しない=異常、狂っている"と感じるのだ。
その違和感を抱えながら、リヴィはレオナの命令に従う日々を過ごし月日が流れた。
違和感に慣れた頃。
リヴィはレオナに対し心を開き始めた。
そんなとき。彼女は別の世界へ呼び出された。
◇◇◇
「……ここは…」
わからない。
ここがどこなのか、周りにいるのが誰なのか。
彼女は全てを遮断する暗く果てしない闇で周りを包み込んだ。
───いや、包み込んでいた。
気づいたら全てを闇に包んでいた。
そのままでいると足音がひとつ、後ろから聞こえた。
急いで振り向くが、辺り一面は闇に包まれていて何も見えない。
けれど、見えなくてもわかる。この覚えのある魔力。
「リヴィか?」
思わず、肩がびくりと跳ねた。
…予想通り。今目の前にいるのはレオナだ。
「今すぐ魔法を解け」




