第62話 れっつ花火!
話に行き詰まったので三話、削除させていただきました。
勝手ながら誠に申し訳ございませんでしたm(_ _)m
「まさか格好が女子になって、得することがあるとは…」
「そう?昔からちょっと女顔だったし、声も高かったし。今と対して変わったような気はしないけど…?」
「それけなしてる?」
お店の中に数人の笑い声が反響した。
「まあ、我らも蒼殿に協力していただけなければ全滅も考えられました。本当に感謝しています」
隣に座っている少女がこちらに体を向け、ぺこりと頭を垂れた。
金髪ロング、整った面立ち。キリリと少し鋭さを感じる目。一度見たら頭から離れられないような美少女であった。
彼女の名前は“日暮 雅”。またの名を“アビスコール”と言う。
そう、影達を相手に共闘した仲間のリーダーである。
『ダーク・ライト』を使って意識を失ったボクをトゥナとともに安全な場所に移動させ、最後の影をぶちのめしたと、トゥナから聞いた。
その後、ボクのそばで活動するために人間の姿になったという。女だったのかよ。
雅はコーヒーカップを持ち上げて、コーヒーを一口飲んだ。
「にしても蒼ってば本当に甘いもの好きよねー」
「太るよ?」
「やかまし」
沙与と美久からのダブルアッパーカットをくらう。
そう、ボクは大の甘党である。とは言っても辛いものも好きだけどね?
冷蔵庫にはプリンが常備されている。それはもう、毎日ターシャが食べても減らないくらいしょっちゅう買いに行っているからだ。
「まあいいじゃない。せっかく女の子になったんだから。今の内に甘いもの食べときなよ」
「うぅ…反応できないのが辛い…」
モンブランを口に運ぶ。栗のほのかな甘味が口の中に広がる。
喫茶店…最高。
「…このあとターシャちゃん達と一緒に集合でしょ?」
「あ、うん、あとレインと母さんも」
正直のところ、あの母親という山姥は追い払いたい。
実際、そうお願いしたらバットをボクのパソコンに向けて振るおうとしたのでやむを得ずに承知したのだ。
「蒼も浴衣着ればいいのに」
「だぁれがきるかあぁぁ!!」
「いや、せっかくの花火大会だし…」
そう、ボクらはこれから花火大会にレッツゴーするのだ。
当然のように母さんに『この浴衣は私の若かったころの物よっ!着なさいっ』と言われたが火球を手から出して脅して、なんとか浴衣は回避した。
ちなみに雅、美久、沙与はしっかりと浴衣を着ているのである。ボクはねずみ色のパーカーとジーパンという普通の組み合わせだ。
ただでさえ、美少女が三人も集まっているのだ。必然的に視線は集まるだろうから地味な格好を選んだ。
「どうせ母さんは気合い入れてくるだろうなぁ」
母さんはボクらの年齢層の親としてはかなり若い、三十代中盤なのだ。だからなのか、まだしっかりと色気は残っているし、顔も整っている。
端からみれば美女なのだろうが、ことあるごとにパソコンを人質にとるあの鬼の姿を知っているボクからするとどうしてもそうには見えない。
「蒼のお母さん、綺麗だからいいじゃん!贅沢いわないの!」
「彼女は世界を救わない。ただ子供に女物の服を着せたがるだけだ。彼女の名は…パソコンスレイヤー…」
「こら」
沙与に脳天チョップを頂いたのであった。
「おー、遅かったではないか~。待ちくたびれたぞ」
「本当ぉ本当ぉ」
「あぁ…蒼はどうして着物をきてくれないのでしょう…」
喫茶店を出て数分後、待ち合わせ場所兼花火大会会場の川辺についた。
そこにはターシャと、レインと、ハンカチをくわえて『むきー』としている母さんがいた。なんであんたはキレてんだよ
「ごめんなさい~、蒼がやたらと注文するもので~」
「いやなに人に罪を着せとんねん!」
はっ、しまった。ついついエセ関西弁で突っ込んでしまった。
ちなみにボクは二個しか注文していない。モンブランとコーヒーのみだ。
しかし、美久と沙与ははるかにそれを超えた。ケーキ類は余裕で三皿は超えている。
本当の甘い物好きはどっちだってんだよ!こんにゃろ~
「まったく、そのような食生活をしていては太るぞ。太った魔法少女が空を舞って戦う様などわらわは見ていられないのぉ」
「だがらぁ!」
「蒼が太っちゃったらぁ、空飛べないんじゃないのぉ?」
「違うっつってんだろがぁぁぁぁ!!」
空にボクの絶叫が響き渡る。この時、スマホに地震速報が入ったことには触れないでおこう。
「…すごい屋台の数。これじゃまるで縁日だよ」
川辺はもはやお祭り会場みたくなっていた。数多の屋台が広げられ、様々な食べ物を食べ歩く人々の姿もあちこちに見られる。
「人間は祭りが好きじゃのぉー。わらわは騒がしくてあまり好かんのじゃ」
「え?神様のためにお祭りするんじゃないの?」
前にターシャが言っていた。神は人々の信仰によって力を得、そして人々に恩恵を与えるのだと。
そんな神がお祭り嫌いって…バチ当たるよ!?
「それは神社で奉られている神にしか効かん。無名の神だっているわけじゃしな。それに、今はお祭りなどといっても神を奉るためのものではないものも多いじゃろう?皆が飲み食いして終わりというものがほとんどではないか」
「…まあ…そうだね…」
ボクもお祭りに行った回数は少ないが、お祭りで神様のことを考えたことはなかった。
「…。まぁ…たまには悪くないがの。ちと回ってみようかの」
「実は興味あるんでしょ?」
「う、うるさい!」
黒を主体とした生地に百合の花の模様が入った浴衣を見にまとったターシャの顔が赤に染まった。
「まぁまぁ、本当はどこにも奉られてなくて奉られてる神様がうらやましいからお祭りが嫌いなんだろうけどねぇ」
ニシシと、白に牡丹の花が描かれた浴衣を身につけたレインがニヤケ顔で言った。
「レ、レイン!余計なことを言うではない!」
「だってほんとのことでしょぉ」
「だから言わんでいいと言っておるのじゃああああ!」
端から見れば、幼女同士の喧嘩にしか見えませんでした。




