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海色の恋

 それは一目惚れだった。否、一耳惚れとでもいうのだろうか。そんな言葉があるのかはわからないけれど。

 夕方から夜に変わっていく微妙な時間。空が赤から深い藍へと色を変えていく時刻。

 現実から逃げるようにして海に来た私は、そこで彼の姿を目にした。

 茶色の短髪を潮風に揺すられながらこちらに背を向けていた彼は、その足を波に濡らされながら歌っていた。

 誰もいない海辺で、彼の声は静かに低く、けれど優しく響く。

 誰かに語り掛けるかのような、思い出を話しているかのような、そんな口調で歌っていたのだ。

 それを耳にして私は一瞬にして恋に落ちた。恋に落ちるとはこういうことなのかと思った。

 彼の歌は私の身体に染み込み、彼の声は私の胸を熱くした。

 心臓が打たれた。打たれたそこは今までの遅さが嘘のように鼓動を速める。

 私はしばらくの間そこから動くことが出来なかった。ずっと、彼の歌を聴き続けていた。

 どのくらいの時間、そうしていたのだろう。

 熱に浮かされたような気分になっていたわたしがふと気が付いた時には、あたりは真っ暗になっており、そして、彼が驚いたような表情でこちらを見つめていた。

 心臓が高鳴る。

 見られてしまった。聴いているところを。決して盗み聴きしたわけではない。けれど聴いてしまったことは事実で。恥ずかしさと罪悪感で逃げ出したくなる。

 だけど、ここで逃げてしまってはもうこの人には二度と会えないような気がした。それは絶対に嫌だ。

 なにか、言わなくちゃ。

 口を開ける。が、声は掠れて出てこない。

 みっともなく口をパクパクさせているうちに、彼のほうが先に声をかけてくれた。


「君、泣いてるの?」

「え……?」


 慌てて頬に手をやる。

 濡れていた。けっこうびっしょりと。

 びっくりした。泣くなんて何年ぶりだろう。全然気が付かなかった。

 

「……ごめんなさい。あなたの歌が、あまりにも綺麗で」


 言葉は自然と溢れていた。さっきまで声すら出なかったというのに。

 彼は困ったように、だけど嬉しそうに微笑んだ。


「ありがとう。褒められたことはあるけど、泣かれたのは初めてだよ。……俺の気持ちが漏れてたのかな」


 少し間をおいてからそう言って、彼は目を伏せた。

 黙ったまま続きを待っていると、震えた声が発せられる。


「振られたんだ、さっき」


 胸が震えた。

 そうか、だからさっきの歌……。

 優しくて幸せそうなのに、切なくて物悲しくも感じられたのだ。

 それを伝えると、彼は目を瞬いてまた笑った。


「君は、感受性が豊かなんだね」


 そっと囁かれたその声があまりにも苦しそうで、わたしの胸は更に強く締め付けられる。

 口は笑っているのに、心が笑っていない。泣いている。

 何とかしてあげたいと思った。一瞬で好きだと思わせてくれた、この人に。けれど、今の私じゃどうしようもできなくて。

 何も、言うことが出来なかった。

 夜の闇に波の音が響く。

 彼の瞳が海を映した。何もかもを吸い込んでしまうかのような、闇の色をした海を。

 まつげが揺れている。半開きになった口が、震えている。

 私の心を、言いようのない不安が襲った。

 この、細くて綺麗な彼が、今にも消えてしまいそうな気がした。深い悲しみをたたえて、導かれるように海に入って行ってしまいそうに見えた。そのくらい、今の彼は儚かった。

 気づけば私は、彼の腕をつかんでいた。

 はっとしたように彼が私を見下ろす。

 驚きと戸惑いが伝わってくる。けれど、あの儚さが消えた。

 安堵する。まだ悲しみを残してはいるけど、彼の眼はちゃんと私を映してくれた。


「あの、よければ私の家に来ませんか?」

「え、でも……」

「あ……それとも、どこかホテルとか旅館とってます?」

「……いや、泊まる予定のところは、ないよ」


 少し考えこむようにしたのち、視線を彷徨わせて彼はそう口にした。

 私の肩の力が抜ける。

 それなら問題はない。


「なら、わたしの家に行きましょう。すぐ近くなんです」

「……ありがとう」


 ほとんど吐息のようなお礼に頷き、わたしは彼の腕を引いた。

 彼は抵抗することもなくわたしに続く。

 それは今の私には嬉しくもあり、不安でもあった。

 この腕を離したら、彼は泡となって消えてしまいそうで。

 大げさかもしれないけど、そのぐらい彼の身体からは力が抜けていたのだ。不意に目が、何もない宙を見つめる。生きる道を失っているかのように。

 彼の腕を掴む手に力がこもる。と同時に、こんなときなのにそこに熱が集まるのも感じた。

 いつもよりもテンポの速い胸を抑えるようにして、わたしは先を急ぐ。

 私の家は、海から十分ほど歩いたところにある。古びたアパートの二階。外見は古びているように見えるが、中に入るとそれなりに綺麗なところだ。

 到着すると、扉を開けて電気をつける。

 リビングに彼を連れて行き、机の前に座ってもらった。私はコーヒーを淹れにキッチンへと向かう。

 今日の夜は冷える。お湯を沸かし、いつも飲んでいるインスタントコーヒーを自分のマグカップとお客用のマグカップに注ぐと、お盆に乗せてリビングに移動した。


 それを見たとき、私はお盆を落としそうになってしまった。


 震える手と不自然に脈打つ心臓を落ち着かせ、わたしはそっと彼に声をかけた。


「海を、見ているんですか……?」


 不安からか声が掠れてしまう。

 座らせていた彼は、いつの間にか窓辺に立って窓の外を眺めていたのだ。

 その窓からは、先ほどの海がよく見えた。いつもならよい景色だと思うのだが、今は見えてほしくなかった。

 この人に、見せなくない。

 コーヒーを机に置き、彼をそちらへと促す。

 彼は軽く頷いて座ってくれたが、その意識が海のほうを向いているのはすぐにわかった。それが、私の不安を強く掻き立てる。


「あの、コーヒーで大丈夫でしたか?」


 身を乗り出して彼に聞く。彼はコーヒーに視線を落とすと、その口元を緩めた。


「うん。大丈夫」

「砂糖とかミルク入れます?」

「いや、このままでいいや。ブラックが一番好き」


 そう言ってコーヒーに口づける。

 その表情が少しだけ和らいだのに、私はほっと胸を撫で下ろした。

 だけど、次に紡がれた言葉に身体が固まる。


「彼女も、ブラックが好きだったんだ」


 彼女とは、彼を振った相手のことだろう。

 彼の目は今、コーヒーを通してその彼女のことを見つめていた。

 その事実に心臓が痛む。それは嫉妬とか妬ましさというよりは、悲しみや寂しさに近いような気がした。

 同情しているのかもしれない。この人の悲しみが痛かった。

 彼のコーヒーを啜る音が部屋に響く。

 私も一口含んだ。彼と同じ、ブラックを。

 深い苦みが口の中だけでなく、身体中に染み渡るようだった。

 静かな空気が流れる。

 二人の呼吸音が部屋を占める。

 なんだか不思議な感じがした。誰かが家にいることなど、一度もなかったから。しかも、今いるのは好きな人で。もっとも、彼には前の彼女しか見えていないし、自分も一目惚れという危うい恋心を抱いたばかりなのだが。

 それでも、いいやと感じる。この胸に残る寂しさは拭えないが、同じぐらい、前にはなかった幸せという感情が表れていたから。

 一時的にでもいい。恋をするとはこういうことなのかと、考えることが出来た。感じることが出来た。それは、今の私にとっては救いとなっていた。

 不意に、彼が立ち上がる。はっとして見上げると、彼は物憂げな表情でまた窓の外へと視線をやっていた。

 足が窓の方へと向かう。

 その足取りに危うげなところがなかったため、わたしはそっと目で追うだけにとどめた。

 手をガラスへと添わせる。涙の幕を纏ったような瞳が、切なげに海を映す。

 マグカップを手に、私は問いかけた。


「彼女が、恋しいですか?」

「うん。もう、十年も好きだったんだ」


 彼の口から、彼女との思い出が語られた。

 淡々と、だけど懐かしそうに、それでいてうたうように話す彼に、私は魅入り、その低く柔らかな声に耳を傾けた。


 彼が彼女に初めて出会ったのは十八歳の時。高校を卒業し就職した会社でだった。

 彼女は同い年で、別の高校から同じ職場に就職した女性。つまりは同期だった。

 ほかにも同期はいたが、彼は彼女と一番よく話すようになった。趣味が合い、話しやすいのもあったが、本当のところは一目惚れだったのかもしれない、と彼は言った。

 それから二人はともに仕事をし、成長し、二十歳になると飲みに行き、と徐々に関係を深めていった。会社でも、二人は付き合っているのでないかと噂になった。けれど、彼は彼女に告白したことはなく、彼女の方もそんなそぶりはなかったらしい。

 そして、気が付けば十年もの月日が流れてしまっていた。二人はよく一緒に、二人だけで遊びに行っていたけれど、それ以上の進展はなかった。今年も、そう思っていた。

 しかし、その日は唐突に訪れる。夏休み前、彼女が言い出したのだ。海に行きたいと。


「海は、俺たちが最初に遊びに行った場所だったんだ」


 吐息にも似た彼の声が、少し熱を帯びたように感じた。

 話は続く。


 チャンスだと、彼は思ったそうだ。想いを伝えるには、ここしかないと。

 彼は十年前初めて彼女と訪れたこの場所に、彼女を連れてきた。

 彼女は嬉しそうに笑ったという。懐かしいね、前にもここに来たね、と。

 二人は日が暮れるまで海で遊び尽くした。

 傍から見たら付き合っているように見えただろうな、なんて私はぼんやり考える。

 夕方になった。夕日が海を真っ赤に染める。

 そろそろ帰ろうかと背を向けた彼女を、彼は後ろから抱きしめた。水着姿の彼女の肌は潮風にあたって少し冷えていた。と、彼は少し恥ずかしそうに語る。

 その柔らかく細い、今にも折れてしまいそうな華奢な身体を包み込み、彼は言った。

 好きだ。と。十年前から、ずっと好きだった。

 彼女は息をのみ、身体を強張らせて、そっと振り向いた。その表情は驚きと困惑と、罪悪感だった。

 彼女の口が、言葉を発する。


「ごめんなさい。あなたを、そういう風には見られない」

「……そっ、か」

「ごめんなさい……」


 腕から力が抜けた。

 彼女は申し訳なさそうに頭を下げると、先に戻っているから、と行ってしまった。

 それから、彼はずっと海を見ていたそうだ。そして、心の叫びを歌に乗せて紡いでいた。

 彼女と過ごした日々の楽しさと嬉しさと感謝、そして想いが届かなかった悲しさと寂しさ、悔しさ切なさを歌に込めて。

 その時、私と出会ったのだ。わたしが、彼を見つけたのだ。

 どうしようもなく途方に暮れて迷っている彼を。消えてしまいそうな、彼を。


 話し終えた彼は一息つくと、ずっと窓の外にやっていた目を私に戻した。

 心の中は悲しみでいっぱいのはずなのに、穏やかに微笑む。


「俺を見つけてくれてありがとう。君が見つけてくれなかったら、俺は……」


 その続きを、彼は紡がなかった。ただ口を半開きにしたまま、宙に視線を投げただけだった。

 そこからは私たちの間に会話はなく、もう遅くなってきたからと眠ることにした。

 彼は、ここでいい、とソファに横たわった。その身体にタオルケットをかけてあげ、私もベッドにもぐりこむ。

 そういえば彼、上着を着ていたけど中は水着なんだよな、なんてそんなことを考えた。

 変なことを考えそうになる脳を遮断させ、布団をかぶる。

 いつもは聞こえない波の音が今日は聞こえてくる気がした。念のため、海側の窓のカーテンを閉め、私は眠りについた。

 目が覚めたのは朝方だった。

 白い光が窓から差し込んでくる。潮風が顔にあたる。

 夏にしてはやけに涼しく感じられた。いつもなら、この時間でも鬱陶しいくらい暑いのに。

 起き上がり、窓の外に目をやる。ふと、違和感を覚えた。

 窓とカーテンが開いている。視界に入るのは朝日に照らされた青く透き通る海。

 うみ……海!?


「あ、の人は!?」


 振り向く。ソファに彼の姿はない。

 急いで玄関に行ってみたが、案の定というべきか彼の靴もなくなっていた。


「まさか」


 その続きを考える前に、私は寝間着の上からパーカーを羽織って慌てて家を出た。

 海に向かって走る。

 寝癖が付いているであろう髪が強い風に煽られる。ビーチサンダルをつっかけてきたせいか何度も転びそうになる。

 サンダルと足の間に入る砂に不快感を覚える暇もないまま、海辺まで来た私は息を整えながら辺りを見渡した。

 彼はすぐに見つかった。

 昨日と同じ場所で、飽きることなく海を見つめていた。

 青い青い、不気味なほど青い海を。

 彼の姿が、淡く光っているように見えた。

 気のせいだと。朝の光のせいだと、頭を振るう。

 彼がゆっくりと、その大きく長い脚を動かした。海の方へ。


「だめっ」


 先に声が出た。そして。

 気づくと私は、彼を後ろから抱きしめていた。否、抱きついていたと言ったほうが正しいか。

 頭上から息を飲む音が聞こえる。

 彼が何か言う前に声を発する。


「だめです。死んだら、だめです」


 そんな言葉が出てた。

 彼が微笑む気配がした。声が降ってくる。


「……死のうといていたわけじゃないよ。ただ……」


 続きを、彼は口にしなかった。できなかったのかもしれない。

 微笑みを浮かべていた口が歪み、見開かれた目が揺れ動いたから。昨日と同じように。

 彼は焦点の合わなくなった目をつむり、空を仰いだ。息を吐き、大きく深呼吸する。

 その間、私は抱き着いた状態から少し離れたものの、ずっと彼の腕を掴んでいた。彼がいなくならないように。泡となって、消えてしまわないように。

 徐々に、私の手のひらと彼の腕、触れている部分が温かくなっていく。

 少しして、落ち着きを取り戻した彼はまた、ありがとうと私を見た。


「昨日も言いかけたけど、君が見つけてくれなかったら多分俺は――死んでいた」


 声が掠れた。私の口の中も乾いてくる。

 急激に体温が下がった気がした。心臓は、死、という単語を聞いた途端、うるさいぐらいに鼓動を速めたのに。

 無意識に、手に力が入る。

 けれど彼は、もう大丈夫だよ、と私の手に自分の大きな手を重ね、もう一度海を見た。まぶしそうに目を細める。

 その儚げで揺れ動いていた瞳に、スッと何か強い光は宿ったのを私は見た。

 半開きだった口も、気づけば引き締まっていた。


「行こう」


 さっきまでなかったまっすぐな声でそう言うと、彼は私の手を取って歩き出した。海に背を向けて。振り返らずに。

 私は彼を見上げて思った。

 ああ、この人は、強いんだな。と。昨日はあんなに頼りなさそうだったのに。今はもう、前を向いている。

 さっき、何を思ったのか、何が彼をそうさせたのかはわからない。私かもしれないし、彼自身で解決したのかもしれない。けれど。

 いつの間にか、私の心の中の不安もすっかり晴れていた。残ったのは幸せと安心と、そして、彼とつながれた手を見たとき、体温を感じたときのくすぐったさだった。

 彼は私のアパートの前まで来ると、手を放して私と向かい合った。

 少し残念に思いながら、彼のぬくもりを握りしめて顔を上げる。

 彼は初めて、頬を上げて笑った。


「ありがとう。俺を見ててくれて。おかげで、前を向けそうだよ」


 その瞬間。その、迷いのなくなった笑顔を見た途端。

 私は、自分でも説明できないほどいろいろなものを感じ取って。

 思わず、声を出していた。


「好き、ですっ」


 またしても心臓は音を立て、今度は身体の熱を上げて呼吸を乱した。

 答えはもうわかりきっていたけれど。

 それでも、言わずにはいられなかった。

 だってこれが、最後になるかもしれないから。もう、会えないかもしれないから。

 何の前触れもなく、突然で。きっと彼を困らせる。それも、理解していた。理解したうえで、私は想いを口にする。


「あなたは十年も想ってて、それに比べてわたしはたった一日、ですけどっ。それでも、好きになってしまったんです」


 一目惚れだった。その瞳に、表情に、背中に、声に、歌に、見惚れた。魅入られた。

 それから、深く人を愛する心に、姿勢に、惹かれた。

 支えたいと思った。一緒にいたいと思った。

 もっと話したい。もっと知りたいと感じた。

 好きって、思った。愛したいと。こんなにも。初めて。


 そう、言ったところで。


 答えなんて、痛いほどわかっていたのだ。


「……ごめん。それには、応えてあげられない」


 わかっていたんだ。彼の目が、まだ彼女を見ていることを。

 諦めてなくて。彼女の元に戻っていくことが。

 ずっと見ていたから。

 わかって、いたんだ。


「けど、ありがとう。その気持ち、嬉しいよ」


 耳に心地いい、優しい声でそう言って。

 彼は私を抱きしめた。

 その優しさは酷く、残酷で。いっそのこと振り払ってくれればいいのに。なんて思いながらも、それ以上に幸せでもあって。


「こちらこそ、ありがとうございます」


 私は涙を流しながら、口元に笑みを浮かべた。


 ずるいです。そんなあなただから、好きになったんですよ、きっと。


 その言葉は、私の心の中だけで響き、消えていった。

 私の淡く、儚い、突然の恋は、彼の迷いとともに消えていった。

 苦くて甘い、幸せを残して。


 彼はすぐ、彼女が泊っている――彼も泊まるはずだった――ホテルへと帰っていった。

 私も彼も、互いに何も残していかなかった。物だけでなく、名前もすら。

 けれど、私の中には彼の歌と声とぬくもりと、あの瞳が刻まれていた。

 私は思い出すだろう。海に見るたびに、彼の歌とぬくもりを。

 彼が使ったマグカップを見るたびに、その声と瞳を、思い出すだろう。

 切なくも心地いい感情と共に。

 彼は私に与えてくれたのだ。幸せを。

 この世界にも、希望があるのだと。

 彼がどこかで生きている限り、私も生きよう。この世界を。

 スマホを取り出し、電話をかけた。

 上司に一週間、仕事を休んだことを謝り、明日からまた出勤することを伝える。

 窓の向こうから、波の音が聞こえてきた。

 青い青い、美しいほど青い、海の声が。

 それは、一瞬の出会いと別れを見届け、新たな一日の始まりを祝福していた。

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