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募金少女が荒野を行く。

作者: MOZUKU
掲載日:2019/09/02

時は20xx年、地球は人類の争いとか天変地異により荒れ果ててしまった。

荒れ果てた世界で人間達は数を大幅に減らしながらも、なんとかしぶとく生き残り生活を続けていた。

そうなるとモヒカンスタイルの盗賊とか現れたりするわけで、町では盗みだの殺しだの横行していた。

今日も、かつては高層ビルが建ち並び栄えていたが、今はすっかり寂れてしまった町に盗賊団が現れた。

「オラオラ、これからこの町は俺達のもんだ!!」

「ひぃいいい!!」

町で略奪する盗賊団、逃げ惑う人々、町一つが盗賊団に乗っ取られるのは時間の問題。だがその時、一人の少女が現れた。

「すいませーん♪募金お願いしまーす♪」

黒髪ポニーテールの白いセーラー服のニッコリ笑顔の乙女。手には"愛の募金"と書かれた紐の付いた白い箱を持ち、その紐は首に掛けられていた。見るからに学生の募金活動といった出で立ちだが、学校、募金の制度など、すでに廃止された、この世界において、少女は一際異彩を放っていた。

「募金お願いしまーす♪」

明らかに場違いな来訪者に、モヒカン達は最初のうちはポカンとしていたが、すぐにオラつき始めた。

「オラァ!!テメー何もんだ!?」

一人のモヒカンがそう訪ねると、少女はすぐにこう答えた。

「はい、鮫肌第二高校の二年三組、荒屋敷(あらやしき) 光恵(みつえ)です♪」

「です♪・・・じゃねぇよ!!ぶっ殺すぞ!!」

「いやいや、殺さないで下さいよ♪そんなことより募金して下さい♪今、私の村が飢饉で苦しいんです。だからどうしても水と食料、あとお金が欲しいんです♪だからそれらを恵んで下さい♪」

モヒカンに全く臆さない光恵は、ハキハキとモヒカン達に募金を頼んだ。

だがそれでモヒカン達が「うん、分かった」と募金してくれる筈もない。

「ふざけんな!!もういい!!テメーは死んじまえ!!」

一人のモヒカンがショットガンを持ち出して、その銃口を光恵に向ける。

それに対して光恵は首をかしげた。

「鉛弾は要りませんよ?」

"ドンッ!!"

"ドサッ!!"

銃弾を喰らうと仰向けに光恵は倒れた。この世界では命は綿埃並みに軽かった。

「たくよぉ、たまにあんなアホが出てくるんだよな。さて略奪再開だ!!」

威勢良く略奪を再開しようとするモヒカン達。しかしながら、それは叶わなかった。

「まてまてまて・・・バカ共待てや。」

ムクリと立ち上がる光恵。ショットガンの弾は彼女の超合金の装甲はおろか、防弾性のセーラー服と募金箱に傷一つ付けることは出来なかった。

「テメー何で生きてやがる!!」

何千何万回と聞いたモヒカン頭の男達の台詞に溜め息の漏れる光恵。

「たまにはさ、ニコニコ和やかに和平的な解決をしたかったけれど、結局コレになるのね・・・はいはい、分かりました。いつも通りやってやる。」

目の色を変えた光恵は、パタパタとモヒカン達を手招くように右手を動かした。すると、その場に居たモヒカン達の体はズシンと重たくなり、漏れなくモヒカン達はその場に倒れ伏した。

"ギシギシ・・・"

「ぎゃあああああ!!」

自らの骨の軋みに耐えきれず悲鳴を上げるモヒカン達。それを見て光恵は鼻で笑った。

「飽きた、飽きた・・・300年もこんなことやってるとね。飽き飽きなのよ、バカ野郎共。」

「テ、テメー何しやがった!!」

「はーい、重力操作でアンタ達の居る場所の重力を何倍にもさせて頂きました。ちなみに私が死ななかったのは、99%機械のパーフェクトサイボーグだからです。ちなみに、ちなみに、あと二回パタパタでアンタ達は潰れて死にます。じゃあパタパタしようかな?」

「ま、待て!!水と食料をやる!!だから助けてくれ!!」

命乞いするモヒカン達だったが、光恵は不機嫌そうに一回舌打ちしてから怒鳴り付けた。

「金もだろ!!ボケが!!」

「ひ、ひぃ!!わ、分かった金もやるから許してくれ!!」

こうして光恵はモヒカン達から水と食料とお金を奪い去り、用済みになったらモヒカン全員を町から追っ払った。かなり戦利品があったので、結果的に助けることになった町の人からリヤカーを一台貰った。

「ありがとうございます!!」

「お姉ちゃんありがとう!!」

町の老若男女が光恵に代わる代わるお礼を言った。光恵は戦利品を詰め込んだリヤカーを引きながら、にこやかに手を振った。

「どうも♪また募金を集めに来るかもしれないので、その時は宜しくお願いしまーす♪」

町を出て、荒野を一人リヤカーを引いて歩く光恵。その顔はとても満ち足りた顔をしていたが、何処か邪悪でもあった。

「良いわぁ、人から感謝されるって何事にも替えがたい快感。まぁ、後は知ったことじゃないけど、どうせあの町も、じきに別の盗賊団に襲われるでしょうね。何処もここも資源は無くなっていく一方・・・どうせ世界が終わるなら、もっともっと私に感謝してから滅べよ人類♪」

楽しそうに笑う光恵は、自分の村の人間から感謝されるべく歩を進めた。

首から下げた箱に書かれた"愛の募金"という文字は偽善であり、彼女の愉悦を一助する方便でしか無かった。















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