表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/63

第61話 光+闇=?

「…なぜに男子用?」


その体つき、どこからどう見ても女性である。でうのにも関わらず、男子用しかもボクの学校の制服をなぜ身に付けているのであろう。


「…おい、んだよこの格好」

「…しゃあねぇだろ!?俺の最後に見た服がこれだったし。だからといって全裸で飛び出すわけにはいかないだろ!?」


影同士での言い争いが始まったようだ。仲間割れ、ダメ、絶対。


「っからぁぁ!」

「ああぁぁぁ!?」

「…」


完全に茅の外である。なうん、悲しきかな。


「…こほん…、えっと…何?」


言葉が見つからず、コミュ症が発動してしまう。


「…。これは俺達が合わさった時の姿だ」

「先程よりも大幅に強くなっている。なめてかかると…死ぬぞ!!」


刹那、実体化された影(長いから影女にするよ?いいよね?)が猛烈な勢いで距離を詰め、その拳を突きだしてくる。


「おっと!内なる魔力を闇に!」


それをジャンプして避け時間を稼ぎその隙に魔力を闇に変換する。


「圧倒的な力の前にひれ伏せ!ダクネース・ホークアイ!」


厨二ボイスを発しながら闇魔法を行使した。

五つの指から放たれた紫色のレーザー。それを見て影女はいとも簡単にかわす。


「あまいな、そんな攻撃あたるとでもっがぁっ!?」


うん、まさかとは思ったけどテンプレ通りのリアクションをしてくれた。なんとも嬉しいことである。


闇属性中級魔法…ダクネース・ホークアイ。

日本語にすると『闇の鷹の目』という厨二なのかどうかわからなくなるがそれは置いておこう。


ダクネース・ホークアイは指先から闇魔力を元にしたレーザーを作り出す魔法だ。本来なら十発撃てるんだけど…ね?


で、さっきみたいに相手を追尾してくれるってわけ。もちろん自分でもコントロールはできるから一回、あえて避けさせて背後から襲ったりとかなり自由度の高い魔法なのである。


「指十本だったら高威力なんだけどなぁ…威力は半分になってるし…」


正直のところこれで決めてしまいたかった。というのも、ボクの魔力量は今、非常に少なくなっているのだ。さっきの影との戦いとかその戦いで使った魔方陣展開式魔法【時断】とかの影響だ。

だから、できるだけ上級の魔法は使いたくはないのだが…。


「半分の威力で…これか…。やはり強いな…」


げほっ、と咳き込みながら影女は言う。やはりここで決めてしまいたかったなぁ。


「だが、まだまだだ。はぁっ!」


影女が空に腕を振り上げ、先ほどとは違う。その髪の毛と同じ翠色のレーザーが放たれる。


「なっ!?」


すると再び、そらから影が落ちてきて影女と合体する。


「個々の力はお前に勝てなくても…俺らはこうやって力を会わせることができるんだよ!」


至近距離で足払いをくらい体制を崩してしまう。


「死ね、俺たちに従わなかったこと。あの世で後悔しろ」


そして、ボクに影女の手の平が向けられる。




不味い





死ぬっ!







「くらっ「はぁぁっ!!」ぐはっっ!?」




しかし、痛みや衝撃はいつまでたっても襲ってこなかった。



「大丈夫?蒼?」





「トゥナ!!」


耳の上に生えた羊の角がトレードマークで闇魔法の使い手、オブラートのメイドさん。トゥナ。



そして、ボクの…





友達






「さあ立って!」

「っ、ありがとう」


差し伸べられた手をしっかりと握り、立ち上がる。

トゥナはくわえていた短剣を一本、手に取るとぶっ飛ばされていた影女に向かってその切っ先を向けた。


「私の友達をよくも傷つけようとしてくれたね。あんたは許さない!」

「友達ぃ?」


影女があざ笑うようにしてトゥナのことをにらみ返す。


「そう、友達。私の人生で生まれて初めてできた友達。私の命に代えてでも、守り切るっ!!!!」


トゥナは己のナイフを影女に向かって投げつけた。しばらくは余裕の表情を浮かべていた影もすぐに焦りの表情に変わる。

なぜなら、それは途中で分裂し無数のナイフとなって影女に向かっていった。それはまるでナイフの嵐のように。


「うぉっ!?」


目を見開いてそれらを回避する影女。しかし、それを見てなぜか口角をつり上げたトゥナ。


「もう一丁!」


そう、彼女の手にもう一本。ナイフが握られていた。それを影女が回避し、移動するであろう場所に狙いを定め投げつける。やはりそれも分裂し、大量のナイフが壁を作るようにして影女に向かっていく。


「いいでしょ?このナイフ。ご主人様に作って頂いたんだ」

魔法道具マジックアイテムか…」


どうやらオブラートは魔法道具マジックアイテムを作ることが得意らしい。たしかにあの義手を作ったのもオブラートだと聞いていたし、意外と器用なんだね。


「…さ、決めよう。トゥナ」

「了解」


トゥナは新たにナイフを作り出し構える。ボクは全身を駆け巡る魔力を集める。


「我が身に流るる魔の力よ、今こそ互いに共鳴し合え。そしてその力を我に託せ!」


髪の毛の色が黒から白色へと変化する。






「『ダーク・ライト』」








次の瞬間、体を流れる魔力が一気に膨れ上がる。


本来であれば光魔力と闇魔力は混ざり合うことは無い。なぜならそれは互いに打ち消しあってしまうからだ。それほど光と闇の相性は悪い。そもそも闇と光は波長が明らかにずれている。しかし、ずっと考えていたのだ、なぜ椎名に光魔力を全て奪われオブラートの闇魔力を貰った時に体は拒絶反応を起こさなかった?

ただでさえ光魔力に慣れた体なのにすぐに闇魔力を扱えるはずが無いのだ。

なかなか解答は見つからなかった。しかし、ボクとオブラートの過去を見てわかったのだ。あくまでもそれを証言できるような証拠はないのだが…、あの過去の映像の中での少女をボクとし、少年をオブラートとしよう。そして行われた『魔力移植』。こうしてボクらの魔力属性は逆転したのだ。

そうだとすれば、全て辻褄が合う。ボクがすぐに闇魔力を使えた理由、それはオブラートの使っていた闇魔力は本来、ボクの物だったのだ。

そしてボクが使う光魔力は本来、オブラートの物だった。

こうなると、直接ではなく間接的にだがオブラートは光と闇。二つの魔力を使用していたことになる。

もちろんオブラートだって初めは闇魔力を使えなかったであろう。しかし、欠かさなかった鍛練のおかげで扱えるようになった。

そうしたことでもともとオブラートが使っていた光魔力と今持っている闇魔力との波長が合ったのだ。

こうすることによって、二つの魔力は合わさることが可能になる。


本来、決して合わさることのない光と闇。互いに打ち消し合う闇と光。

それが度重なる奇跡と偶然によって合わさり、強力な力へと変化する。




「『ダークネス・アリソマリス』!」


残っている手のひらから火球を放つ。しかしそれは今までのような炎ではなく、光と闇が互いに入り交じっているようなそんな感じだった。


「闇を晴らし、光を覆え!『ドゥエイニア・ダークライト』!」


手を横に広げると、いまだに状況の把握ができていない影女を囲うようにしてボクと全く同じ姿をした“ボク”が大量に出現する。どれも目の前に火球を出現させている。


「全てを改変させよ!『ナッチェル・スファイア』!」


各々の手から鎖が現れ、影女を拘束する。


「ぐっおおっ!?」


身動きが取れず、影女は苦悶の声を漏らした。


「トゥナ」

「いいよ」


ちらりと彼女に目をやり、アイコンタクトだけで用件を伝える。


「3・2・1!」


「「「「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」」」」


トゥナのナイフが彼女の手から離れ影に向かって分裂しながら進んでいく。

ボクらの火球は少し遅れて放たれ、辺りは激しい爆音と閃光に包まれる。








何も見えない


何も聞こえない


何も感じない


―あれだけの力を使ったのですから、当たり前です…


あぁ、そうか


力の使いすぎか


―そうです、今はゆっくりおやすみなさい。



うん、少しだけ眠ろう


―えぇ、おやすみなさい


おやすみ



誰に話しかけられ、答えているのかもわからない。けれど、信じていい。安心して身を任せてもいい。そんなぬくもりが感じられた。


目を閉じて




そっと



流れるように



意識を手放した。

簡単に解説



過去…オブラート→光魔力

   蒼→闇魔力


移植後…オブラート→蒼の闇魔力

    蒼→オブラートの光魔力


現在…オブラート→蒼の闇魔力  

   蒼→オブラートの光魔力+元々自分の物だったけれどオブラートに使われていた闇魔力



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ