第6話 下界に降りし生命の神
「う…」
頭が猛烈に痛い。まるで刑事ドラマに出てくる犯人が被害者を鈍器で殴り付けたような痛みが…わかりづらい、自分でもそう思っとるから安心して。
「ここは…部屋?」
まだ意識がぼんやりとしている。目を軽く開けてみるとそこには見慣れた天井が写っていた。
『ようやく起きたか…』
「?」
あれ?この声…誰だっけな…確か…タ、ター…ターシャだ。思い出した。
『まったく…無茶するからじゃ…』
「無茶?ボクなんかしたっけ…?」
『はぁ…これだからお主は…まだ使い慣れてもない魔法を多様しょって…、あの魔法は上位魔法じゃぞ?体がストッパーをかけたからよかったものの、危うく死ぬところじゃったぞ?』
「う…」
普段小言は聞き流すことができたが今回ばかりはできなかった。
やはり自分の命が関わって来るとそこまでこの言葉は心に突き刺さるものなのだろうか…?
「すみませんでした…」
『ふん、わかればいいのじゃ!…それより、皆が待っておるぞ、早くいってやるのじゃ』
「皆?」
誰だろう…ボクのことを心配してくれるなんて…
まだ少しうまく動かない体に鞭を打って布団から起き上がる。
部屋のドアを開けてみると、そこにはなにやらいい香りが漂っていた。
「なんだろ…この香りは…」
『いいから早くいくのじゃぁ!』
ターシャが声を張り上げた。ボクはそれに従ってリビングに下りていく。徐々に徐々にその香りは強くなっていった。
――ガチャ
リビングのドアを開ける。やっぱりこういうのって何か気まずいよね。
すこしテンションが下がり気味だったがなんとかリビングに足を踏み入れることができた。
刹那――
パアン!!!
何かの爆発音と共に火薬の匂いが鼻をついた。
「くっ!?」
慌ててその場で構えの姿勢を取る。
「ん?」
しかし、第二の攻撃は無く代わりに色とりどりの紙吹雪が上から降ってきた。
「「「「女体化、おめでとう!!!」」」」
そして、聞き覚えのある4つの声が響いた。
母さんに…沙与に…この低い声は父さん?で…この高い声は…まさか…
「お主の母親は料理が上手じゃなぁ、先に頂いておるぞ!」
「タタタタタタタターシャ!!??」
口がバグった。
それよか、ちょっとまてまてまてまてぃ!!!
なんでターシャがここにいるんだよぉぉ!!
これは…幻かな?もう一回みて見よう。
「……」
うん、やっぱりターシャだ。いままでのような露出度の高い服では無く薄ピンクのワンピースに身を包んでいた。
それとさ…
「女体化…おめでとう?」
自分でも青筋が立ったことがはっきりとわかった。そして自然と右手が拳を作っていた。
おまけに父さんまで参加してるし。
「まぁそう怒るでない、これだけ家族が喜んでくれたのじゃ。結果オーライじゃ、結果オーライ」
「あのねぇ…はぁ」
もう駄目だぁ、この人(神)達にはもう何を言ってもやめないだろう。
くそぅ…あそこで…蛇の化け物と遭遇していなければ…
後悔の念がよぎる。
「ほら、席につかんか。今日の主役はお主じゃぞ?」
「そうよ、そうよ。しっかりと席に座りなさい♪こ・う・か・ちゃん♪」
「ほらさっさと席につけ、我が『娘』よ!」
「あの…お母さん方…それは流石に…」
もう…………………やだ…




